グレートレース
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そしてロシアを過ぎて、中欧の小さな国カルパニア王国の首都ポッツドルフに通りかかったが、そこではフェイト教授と瓜二つの皇太子ハプニック(ジャック・レモンの二役)が王位継承の戴冠式を控えていた。フォン・ステュッペ男爵(ロス・マーティン)とキュスター将軍(ジョージ・マクレディ)は皇太子を亡きものにする陰謀を企んでいたが、フェイトが皇太子と瓜二つであることに気づくと替え玉にしようと目論み、フェイトと彼の同乗者であるマックスとマギーを捕らえる。マックスが脱出してレスリーに助けを求め、レスリーがマギーの救出に向かい男爵とフェッシングで対決するが男爵に逃げられる。戴冠式の日、新国王の替え玉となって式に参列したフェイトをマックスが救出して、フェイトに将軍にレスリーやマギーらが追跡して、祝宴を控えて大量のケーキやパイを製作中のケーキ工場に突入し、そこでパイ投げ合戦に発展する。一同がパイまみれになっていくなか、レスリーだけが上手にパイを避けて無傷でいたが、マギーがパイを持ってよろけたときにパイを顔にぶつけられ、全員がパイまみれになりながら、車に乗って退散する。

その夜、レスリーらが自動車を止めて野営しているとき、再びレスリーに同行しているマギーが川で身体を洗って衣服を乾かしており、ヘゼカイアが残していったギターを取り上げて「The Sweetheart Tree(スィートハート・ツリー)」の唄を歌う。「森の中に恋人達の木があり、その木にあなたの名と私の名を刻み、キスをすると木は純白の花で覆われて、2人の愛は永遠のものになる」という歌詞を聞いたレスリーがマギーにキスすると、マギーはレスリーの頬を叩いて逃げる。

いよいよパリ市街に入り、ゴールに到着する寸前の車中で、レスリーとマギーは男女の関係と役割についての論争(要するに痴話ゲンカ)を白熱させていた。ところが、ゴール寸前数メートル前に来たときにレスリーは突然、マギーへの愛を証明すると言って自動車を止めて、マギーの唇を奪い、愛の告白をする。このためフェイトとマックスの車が、レスリーとマギーの車を追い越して、結果はレスリーが負ける。しかしレースに勝ったはずのフェイトは喜びもつかの間、勝ちを譲られたことに再びヘソを曲げ、このレースはインチキだとしてレースのやり直しを要求する。やり直しのグレートレースはパリからニューヨークまでのレースで、新婚のレスリーとマギー、フェイトとマックスが再び出発する。ここでフェイトが仕掛けてまたマックスがドジを踏んでエッフェル塔を倒壊させる最大最後のギャグが入り、映画は大団円となる。
キャスト

役名俳優日本語吹替
NETテレビ
フェイト教授/皇太子ハプニックジャック・レモン愛川欽也
グレート・レスリー・ギャラント三世トニー・カーティス広川太一郎
マギー・デュボアナタリー・ウッド小原乃梨子
マクシミリアン(マックス)・ミーンピーター・フォーク穂積隆信
ヘゼカイア・スターディキーナン・ウィン富田耕生
ヘンリー・グッドボディアーサー・オコンネル 宮川洋一
ロルフ・フォン・ステュッペ男爵ロス・マーティン 小林清志
キュスター将軍ジョージ・マクレディ(英語版)北村弘一
フリスビーマーヴィン・カプラン(英語版)
へスター・グッドボディヴィヴィアン・ヴァンス 
リリー・オーレイドロシー・プロヴァイン
テキサス・ジャックラリー・ストーチ
ボラーチョの市長ハル・スミス
ボラーチョの保安官デンヴァー・パイル(英語版)
不明
その他麻生美代子
上田敏也
日高晤郎
たてかべ和也
清川元夢

演出春日正伸
翻訳進藤光太
効果PAG
調整山田太平
制作日米通信社
解説淀川長治
初回放送1974年6月2日9日
日曜洋画劇場

※ソフト未収録。2016年に行われた「吹替音声を収録して発売してほしいブルーレイ・DVDは?」というアンケートでは、この吹替が挙げられている[3]
その他の出演と撮影地

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ウィーン少年合唱団

ホフブルク宮殿ウィーン)。アニフ城(英語版、ドイツ語版)(ザルツブルク)。エッフェル塔パリ)。

エピソード

ブレイク・エドワーズは、オープニングでかつてのニッケルオデオンでの映画上映の状況を表現している。主人公と悪役が現れたときの観客の反応、フィルムがずれたり焼きついたりする懐かしき映画創成期へのオマージュを込めたオープニングである。

善玉と悪玉がはっきりとしており、善玉カーテイスは服から車まで白色ずくめ、悪玉レモンは服も車も黒色ずくめ。そしてナタリー・ウッドは座っている椅子もテーブルもピンクで、最大の見せ場であるパイ投げでも赤い制服の下から見せるコルセットはピンク色であった。

そのパイ投げ合戦は、サイレント時代のドタバタコメディーでお馴染みのシーンだが、これをカラーのワイドスクリーンで派手に行い、公開当時に映画史上最大のパイ投げ合戦と言われた。使った本物のパイは約5,000個。これに約3mの高さのデコレーションケーキがあり、このデコレーションケーキにまずフェイト役のジャック・レモンが頭から突っ込んで全身白づくめになってパイを鷲掴みにして投げ返したところから、パイ合戦はスタートした。オレンジ・バナナ・チェリー・いちご等のパイが凄まじい勢いで飛び交い、ナタリー・ウッドがこれまたコルセット丸見えの士官候補生の制服で合戦に参加して投げ合い、二役のジャック・レモンがもう一人の皇太子ハプニック役で再度デコレーションケーキに逆さまに落ちる場面があった。ようやくブレイク・エドワーズ監督が「カット」を命じて撮影が終わった時は、出演した俳優陣はすべて全身パイだらけであった。そして撮影が終わった俳優たちは、それからもう1回パイを投げ合った。今度は監督に仕返しの集中攻撃をするために。

映画の見どころは悪玉ジャック・レモンとピーター・フォークが繰り出す様々な大道具である。@空中飛行自転車「ダブル・スチール号」は二人でペダルを漕ぎながら飛行船のように空を浮遊する。途中で落下した。A特殊潜航艇「ドクロ号」は変な潜水艦。B対空砲「マストドン」は飛行船を撃ち抜く。C特殊魚雷「死神エイト号」はモーター音を探査して徹底的に喰らいついて爆破するもの。快速ボートを追いかけさせて自分達は自動車で去って行ったが、途中で自動車のエンジン音で逆に自分達の車が追いかけられて痛い目に会った。Dスーパーカー「ハンニバル8号」は黒ずくめのモンスターカーで、全長5m、全幅2.2m、高さ2.5m。また上に2.5m盛り上がる六輪車である。E超高速ロケット「火の玉号」は空に舞い上がったがすぐに失速して鳥小屋に墜落した。

トニー・カーティスとジャック・レモンのそれぞれの特製クラシックカー、「レスリー・スペシャル号」と「ハンニバル8号」は生産に10万ドル以上を費やして文字通りのスペシャルカーである。

ナタリー・ウッドがこの映画の中で歌っている「The Sweetheart Tree」はこの映画の主題歌でもある。ナタリーが歌っている時に映画の画面の下に歌詞の字幕が現れて、現代のカラオケ画面のように今歌う個所が分かるようになっていた。

実際に「The Sweetheart Tree」を歌っているのは ナタリー・ウッドではなく、Jackie Wardが吹替えている。2017発売のLimited editionのサウンドトラック盤(3枚組)には2takeが収録されている。

エドワーズ監督自身はヒッチコックのように映画の中で少し出演している。酒場での乱闘シーンでチョビ髭で山高帽をかぶってカウンターにいる姿で映っている。

製作当時の1960年代半ばは女性人権運動が盛んになった頃でその雰囲気をコメディーのなかに織り交ぜている。ニューヨーク・センチネル紙の社長夫人も人権運動家としての側面を見せている。演じているヴィヴィアン・ヴァンスは当時テレビの人気番組「ルーシーショー」にレギュラー出演している。

酒場の歌手リリーで出演しているドロシー・プロヴァインは、製作会社ワーナーブラザースがテレビ映画として製作した「ローリング20」(日本放映時は「マンハッタンスキャンダル」)に出演している。またこの前年にシネラマで撮影されたコメディ映画「おかしなおかしなおかしな世界」にも出演している。なおピーター・フォークもこの「おかしなおかしなおかしな世界」に端役で出演していて、二人ともテレビ映画での出演が多い。

製作当初は600万ドルの予算であったが、ブレイク・エドワーズ監督の細かい要求を受け入れているうちに、1,200万ドルに達し、コメディ映画としては当時ハリウッド史上最大の規模となった。

なお、1968年からCBSで放送されたテレビアニメ『チキチキマシン猛レース』は本作を元ネタとしており、日本でも1970年にテレビ放送された。

脚注^ a b Wasson, Sam (2009). “The Great Race (1965)”. A splurch in the kisser: the movies of Blake Edwards. Wesleyan Film. Wesleyan University Press. pp. 98?108. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 0-8195-6915-1. https://books.google.co.jp/books?id=KWr3jPbVVDkC&pg=PT98&redir_esc=y&hl=ja#v=onepage&q&f=false 


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