現在のグレートバリアリーフを形作る基盤となる地層は、古い暗礁[26]や火山[20])[18]の名残りなどを含む海丘の上にグレートディバイディング山脈からの堆積物が重なった開析海岸平野である。協同リサーチセンター(英語版) (CRC)内のサンゴ礁リサーチセンターは、50万年前のサンゴ骨格による鉱床を発見した[27]。グレートバリアリーフ海洋公園管理局 (GBRMPA)は、初期の暗礁は60万年前頃から形成が始まったという見解を述べ[28]、現在生育しているサンゴ群はその上に、約2万年前から成長を始めたと考察している[28]。オーストラリア海洋科学研究所(英語版)もこれに同意し、成長開始の時期は最終氷期最盛期に当たり、海深も現在より120mほど浅かったと述べている[26]。
2万年前から6000年前にかけて海水準変動によって海面は上昇した。これに伴い、サンゴは海岸平野上でより高く成長した。1万3千年前の頃、海面は現在よりも60m程低く、その頃には海岸平野の丘状部は大陸島となり、サンゴの繁殖はその周囲で起こった。海面が上昇に転じると大陸島は水没し、サンゴは海丘上全体で成長するようになり、現在の小島(キー)や暗礁へと成長した。約6000年前から今日にかけての期間、グレートバリアリーフ周辺では海面上昇は起こっていない[26]。CRCサンゴ礁リサーチセンターは、現在生育しているサンゴは8000-6000年前にサンゴ礁を形成したものが絶滅せずに繁殖しているとの見解を述べた[27]。リーフ形成当初のサンゴ礁と似た古代の堡礁は、西オーストラリア北部のキンバリー地域で見ることができる[29]。
世界遺産に登録されたグレートバリアリーフの地域は70のエコリージョンに分けられ[30]、うち30はサンゴ礁のエコリージョンである[31][32]。北部にはリボンリーフや三角州堆積礁が形成されているが、それ以外の地域には同種のものは見られず[27]、環礁は存在しない[33]。また、サンゴ礁がオーストラリア大陸と接触している部分もほとんど無い[18]。
裾礁は広く見られ、特にウィットサンデー諸島(英語版)のような島と接触して形成されたものが南域で特に顕著である。礁湖を伴うサンゴ礁も南部で多く、北部でもプリンセスシャロット湾(英語版)沖などで発達している。中部域で最も一般的な形態は、リザード島(英語版)周辺などのような三日月礁であり、グレートバリアリーフ海洋公園最北部や南緯20-22度のスウェイン礁などでも確認される。面状礁はヨーク岬半島およびプリンセスシャロット湾からケアンズまで広く分布し、リーフ内の多くの島で発達している[34]。一方、大陸に近いヒンチンブルック島には山、峡谷と熱帯雨林があり、ヒンチンブルック海峡(英語版)には広大なマングローブが発達している[35]。
生態系ケアンズ近郊のフリンリーフで見られる色とりどりのサンゴ類
グレートバリアリーフは、危急種や絶滅危惧種などに相当する固有種等、多くの生命にとって安住の地でもある[36][37]。