ユリウス暦の約1240年間の運用により蓄積された約10日間のずれをどのように修正するかについては、次の2案が委員会に提出された。
第1案:1584年以降の40年間にわたって、閏日を設けない。
40年 ÷ 4年 = 10 (日) であるから、これによって、10日間だけ暦を進めることができる。
第2案:1582年の最も適当な月に10日間を省く。
結局、委員会は、第2案を採用したのである[14]。 10日間を省く月を1582年の10月にしたことについて、クラヴィウスは、「単に10月が宗教典礼日(religious observance)が最も少ない月であり、教会への影響が最小だからだ」と説明している[15]。 改暦委員会の作業の末に完成した新しい暦は1582年2月24日にグレゴリウス13世の教皇勅書として発布された[16][17]。この勅書は、"Inter gravissimas"の語(「最も重要な関心事の中でも」の意)から始まるので、“en:Inter gravissimas この勅書はユリウス暦1582年10月4日木曜日の翌日を、曜日を連続させながら、グレゴリオ暦1582年10月15日金曜日とすることを定め、その通りに実施された。 グレゴリオ暦の実施日前後の日付適用の暦年月日曜日0時(世界時)の 1582年10月 ただし、上記の日付通りに改暦を実施したのは、イタリア、スペイン、ポルトガルなどごく少数の国に過ぎず[19]、その他のヨーロッパの国々での導入は遅れた。 グレゴリオ改暦が議論され始めていた1560年ごろには、平均太陽年は、約365.2422日であることが知られていた。(365.25日 ? 365.2422日)× 400年 = 3.12日/400年 であるから、ユリウス暦における置閏法(400年間で100回の閏年)に比べて400年間に3回の閏年を省けば、かなりよい近似となることが分かる。このため、グレゴリオ暦では、400年間に、97回 (= 100 ? 3) の閏年を置くこととして、1年の平均日数を365.2425日 = 365日5時間49分12秒 = 正確に31556952秒 とした。365日 + 97/400 = 365.2425(日/年)…… グレゴリオ暦による1年の平均日数 なお、400年間の日数は、365.2425 × 400 = 146 097日であり、これは7で割り切れる(146097 ÷ 7 = 20871週)ので、グレゴリオ暦は、曜日も含めて400年周期の暦である。 400年間における閏年の回数の差暦法閏年平年合計 400年間に3回の閏年を省くには様々な方法があり得るが、3回の平年がなるべく均等に分布すること、わかりやすく記憶しやすいことを考慮して、「西暦紀元(西暦)の年数が、100で割り切れるが400では割り切れない年は、平年とする。これ以外の年では、西暦年数が4で割り切れる年は閏年とする。」というルールが採用された。 100で割り切れる年は400年間に4回あるが、400で割り切れる年は400年間に1回だけである。以上のルールによって、ユリウス暦では閏年になる3回分の年を、グレゴリオ暦では平年とすることができるのである。 100で割り切れる年のうち、西暦1600年・2000年・2400年は400で割り切れるので、これらの年は閏年のままである。しかし、西暦1700年・1800年・1900年・2100年・2200年・2300年・2500年・2600年・2700年は400で割り切れないので、これらの年は平年となる。 100で割り切れる西暦年の平年と閏年西暦年平閏の区分備考 平年および閏年のそれぞれにおける各月の日数は、グレゴリオ暦でもユリウス暦と同じである。すなわち、1月・3月・5月・7月・8月・10月・12月は31日、4月・6月・9月・11月は30日、2月は平年が28日、閏年は29日である。 上記の暦法(グレゴリオ暦)を1582年以前に遡って適用すると、200年3月1日から300年2月28日までは、ユリウス暦と同じ日付となる(ユリウス通日も参照)。
どの月から10日間を省くか
改暦の実施
ユリウス日
ユリウス暦1582年10月03日水曜日2299158.5
ユリウス暦1582年10月04日木曜日2299159.5
グレゴリオ暦1582年10月15日金曜日2299160.5
グレゴリオ暦1582年10月16日土曜日2299161.5
日月火水木金土
12341516
17181920212223
24252627282930
31
暦法
ユリウス暦100回300回400回
グレゴリオ暦97回303回400回
1600年・2000年・2400年閏年400で割り切れる年
1700年・2100年・2500年平年
1800年・2200年・2600年平年
1900年・2300年・2700年平年
先発グレゴリオ暦とユリウス暦詳細は「先発グレゴリオ暦」を参照