グリーンピース_(NGO)
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

地球多様性の中で生命を育む能力を確保する」 (ensure the ability of the Earth to nurture life in all its diversity[3])ことを目的として標榜し、気候変動森林伐採乱獲商業捕鯨遺伝子工学反核問題といった国際問題のキャンペーンに取り組む。1979年10月14日には、各国のグループを統合する形でグリーンピース・インターナショナルを設立。本部をオランダアムステルダムに設置した[注 1]

グリーンピースは自らの目的を達成するため、ロビー活動研究、エコタージュを行う[4]。この国際的な組織は290万の個人の支援者と財団からの寄贈に頼っており、政府や企業、政治政党からの資金の受け入れを行っていない[5][6]。グリーンピースは国際連合経済社会理事会の一般協議資格を有しており[7]、非政府組織の説明責任と透明性の確保を目的とした国際的な非政府組織 INGO Accountability Charter を創設した[8]

また、グリーンピースは目的達成のために直接行動を行う事でも知られており、世界で最も注目されている環境団体とされ[9][10]、グリーンピースは環境問題を公衆に提起し[11][12][13]民間と公共の両方に影響を与えてきた[14][15]。他方で、グリーンピースは論争の対象にもなってきた[16]遺伝子組換え生物 (GMO) に対するグリーンピースのキャンペーンを終了するよう求める100人以上のノーベル賞受賞者からの公開書簡がグリーンピースに対して提出されるなど[17]、グリーンピースの意図ややり方(後者の一部には違法なものもある)が批判を受けてきた[18][19]。加えてグリーンピースの活動家による直接行動の中には犯罪行為に当たる過激な行為も多数起こしており、例えば、グリーンピースの活動家らが遺伝子組み換え小麦の試験用地を破壊したり[20][21][22]ナスカの地上絵(ペルーの国連世界遺産)に損害を加えたり[23]して法的措置を引き起こしてきた[24][25]。これら活動家らの過激な行為に対して罰金刑や執行猶予付きの有罪判決が下されており、その過剰な運動に対してエコテロリズムとして批判されることもある[26]。実際に、2005年にアメリカ自由人権協会(ACLU)が情報公開法に基づいて入手した米国連邦捜査局(FBI)の資料から、FBIがACLUと並んでグリーンピースや動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)を監視対象にしていたことが判明している[27](なお、この件に関しては2010年、アメリカ合衆国司法省は、2001年から2006年まで続いたFBIによるグリーンピースやPETAなどの環境保護団体メンバーの監視は正当ではなかったとする文書を公表し、FBIを批判している[28])。日本国内でも、捕鯨問題の告発と称して組織的に運送会社の倉庫に侵入し宅配物を窃盗したとして活動家が逮捕される事件を起こしている[29]

※本文中の原語表記部のリンクは英語版へのリンク。
活動分野と主張エッソに不法侵入して、環境破壊をやめるよう呼びかけるバナーを掲げるグリーンピース /エクソンモービル.

グリーンピースが展開する活動分野を以下に列挙する。
海洋生態系問題
日本で有名な事案は捕鯨問題だが、基本的には海洋生態系全体を扱っている。過剰漁獲や漁業手段の問題、海洋汚染の問題、気候変動による生態ピラミッドの崩壊の問題、海洋保護区の設立などがある。なお、あくまで近代捕鯨への反対であり、生存捕鯨は持続可能として認める立場も示している(反捕鯨#生存捕鯨も参照)。2005年からは日本の沖縄・辺野古ヘの米軍基地移設におけるジュゴン保護にも参加。
オゾン層破壊
特定フロンをはじめとするオゾン層破壊物質の抑制。フロンを使わない炭化水素冷媒による冷蔵庫「グリーンフリーズ」の開発支援・普及。炭化水素冷媒のグリーンフリーズ型冷蔵庫は、グリーンピースの開発委託を受けたドイツのDKK社(その後フォロン社に名称変更)が、1992年に世界に先駆けて発表。1993年中にはドイツの他企業も追従し、また同時に断熱材に使われていたフロンも炭化水素などに置き換えられた。他国の大手家電企業へのグリーンフリーズ型冷蔵庫の生産要請なども行ってきた。こうした動きを受けて、日本でも日本の冷蔵庫メーカーにはたらきかけを行い、その結果、松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)が2001年11月に商品化を発表し、いまでは当たり前になった家庭用ノンフロン冷蔵庫普及への流れを作った。
森林問題
森林伐採による生態系破壊の問題。紙の原料となるパルプ材としての森林管理問題やマホガニーなどの希少樹種の貿易問題など。
原子力問題
核兵器に対する反対運動を継続している。1993年には、ロシア海軍による核廃棄物日本海への海洋投棄を摘発し日本に衝撃を与えた。また、原子力発電をはじめとするいわゆる「平和利用」に関する反対運動、つまり原子力撤廃運動も展開(高速増殖炉核燃料再処理、それに伴う放射能汚染問題・プルトニウム管理問題など)。1995年1997年には、フランスから日本まで航路や輸送スケジュールが発表されていなかった核物質輸送船を追跡するプロジェクトを展開(前者はチャーター船の「スミット・ニューヨーク」、後者はキャンペーン船「ソロ M.V.Solo」が追跡船)。2011年東京電力福島第一原発事故発生以降、福島県での放射能調査を継続。原発の再稼働問題にも取り組んでいる。
化学物質汚染問題
塩素系化合物などを含む化学物質汚染問題や、その一部の原因となっているごみ処理・ごみ焼却処理の問題。日本では、ほかに瀬戸内海豊島におけるシュレッダーダストの投棄問題などにもかかわっている。また、2011年にデトックス・キャンペーンを開始し、有害化学物質が河川や水質を汚染していることから、衣料品ブランドにサプライチェーンでの有害化学物質使用状況の情報公開と、2020年までの有害化学物質の全廃を求めている。
気候変動・エネルギー問題
いわゆる「地球温暖化」。二酸化炭素をはじめとする温暖化ガスの排出抑制を目指している。エネルギー問題とも密接に関係するほか、特定フロンのかわりに導入された、オゾン層破壊係数が低いかわりに強い温室効果をもたらす代替フロンの使用抑制についても活動している。2007年には、地球温暖化に抗議するためにスイスの氷河で全裸パフォーマンスの撮影が行われ、「緊急事態にある人類は、社会常識、礼儀作法、容認可能な行為の規範を捨て、いかなる方法を使ってでも警告を発するだろう」と主張している[30]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:104 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef