グリーンピース_(NGO)
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グリーンピースは政府や企業からの支援を一切受けず、個人からの寄付金のみで活動している、と公式に説明している[32][33]。これに対し、以下のような異論がある。

グリーンピース創設メンバーの一人で、15年間も会長をつとめた[34]パトリック・ムーアは、のちに団体と袂を分かち、別の団体「グリーンスピリット」を興して原子力発電に賛同する立場になっている。ムーアによれば、ロックフェラー財団など50の基金が、原子力発電に賛同する一方で“環境保護に関心あり”というポーズのためにグリーンピース本部に資金援助しているとして団体の資金源について内部告発を行った[35]

アイスランドのジャーナリスト、マグヌス・グドムンドソンは「グリーンピースは環境保護団体のような顔をしているが、実は政治的権力と金を追求する多国籍企業である」と述べている[36][注 2]

またバチカン教皇庁レジーナ・アポストロルム大学大学院教授のリッカルド・カショーリとアントニオ・ガスパリによれば、グリーンピース・インターナショナルの2000年度予算は3400万ドルにのぼり、団体全体の同年度予算は1億4300万ドル(147億2900万円[注 3])にものぼるほどで、「巨大資金団体」としたうえで[37]、同団体は税控除が適用される寄付金を集め、さらにそれを会計上異なる関連団体に分配しているグリーンピースのやり方を批判している。

ドイツの週刊誌デア・シュピーゲルによれば、グリーンピースは「世界で最も資金力のある環境団体」で、年間に二億ドルの収入があり[38]、ドイツ国内でも1000万マルクの売り上げがありながら、申告されることがないとして批判した。
資金の使途

さらに、資金の使途については、一般の会員から「年次会計報告がなされず、使途が不明」との疑問が呈されることもある[39]

グリーンピース・ジャパンの年次報告書によれば、2014年の収入は2億6千万円(うち99.8%が寄付収入及び補助金)であった。それに対し、支出の内訳は、1億5千万円(約6割)が「活動費」、6千万円(24%)が「会員管理・資金調達費」、4千万円(16%)が「活動管理費」であった。

1億5千万円の「活動費」の内訳は報告されておらず、実態は不明である。なお、30人の有給職員の給与(仮に日本のサラリーマンの平均給与400万円を掛けると、1億2千万円に相当)がどのように支払われているかについても、一切報告されていない[40]
組織内部の意思決定

ドイツの週刊誌デア・シュピーゲルは、グリーンピースの意思決定が、「グリーンピース世界会議」の12人の大選挙人に握られており、一般メンバーは運営の意思決定に関わることはできず、収入の24%以上を上納できる資金力を持つ支部代表のみが意思決定を行っていると報道した[41]

グリーンピースの元会長ウテ・ベリオンは「グリーンピースの賛同者たちに投票権はない」「どのような仕事をするかをこちら(執行部)が指示し、それに同意するなら資金提供という形で賛意を示してもらうシステムである」と述べている[42]。グリーンピース・オランダの会計責任者フランツ・コッターは「理事たちはメンバーに影響されるのを好まない。メンバーたちは黙って金を払うためだけに存在する」と明言している[37]

またグリーンピース・ノルウェーの会長を二年間務めた後、1993年に団体の運営方法を会議の議題にしょうとしたところ、追放されたビヨルン・オカーンは「グリーンピースに民主主義は存在しえない。ピラミッド構造になっていて、すべてが頂上の一握りの人間によって決定される」と証言している[37]。またオカーンは「グリーンピースの金が環境のために使われていると考えるのは間違っています。幹部たちはファーストクラスに乗って旅行し、最高級のレストランで食事をし、優雅なエコ・セレブの生活をしている。クジラで大騒ぎをするのは、それが儲かるからにほかならない」と主張している[37]
人種平等会議による批判

ニューヨークに本部を持つ人種平等会議(en:Congress of Racial Equality:略称CORE) は、2003年5月11日に、アメリカのジャージーシティにおいて「Africa,YES,Greenpeace,NO!」とするスローガンを、グリーンピースのイベントに対して投げつけた。COREによれば、グリーンピースが発展途上国の発展を妨害するからで[43]、グリーンピースは遺伝子組み換え植物の導入に反対し、DDTをいかなる目的であっても使用禁止にすべきとして反対し、その結果、マラリア対策をとることができないとして批判している。COREの報道担当官ナイジェル・イニスによれば、1972年に環境保護ファンドという団体の理事チャールズ・ウースターは、DDTによるマラリア予防について質問された際、「だから、どうした? 人口はすべての問題だ。人間は多すぎる。人間はもっと少なくしたほうがいい」と人口爆発を懸念する内容の発言を行ったが、前述のカショーリとガスパリによれば、環境保護運動と優生学運動は、人口と資源のコントロールという共通の目的をもつと独自の論理を披露し、20世紀初頭には両者は連携していたと指摘し[37]優生学的な考えであるという見方を示した[37]
日本での批判詳細は「捕鯨問題」を参照

2001年12月、南極海で、日本の調査捕鯨船団と、グリーンピースの船「アークティック・サンライズ号」が遭遇した。この際、日本の調査捕鯨を委託されている日本鯨類研究所の理事長である大隅清治がグリーンピースを『エコ・テロリスト』だと批判するプレスリリースを発表[44]すると、即座にグリーンピースは抗議声明を出した。また、船のスクリューに鎖を巻く等、違法な直接行動に対しては、一部の日本政府関係者などに「テロリズムである」と称された。

なお鯨類捕獲調査は、ミンククジラのような鯨類資源と海洋生態系を保全し、その持続可能な利用を目的としており、国際捕鯨取締条約第8条第1項の締約国の権利として、日本政府が日本鯨類研究所に特別採捕許可を発給し、日本鯨類研究所が実施主体となって行っている法的に正当な調査活動である[45]

高原明生は、中国南シナ海に7か所の人工島を作ったことを、「人工島の建設というのはたいへんな自然環境の破壊」としたうえで、「サンゴ礁を掘って、人工的な島を作っているわけで、グリーンピースは何をしているんだ、日本の捕鯨船を追いかけるのが得意なシーシェパードは、と思うんですが、国際的なNGOから声は上がっていない。こういうことを知り合いから言われて、10日ばかり前にグリーンピースのホームページを見たら、英語のブログがたくさんならんでいるわけですが、サンゴ礁を壊して軍事基地をつくるとは許せない、という見出しのついている記事があったので、おっ、と思って見たら、中身は沖縄の辺野古のことでした。サウス・チャイナ・シーで検索をかけても一つも出てこない。これはやはりよろしくない、一貫性が大事だと思います」と批判している[46]
世界での批判

広報(パフォーマンス)重視のボランティア活動に対する懐疑的見方など、しばしば逆効果になっているという批判がある。

例えば、2014年ペルー世界遺産であるナスカの地上絵において、同年12月9日ペルーの首都リマで、温暖化対策の新たな枠組みを協議する国連の会議「COP20」が開催されることに合わせて、グリーンピースの複数の活動家が無断で立ち入りTime for changeなどと大きな布で文字を書いたことが問題になった。同遺産に無断進入のうえ売名行為を行ったことに加え、土足で踏み込んだために復旧が困難な地上絵付近の石の破壊があったと不快感をあらわにし、ペルー側は「深刻な影響を与えた。活動家の出国前に身柄を拘束したい」と憤慨した。グリーンピースは後日「希望と可能性の緊急メッセージを届けることよりもむしろ、不注意と下品な印象を与えた」などと謝罪の文書を出している[47]。ペルー文化庁のカスティージョ副長官は、このグリーンピースの謝罪を受け入れないと述べ、ナスカ地方の検察は、当局が特定した複数の活動家を告訴した[48]

さらに非欧米の国の文化、国民性を無視しているとの批判もある。
歴史
1971年 アメリカ合衆国の核実験に反対

アメリカ合衆国アリューシャン列島アムチトカ島で行おうとしている地下核実験に反対するために、1969年カナダバンクーバーに「波を立てるな委員会(Don't Make a Wave Committee)」という組織が誕生した。この組織は、のちに「名前がわかりにくい」という内部批判から、「環境」を意味する「グリーン(green)」と「平和」を意味する「ピース(peace)」をくっつけた「グリーンピース(Greenpeace)」という造語をつくり、改名した。

グリーンピースは、1971年、核実験を阻止することを目指し、アムチトカ島沖合いの公海にを居座らせて監視をするという方法で圧力をかけるために、底引き網漁船「フィリス・コーマック(Phyllis Cormack)」をチャーターして船出した。


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