グリーンピース_(NGO)
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日本で有名な事案は捕鯨問題だが、基本的には海洋生態系全体を扱っている。過剰漁獲や漁業手段の問題、海洋汚染の問題、気候変動による生態ピラミッドの崩壊の問題、海洋保護区の設立などがある。なお、あくまで近代捕鯨への反対であり、生存捕鯨は持続可能として認める立場も示している(反捕鯨#生存捕鯨も参照)。2005年からは日本の沖縄・辺野古ヘの米軍基地移設におけるジュゴン保護にも参加。
オゾン層破壊
特定フロンをはじめとするオゾン層破壊物質の抑制。フロンを使わない炭化水素冷媒による冷蔵庫「グリーンフリーズ」の開発支援・普及。炭化水素冷媒のグリーンフリーズ型冷蔵庫は、グリーンピースの開発委託を受けたドイツのDKK社(その後フォロン社に名称変更)が、1992年に世界に先駆けて発表。1993年中にはドイツの他企業も追従し、また同時に断熱材に使われていたフロンも炭化水素などに置き換えられた。他国の大手家電企業へのグリーンフリーズ型冷蔵庫の生産要請なども行ってきた。こうした動きを受けて、日本でも日本の冷蔵庫メーカーにはたらきかけを行い、その結果、松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)が2001年11月に商品化を発表し、いまでは当たり前になった家庭用ノンフロン冷蔵庫普及への流れを作った。
森林問題
森林伐採による生態系破壊の問題。紙の原料となるパルプ材としての森林管理問題やマホガニーなどの希少樹種の貿易問題など。
原子力問題
核兵器に対する反対運動を継続している。1993年には、ロシア海軍による核廃棄物日本海への海洋投棄を摘発し日本に衝撃を与えた。また、原子力発電をはじめとするいわゆる「平和利用」に関する反対運動、つまり原子力撤廃運動も展開(高速増殖炉核燃料再処理、それに伴う放射能汚染問題・プルトニウム管理問題など)。1995年1997年には、フランスから日本まで航路や輸送スケジュールが発表されていなかった核物質輸送船を追跡するプロジェクトを展開(前者はチャーター船の「スミット・ニューヨーク」、後者はキャンペーン船「ソロ M.V.Solo」が追跡船)。2011年東京電力福島第一原発事故発生以降、福島県での放射能調査を継続。原発の再稼働問題にも取り組んでいる。
化学物質汚染問題
塩素系化合物などを含む化学物質汚染問題や、その一部の原因となっているごみ処理・ごみ焼却処理の問題。日本では、ほかに瀬戸内海豊島におけるシュレッダーダストの投棄問題などにもかかわっている。また、2011年にデトックス・キャンペーンを開始し、有害化学物質が河川や水質を汚染していることから、衣料品ブランドにサプライチェーンでの有害化学物質使用状況の情報公開と、2020年までの有害化学物質の全廃を求めている。
気候変動・エネルギー問題
いわゆる「地球温暖化」。二酸化炭素をはじめとする温暖化ガスの排出抑制を目指している。エネルギー問題とも密接に関係するほか、特定フロンのかわりに導入された、オゾン層破壊係数が低いかわりに強い温室効果をもたらす代替フロンの使用抑制についても活動している。2007年には、地球温暖化に抗議するためにスイスの氷河で全裸パフォーマンスの撮影が行われ、「緊急事態にある人類は、社会常識、礼儀作法、容認可能な行為の規範を捨て、いかなる方法を使ってでも警告を発するだろう」と主張している[30]。石炭火力発電問題および太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及にも取り組んでいる。
遺伝子組み換え作物への反対アピール
遺伝子組み換えトウモロコシの賛成派の政治家事務所の前に、トウモロコシをばら撒くという抗議行動を行っている。2014年4月、中国の大学から、遺伝子組み換え作物のサンプルが盗まれた事件があり、この容疑者としてグリーンピースが挙げられた。グリーンピース側は否定している[31]
持続可能な食と農業へのシフトを提唱
2014年からミツバチへの毒性の強いネオニコチノイド農薬の禁止を目指してキャンペーンを開始。解決策として、化学農薬や合成肥料や遺伝子組み換えに頼らず生物多様性の力や地域の知恵を活用する「生態系農業」へのシフトを目指す。
共謀罪創設に対する反対アピール
主に日本国内での活動。2006年、日本政府の共謀罪関連法案(組織犯罪処罰法の改正案)の審議に対する反対運動や抗議の呼びかけ。2017年にも「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織的犯罪処罰法改正案の成立に反対した。
批判
資金問題
収入源

グリーンピースは政府や企業からの支援を一切受けず、個人からの寄付金のみで活動している、と公式に説明している[32][33]。これに対し、以下のような異論がある。

グリーンピース創設メンバーの一人で、15年間も会長をつとめた[34]パトリック・ムーアは、のちに団体と袂を分かち、別の団体「グリーンスピリット」を興して原子力発電に賛同する立場になっている。ムーアによれば、ロックフェラー財団など50の基金が、原子力発電に賛同する一方で“環境保護に関心あり”というポーズのためにグリーンピース本部に資金援助しているとして団体の資金源について内部告発を行った[35]

アイスランドのジャーナリスト、マグヌス・グドムンドソンは「グリーンピースは環境保護団体のような顔をしているが、実は政治的権力と金を追求する多国籍企業である」と述べている[36][注 2]

またバチカン教皇庁レジーナ・アポストロルム大学大学院教授のリッカルド・カショーリとアントニオ・ガスパリによれば、グリーンピース・インターナショナルの2000年度予算は3400万ドルにのぼり、団体全体の同年度予算は1億4300万ドル(147億2900万円[注 3])にものぼるほどで、「巨大資金団体」としたうえで[37]、同団体は税控除が適用される寄付金を集め、さらにそれを会計上異なる関連団体に分配しているグリーンピースのやり方を批判している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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