グラミー賞
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グラミー賞はハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム計画から始まった[1][2]。ウォーク・オブ・フェーム委員会に選出されたレコード会社の重役達は、ハリウッド大通りに星を埋め込まれることのない音楽業界のリーダー達が数多く存在することを理解しており、ウォーク・オブ・フェームの星に値する音楽業界の重要な人々のリストを編集していた。音楽業界の重鎮達はアカデミー賞やエミー賞のような音楽業界の賞を創立することを決心。これがナショナル・アカデミー・オブ・レコーディング・アーツ・アンド・サイエンス(現ザ・レコーディング・アカデミー)の始まりである。名称には蓄音機を発明したトーマス・エジソンに敬意を表しエディー賞が候補に挙がったが、1958年、最終的にエミール・ベルリナーが発明した蓄音機に因みグラミー賞と名付けられた[3][4][5]

1960年代には「The Best on Record」というタイトルでNBCで放映されていたが、1971年にはABCにて生放映される。1973年からはCBSが放映権を取得している。

なお、日本では「グラミー賞」創設に啓発されるかたちで、翌1959年に日本レコード大賞が創設されている。また、1977年イギリスにおいて、音楽雑誌グラモフォン誌が主催するクラシック音楽の賞グラモフォン・アワード(英語版)と、英国レコード産業協会が主催するポピュラー音楽に関する賞ブリット・アワードが創設され、現在に至っている。
概要

毎年、米国内でリリースされた楽曲とアーティストを対象に選考され、ザ・レコーディング・アカデミーの会員の投票によって選考され、第1回目でノミネート作品が選考され、第2回目で決定されている。

音楽業界で最も栄誉ある賞だとみなされ、受賞結果はセールスに多大な影響を与える。また、アメリカでは注目度の高い祭典の一つであり、2013年2月に行われた第55回グラミー賞の中継番組は2837万人の視聴者数を得た[6]。これはスーパーボウルなどNFLの一部の試合中継やアカデミー賞授賞式中継などに次いで、全米で非常に視聴者数の多い番組の一つになっている。

売り上げが良くても確実にグラミー賞にノミネートするわけではなく、年間第1位の曲でも受賞を逃すことが多い。加えて、2000年に入ってから、その年に最多ノミネートした歌手が最多受賞を逃すケースが増えている。2009年は7部門ノミネートのコールドプレイを筆頭にイギリス出身アーティストが多くノミネートされている。この年の最優秀レコード賞は全てイギリス出身アーティストによる作品が候補に選ばれた[7]
蓄音機形のトロフィー

金色の蓄音機を表現した金めっきトロフィーコロラド州リッジウェイ(英語版)のビリングス・アートワークスにより手作りされている[8]。1990年、オリジナルのトロフィーのデザインは改訂され、損傷を防ぐためそれまでの軟鉛からより強い合金となり、トロフィーは以前より大きく壮大になった[9]。受賞者の名前が刻まれたトロフィーは受賞者名の発表があるまで手にすることができないため、テレビで放送されるのは毎年同じ代用品である[10]
部門詳細は「グラミー賞カテゴリー一覧」を参照

以下の4部門は「主要4部門」として特に衆目を集める。これらの賞はジャンルで制限されない。

Album of the Year(最優秀アルバム賞) - アルバム演奏者および製作チームに授与される。

Record of the Year(最優秀レコード賞) - シングル曲演奏者および製作チームに授与される。

Song of the Year(最優秀楽曲賞) - シングル曲の作詞者、作曲者に授与される。

Best New Artist(最優秀新人賞) - この1年で著しい活躍をみせた新人に授与される。正確な発売日やデビュー日時は考慮されない。

主要4部門の受賞者はグラミー賞受賞者一覧を参照。

その他の賞はジャンルによってアートワークやビデオを含み演奏者や製作者に授与される。音楽業界へ長年貢献してきた者には特別賞が授与される。

2023年現在、84カテゴリーと膨大であり、様々なアーチストの演奏も行われることから、上記の主要4部門およびポップ・ミュージックロックカントリー・ミュージックラップなど最も人気のあるジャンルから1から2カテゴリーの授賞式のみテレビ放送される。その他の賞は授賞式当日昼間からテレビ放送前に授与される。
カテゴリー再編

2011年4月6日、NARASは2012年に行われる第54回グラミー賞のカテゴリーの多くの大幅な見直しを発表し[11]、カテゴリー数は109から78に減少した。最も重要な変更点はラップ、ロック、リズム・アンド・ブルース、カントリー、ラップで男女、コラボレーションおよびデュオやグループの区別がなくなったことである。また、インストゥルメンタルのソロのいくつかのカテゴリーがなくなった。これらのカテゴリーは現在他のジャンルの最優秀ソロに含まれる。

ロック部門ではハードロックメタルは一緒にされ、最優秀ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞は演奏者の減少により削除された。

リズム・アンド・ブルース部門ではコンテンポラリー・リズム・アンド・ブルースと他のリズム・アンド・ブルースとのアルバムの差異はなくなった。現在どちらも最優秀リズム・アンド・ブルース・アルバム賞として授与される。

ラップ部門ではソロとデュオおよびグループは合併され、最優秀ラップ・パフォーマンス賞となった。

アメリカン・ルーツ・ミュージック部門において大幅な削除が行われた。2011年まではハワイアン・ミュージックネイティブ・アメリカン・ミュージック、ザディコまたはケイジャン・ミュージックなどアメリカ国内の様々な地域の音楽のカテゴリーがあった。しかしこのカテゴリーでの演奏者の数が常に少なく、2009年に削除されたポルカと共に最優秀リージョナル・ルーツ・ミュージック・アルバム賞として統合された。

また同部門において、コンテンポラリー・フォークとアメリカーナ、コンテンポラリー・ブルースとトラディショナル・ブルースの区別がなくなってきたことから、ブルースのトラディショナルとコンテンポラリー、フォークのトラディショナルとコンテンポラリーがそれぞれ統合された。ワールドミュージック部門でもトラディショナルとコンテンポラリーが合併された。

クラシック音楽部門では最優秀クラシック・アルバム賞が広義すぎるため、この賞に受賞したアルバムがクラシック部門の他のアルバム賞でも受賞し重複することが多いため削除された。クラシックのアルバムも現在最優秀アルバム賞を受賞可能である。

その他にもより自然に近い名前に変更されるなど、小さな改変がいくつか加えられた。ゴスペル部門は「ゴスペル」という言葉がコンテンポラリー・クリスチャン・ミュージックとかけ離れた伝統的なソウル・ゴスペルを思い起こさせるため、ゴスペル/コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック部門となった。
会場

1971年までグラミー賞授賞式は毎年違う会場で行われ、元々はニューヨーク市ロサンゼルスが主催地であった。1962年、シカゴが主催地に加わり、1965年、ナッシュビルが第4の主催地となった。

1971年、ロサンゼルスのハリウッド・パラディアム(英語版)で行われた第13回グラミー賞(英語版)が、1箇所で行われた最初の授賞式となった。その後ニューヨーク市のマディソン・スクエア・ガーデンのフェルト・フォーラムに移動し、更にその後2年間はナッシュビルのテネシー・シアターで行われた。1974年から2003年、ニューヨーク市とロサンゼルスのいくつかの会場で行われた。主な会場はニューヨーク市のマディソン・スクエア・ガーデン、ラジオシティ・ミュージックホール、ロサンゼルスのシュライン・オーディトリアムステイプルズ・センター、ハリウッド・パラディアムである。

2004年、ステイプルズ・センターが恒久的授賞式会場となった。グラミー賞の歴史を振り返るグラミー博物館がステイプルズ・センターの向かい側のL.A.ライブに創設された。博物館の歩道にはハリウッド・ウォーク・オブ・フェームのように毎年の最優秀アルバム賞、最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞の受賞者のブロンズ・ディスクが埋め込まれている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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