グラディエーター
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主要キャストはラッセル・クロウホアキン・フェニックスコニー・ニールセンオリヴァー・リード(公開前に死去)、ジャイモン・フンスーデレク・ジャコビリチャード・ハリス

2000年5月5日に発表された同作は優れた映像美やストーリーから大きな商業的成功を収めた。批評家からも高い評価を得て、第73回アカデミー賞作品賞並びに第58回ゴールデングローブ賞ドラマ部門作品賞を受賞する名誉を受けた。

続編の『グラディエーター2』は2024年11月に公開予定[3][4]
ストーリー
冒頭

時はネルウァ=アントニヌス朝(いわゆる五賢帝時代)のローマ帝国。平民出身の将軍マキシマス・デシムス・メリディアス(Maximus Decimus Meridius)[5]は、ゲルマニア遠征で、蛮族との決戦を迎えていた[注釈 1]。降服を説得するためローマ軍から遣わされた使者が斬首され、その首が投げ返されてきたのを皮切りに両軍の戦闘が始まる。ローマ帝国軍は東方属州からの弓兵や工兵隊のカタパルトを駆使して森林地帯に潜むゲルマニア軍に砲撃を与えた後、軍団兵を前進させる。高地に陣取る蛮族の軍勢に軍団兵は苦戦を強いられるものの、マクシムスは自ら騎兵部隊を率いて蛮族を背後から強襲して敵将を討ち取り、結果として勝利を得る。傷付き倒れる兵士達を目に、老境を迎えつつあった皇帝アウレリウスは膨張し続ける帝国の崩壊が近付いていることを悟るのだった。

老いた皇帝を悩ませるもう一つの問題が、帝位継承についてだった。賢帝と名高いアウレリウスは、皇子コンモドゥスが勇気や正義感など持たず、貴族との政治や策謀に没頭するさまを疎み、その一方でマキシマスの勇敢かつ無欲な部分を気に入っていた。アウレリウスは、問題を抱えるローマを根本的に立て直すには、民衆が貴族と同等に政治を行っていた共和政へ戻す必要があると考え、その遺志の実現にはマキシマスに帝位を譲ることが最良だと考える。一方、皇帝の実子であるコンモドゥスは、父の愛情が自身に向けられていないことを不安に感じ、旧友でもあるマキシマスに、側近として自分の治世を助けてくれるように頼む。

アウレリウスはマキシマスを自らの天幕に呼び寄せ、戦いの愚かさについて説く。マキシマスはローマを光に例え、皇帝に反論して遠征の意義を説くが、アウレリウスは「退廃してしまった近年のローマを知らない」とマキシマスを諭す。そして共和政へ戻す構想を伝え、その実行者としてマキシマスを指名する。マキシマスは「帝位を継ぐ気でいるコンモドゥスはどうなるのか」と尋ねるが、アウレリウスは「君主の器ではない」と一蹴する。アウレリウスは自分が必ず説得すると約束し、マキシマスは考える時間が欲しいと述べて天幕を離れる。
皇帝暗殺

遅れて天幕に呼ばれたコンモドゥスは、その場に安置されていた父の胸像の前で待っていた。やがて皇帝本人が後ろから現れる。アウレリウスはあえてコンモドゥスに帝位を継ぐ覚悟を尋ね、コンモドゥスは喜んで大任を引き受けると応えるが、告げられたのは帝位をマキシマスに譲るという内容であった。

自身にその理由や共和政移行の大義を説く父に対し、コンモドゥスは以前にアウレリウスから送られた手紙について話し始める。手紙には皇帝に必要な「」(正義・知恵・不屈・自制)が書かれていたが、コンモドゥスに備わる「徳」(野心・策謀・勇気・献身)は何処にも書かれていなかった。それはまるで自分を息子と認めたくないかのようだったとのコンモドゥスの言葉に、アウレリウスは穿った考えだと否定する。しかしコモドゥスは自分は父親が誇りに思える息子になりたかったと告げ、なぜ自分を憎むのかと涙を流す。

息子と対話するアウレリウスは、父親として息子に接するのを怠ったことが、結果として息子を歪ませてしまったと悟る。息子の前に跪いたアウレリウスは「息子が至らぬのは、至らぬ父を持った為だ」と子を庇う言葉を述べ、自らも涙して和解の抱擁を求める。コンモドゥスはアウレリウスを泣きながら抱きとめるが、そのまま父親のアウレリウスを絞殺してしまう。愛情よりも畏怖が勝っていた父親が、不出来な自分に許しを乞うた姿を認められなかったのである[6]

翌朝、腹心の将軍クィントゥスから皇帝の死を知らされたマキシマスは天幕に向かう。コンモドゥスからは皇帝が「病死」したと告げられるが、アウレリウスから廃嫡の意思を伝え聞いていたマキシマスは事実に気づき、忠誠を求めるコンモドゥスを拒絶して事実を明らかにしようとする。しかし大方の者たちは事実を知った上でコンモドゥスに従っており、クィントゥスもマキシマスを裏切って彼を捕らえ、従わなければマキシマスとその家族を処刑せよとの皇帝の命を実行する。

マキシマスは家族を守る為に近衛兵達と一戦を交えて脱出し、馬を乗り換えながら休まず故郷へのヒスパニアへと急ぐ。しかし辿り着いた家は焼き払われ、妻子はともに生きながら焼かれ吊るされていた。2人の遺骸を前に泣き崩れるマキシマスはその場に倒れこみ、やがて疲労と負傷から意識を失ってしまう。
剣闘士として

目が覚めた時、マキシマスは商人の一団に捕らえられ、属州アフリカのモーリタニア・カエサリエンシス(英語版)にあったズッカバル(英語版)という名の町へ連れて行かれ、奴隷市場で売られていた。生きる意義を失ったマキシマスは脱出する訳でもなく、無気力にされるがままに過ごしていた。そこへ小さな剣闘士団を運営するプロキシモという男が現れる。マキシマスは剣闘士として使えそうな奴隷を探し回っていたプロキシモに「スパニアード」(スペイン人)として売り飛ばされる。

剣闘士団では先輩の剣闘士ハーゲンが奴隷達の審査を行い、勇敢なものは赤、臆病者は黄色と絵具で印が付けられていく。自分の番が回ってきた時、マキシマスは武器を取ることすらせず殴られるままになり、プロキシモから興味を持たれつつも黄色を塗られる。新入りたちは最初の儀礼として闘技場の標的として送り込まれる。多くの奴隷が惨殺される中、マキシマスは剣闘士達を相手に見事な戦い振りで応戦し、同じく奮戦していたヌミディア人奴隷のジュバと二人で試練を乗り越え、図らずも剣闘士への第一歩を踏み出してしまう。

マキシマスが新しい宿命を得た時、折りしも遠く離れた帝都ローマではコンモドゥスが壮麗な凱旋式を執り行っていた。元老院の貴族達は経験の無い若い皇帝を侮るが、コンモドゥスは元々共和政だったローマを牛耳っていた貴族は既に力を失っており、今では民衆の方に力があることを見抜いていた。娯楽や食料を惜しみなく分け与えて民衆を喜ばせ、また自らも民を愛する皇帝として振舞うことでコンモドゥスは民の心を掴み、元老院を無視した専制的な統治を進めていく。

娯楽の中で特に人気を博したのが剣闘技大会であった。それまでコロッセウム(大闘技場)での剣闘は禁じられていたが、コンモドゥスの計らいで大会が再開された。地方都市に散らばっていた剣闘士団が挙って帝都ローマに集う中、プロキシモは次第に成長するマキシマスを引提げて自らもローマの大会に参加しようとする。マキシマスは興味が無いと答えるが、剣闘士が自由を与えられる際、皇帝と謁見できると聞いて失っていた復讐心を取り戻す。マキシマスは真意を隠した上で自分も自由を得たいと告げ、プロキシモは「ならば民衆を味方につけろ」と助言する。プロキシモもかつては名うての剣闘士であり、他でもないアウレリウス帝によって賜られたルビアス(木剣)を持って、自由の身を得たのだった。
帝都ローマへ

ローマに宿営地を構えたプロキシモの剣闘士団だったが、不利な契約を取り付けられ、古代ポエニ戦争での決戦・ザマの戦いを模した闘技で「カルタゴ軍」の役に駆り出されてしまう。興行師達の賭けでは十中八九が史実通りカルタゴ軍役の負け試合であったが、鼻当て付きの兜を被ったマキシマスは将軍時代の経験を生かして徒歩の剣闘士団を指揮し、「ローマ軍」役の戦車騎馬隊を壊滅に追い込む。本来はローマ軍役が勝利するはずの筋書きが変わってしまったが、民衆は怒るどころか、圧倒的に不利な状態で打ち勝った剣闘士団を讃え、歓声を上げる。貴賓席でその様子を見ていたコンモドゥスは「スパニアード」という剣闘士に興味を持ち、会見すると告げる。

近衛兵とクィントゥスを連れて闘技場に入ったコンモドゥス。マキシマスは落ちていた弓矢の鏃を手の中に隠して暗殺しようとするが、皇帝の甥ルキウスがコンモドゥスの傍らにいたことから躊躇ってしまう。時機を逸している内にコンモドゥスはマキシマスを「ヘラクレスの化身」と賞賛して、兜を外して本当の名を名乗る様に促す。背を向けて立ち去ろうとするマキシマスにコンモドゥスは皇帝の命に背くなと告げ、再度兜を外す様に促す。覚悟を決めたマキシマスは素顔を晒して向きかえり、「真の皇帝マルクス・アウレリウスの臣下、マキシマス・デシムス・メレディウス」と名乗る。

死んだはずのマキシマスの姿に動揺したコンモドゥスは、衆人環視のなかでクィントゥスに処刑を命じる。しかし闘技場の英雄を殺そうとする皇帝を見た民衆は「殺すな」と連呼し、やむなくコンモドゥスはマキシマスを助命する。皇帝ですら、ローマの民衆の声に逆らえないことは明白であった。その後、コンモドゥスは闘技場でマキシマスを公然と殺すべく、「ガリアの虎戦士」と謡われた剣闘士ティグリスとの試合を用意、加えて闘技場に複数の虎使いを控えさせ、ティグリスに有利となるように仕向けておく。しかしマキシマスは激闘の末にティグリスを破り、更に民衆の「殺せ」との叫びを受けてコンモドゥスが処刑を命じると、わざとこれに反抗してティグリスを助けてしまう。民衆はマキシマスを慈悲深いと賞賛し、ますますコンモドゥスの立場を危うくする。
謀議

名誉を度々傷つけられたことでコンモドゥスの人気は下降し始め、グラックス元老院議員ら反対派の政治家達も反乱の謀議を進め始める。コンモドゥスの冷酷さを知っていたその姉のルシッラの手引きで、グラックスとマキシマスは引き合わされ、マキシマスは元老院の手引きで、かつて指揮した軍団の元へ脱出する計画を告げる。グラックスはマキシマスが独裁を行わないという保証はないと反対するが、マキシマスは亡き皇帝の意思に沿うだけだと語り、自分はコンモドゥスと刺し違っても良いと説明する。

グラックスはマキシマスを信じてプロキシモから身柄を買い上げようとするが、皇帝から怒りを買うことを嫌うプロキシモは拒絶する。プロキシモはコンモドゥスに恨みがあるわけでもなく、むしろ自分を金持ちにしてくれたと笑う。窮したマキシマスは暫く考えた後、「先帝を殺した男だ」と告げる。

一方、宮殿ではコンモドゥスがマキシマスの存在を恐れるようになっていた。皇帝の側近であるファルコ議員はマキシマスが手に負えなくなる前に殺すべきだと助言するが、コンモドゥスは「民に憎まれたくない」と拒絶する。そこでファルコとコンモドゥスは一計を案じてわざとマキシマスや反対派を泳がせ、反乱を起こしたという無実の罪を着せて捕らえる計画を立てる。計画は見事に成功してグラックスとルッシラがまず捕らえられ、更にプロキシモや多数の剣闘士が殺され、最後にはマクシムスも捕らえられた。


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