クローン
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このときは、分化の進んでいない初期胚の細胞や核を不活化した未受精卵に移植することによりクローンを作成した。動物体細胞の核を未受精卵に移植する方法(体細胞核移植)による最初のクローンは、1962年ジョン・ガードンによりアフリカツメガエルオタマジャクシから作られた。
コイ
1963年に中国の童第周が作製した、初めての魚類のクローンである。オスのアジアのDNAを抽出し、メスのアジア鯉の卵に移植した。1973年には、オスのアジア鯉のDNAをメスのヨーロッパ鯉の卵に移植し、初めての生物種間をまたがるクローンを作製した[4]
ヒツジ
哺乳類のクローンは、ヒツジのものが始めに作られた。1981年に、Steen Willadsenはヒツジの受精卵からクローン個体を作製した。さらに1984年に、分化の進んでいない初期胚を未受精卵に核移植することでクローンを作製した。1995年にはロスリン研究所で、分化の進んだ胚細胞からメーガンとモラグという二体のヒツジのクローンが作製された。1996年7月には、ロスリン研究所のイアン・ウィルムットとケイス・キャンベルによって、ヒツジの乳腺細胞核の核移植によるクローン、ドリー2003年2月14日死亡)が作られた。これは哺乳類で初めて体細胞から作られたという点で注目を集めた。さらに、1997年には同研究所において、人為的に改変を加えた遺伝子を持つトランスジェニックヒツジのクローンポリーとモリーが作成された[要出典]。これはトランスジェニック動物のクローンとして世界で初めてのものである。
マウス
1986年、ソ連の科学者は、マーシャ (Masha) と呼ばれるマウスのクローンを胚細胞核移植によって作製した[5]。1997年、ハワイ大学マノア校柳町隆造研究室の若山照彦らによって、ホノルル法を用いた初めてのクローンがマウスから作成された。このマウスは、Cumulinaと名付けられた。2008年には、同じく若山照彦によって冷凍保存された細胞からマウスのクローンが作成された。これは冷凍保存された細胞から作られたクローンとして世界で初めてのものである。
ブタ
2000年3月、初めてのブタのクローンが、ドリーと同じくロスリン研究所によって体細胞から作成された。この時作成された5匹のクローンはMillie, Christa, Alexis, Carrel, そしてDotcomと名付けられた。2000年7月には、世界で2例目、日本では初めての事例となるゼナ(雌、梅山豚)が農業生物資源研究所などによって産み出された。ゼナは子豚を産み、2010年に寿命を終えた。クローン動物による正常な繁殖能力と正常な寿命の実例となった[6]。2014年までに中国のBGIは新薬テストのために500頭のブタクローンを作成している。
ガウル
2001年1月、初めての絶滅危惧種のクローンが作成された。誕生したガウルのクローンは2日後に死亡した。
ネコ
2001年12月にテキサスA&M大学の研究者がCC (コピーキャット、クローンキャットの意) と呼ばれる初めてのネコのクローンを作製した[7]。CCはクローン元の猫と全く同じDNAを持つにもかかわらず、性格はそれぞれ異なっていた。例えば、CCは好奇心旺盛で活発だったが、クローン元の猫は恥ずかしがりやで臆病だった。また、毛の色も異なる[8]。2004年には、初めての商業用ペットとしてのネコクローンリトルニッキーがGenetic Savings & Clone社によって作製された[9]
ラット
2003年、初めてのラットのクローンであるRalphが中国とフランスの研究者によって作成された。
ウマ
2003年5月28日、初めてのウマのクローンであるPrometeaがイタリアの研究所で作成された。
イヌ
2005年、哺乳類において最も生殖工学の適用が難しいと考えられていたイヌでのクローン作製が、韓国の研究者グループによって報告された。このイヌはスナッピーと名付けられた。ところが、このイヌのクローンについて発表したソウル大学黄禹錫教授らに関して、2005年末に『ヒト胚性幹細胞捏造事件』(ES細胞論文の捏造・研究費等横領・卵子提供における倫理問題)が発覚し、これを契機に過去の主だった論文の精査が行なわれた。結局、それまでの黄禹錫の発表成果のうちイヌクローンのみは成功していたことが立証された。2017年には世界初の遺伝子組み換えクローン犬「竜竜」が中国で作製されて韓国に続いて中国は犬体細胞クローン技術を独自に確立した国となった[10]2019年、中国昆明市および北京市の公安当局は、クローンにより誕生した警察犬を導入した[11]
オオカミ
2007年、初めてのオオカミのクローン2頭がソウル大学の李柄千(イ・ビョンチョン)らによって作成された。このオオカミはSnuwolfおよびSnuwolffyと名付けられた[12]。このうち1頭 Snuwolfは2009年に死亡した[12]。2011年に若山照彦は、絶滅種であるニホンオオカミをクローン技術により復元する構想を発表したが[13]、2022年時点では未来技術として示唆するにとどまっている[14]
ブカルド(ピレネーアイベックス)
2009年1月、初めての絶滅種のDNAを用いたクローンがスペインの研究所で作成された。ピレネーアイベックスは2000年に絶滅しているが、その組織と細胞は冷凍保存されていた。このクローンは誕生7分後に肺障害で死亡した。
サル
2018年1月、中国科学院は体細胞核移植を用いた世界初の霊長類カニクイザル)のクローン「中中と華華」を米科学誌セルで発表した[15]
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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