クレムリンの枢機卿
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彼の最新の任務は、タジキスタンドゥシャンベにある秘密防衛施設を拠点とする、コードネーム「輝く星」というソビエトの弾道弾迎撃ミサイル研究プロジェクトに関するものである。

フィリトフ大佐は、施設を評価するためレーザーに熟練したゲンナジー・ボンダレンコ大佐をドゥシャンベに派遣し、CIAの連絡先に送信する情報を偶然入手する。不運にも、フィリトフの機密情報を受け渡すときの些細な不手際がKGBに警告を与え、KGBは関係する運び屋を積極的に追跡する。のちにKGBはフィリトフを疑うようになり、フィリトフを監視下に置く。運び屋の連鎖はモスクワ駐在のCIA支局長エドワード・フォーリにより急ぎ閉鎖され、「輝く星」に関するフィリトフのより重要な機密情報が遅れた。しかし彼は「輝く星」に対応する「ティークリッパー」に侵入しているKGB諜報員の存在を明らかにし、CIAに警告を発する。

その後、CIAはフォーリに「カーディナル」を国外に連れ出すように命じる。しかし同じくCIA諜報員である彼の妻メァリ・パット・フォーリがフィリトフにすれ違いざまに情報の受け渡しを試みたとき、2人はKGBに逮捕されてしまう。その後、フィリトフは投獄され、最終的に自分の罪を自白するまで心理的に拷問される間に、フォーリ夫妻は「ペルソナ・ノン・グラータ」を宣言された。作戦を成功させるため、「カーディナル」の正体を知ったCIAアナリストのジャック・ライアンはフィリトフの帰還を確保すると同時に、フィリトフの逮捕後に書記長の座を争っていたKGBのニコライ・ゲラシモフ議長の亡命を推し進める計画を立てた。ライアンは反米思想を持つゲラシモフの政権昇格を阻止しようとするのであった。

米国の軍備交渉代表団の一員であるライアンは、軍縮交渉のためにモスクワを訪れる。ライアンはそこでゲラシモフに会い、フィリトフを釈放して国を裏切るよう脅す。もし要求が通らなければ、ソビエトの弾道ミサイル潜水艦「レッドオクトーバー」で実際に何が起こったのか暴露すると。暴露されれば、この事件を利用してKGBの軍部支配を強化した、KGB議長の名誉を傷つけることになる。ゲラシモフは、彼が亡命を拒否した場合の対抗手段として、「ティークリッパー」のトップSDI研究者であるアラン・グレゴリー少佐の誘拐を図る。

グレゴリーの誘拐は、ティークリッパー内で二重スパイを扱ってきたKGB諜報員のターニャ・ビシャーリナによって行われた。グレゴリーの婚約者と不運にも恋に落ちたレズビアンの二重スパイであるビアトリス・タウシグ博士は、最終的に罪悪感からFBIにビシャーリナを引き渡し、人質救出チームは後にニューメキシコの粗末な砂漠の隠れ家でソビエトの捕虜となっていたグレゴリーを救う。ライアンは後にゲラシモフに知らせ、ゲラシモフはついにライアンの要求に屈した。KGB議長の妻と娘は、後にCIAの工作員ジョン・クラークによってエストニアから潜水艦USSダラスに連れ出された。一方、ドゥシャンベにある秘密の弾道弾迎撃ミサイル施設は、地対空ミサイルを使いソビエトの地上支援機を撃墜する名手であることから「射手」(いて)と呼ばれるリーダーが率いる、アフガニスタンのムジャヒディンの攻撃にさらされていることがわかった。2回目の評価のためにそこにいたボンダレンコ大佐は、なんとか攻撃者を撃退し、「輝く星」の科学技術者を保護、最終的に「射手」を殺した。

軍縮交渉の最終日、ゲラシモフはフィリトフを解放し、2人がシェレメチエヴォ国際空港に向かい、米国に帰国するライアンと米国の代表団に合流できるようにする。ゲラシモフとフィリトフは米国代表団の飛行機に乗り込むことに成功したが、ライアンは、軍縮交渉における自分の相手であり、彼らの出国計画に気づいたKGB将校セルゲイ・ゴロフコに捕らえられてしまう。その後、ライアンはナルモノフ書記長の私的なダーチャに導かれ、そこで彼らはナルモノフの政治的立場に対するCIAの関心とソビエト連邦の国内治安への干渉について話し合う。一方、MiG-25MiG-21の編隊は米国代表団の飛行機を引き返させようと試みたが、代表団の飛行機はそれをうまく回避した。

フィリトフは、それまでの活動に関してCIAへ広範囲の報告をしたが、後に心臓病のために亡くなった。彼はアンティータムの戦いの戦場から30kmにある、キャンプ・デービッドに埋葬された。フィリトフの葬儀には、他の出席者と共にライアンとフォーリ、そしてソビエト軍の駐在武官であるダルマートフ少将も出席した。なぜフィリトフが米兵のそばに埋葬されるのか疑問に思うダルマートフに対し、常に平和を維持するために働いているライアンは、「かたちこそ違え、われわれはみんな自分の信じることのために戦っています。それが共通の地盤にならないでしょうか?」と聞くのであった。
登場人物

ジャック・ライアンCIA情報担当副長官の特別補佐官および米国軍縮交渉代表団の主要なCIA代表。

ミハイル・セミョーノヴィッチ・フィリトフ:ソビエト陸軍大佐。ソビエト国防大臣の専属補佐官であり、3度のソビエト連邦英雄記章を得た、第二次世界大戦中のソビエト軍の元戦車将校。その後1960年代初頭に、彼は「カーディナル」の名でオレグ・ペンコフスキーによりCIAに採用され、30年間クレムリンで最高位の諜報員となった。彼は妻と2人の息子の死後ソビエト政府から疎外されるようになり、軍隊で受けた大きな痛手のために現在のソビエト指導部に関心がない。

ニコライ・ゲラシモフ:国家保安委員会(KGB)の議長

クレメンテ・ウラシーミロヴィッチ・ヴァトーゥーチン:フィリトフの調査とその後の尋問を担当するKGB大佐。


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