クルト・フォン・シュライヒャー
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1913年に戦争大学を卒業し、参謀本部に配属された[1]。グレーナーが運輸部長になるとシュライヒャーを部下として運輸部門に招いた[2]。そこでのちに因縁の関係となるフランツ・フォン・パーペンと知り合った。

1914年第一次世界大戦が勃発すると、大尉として兵站部に所属。1916年9月に「ドイツ国民の労働力を祖国防衛のために動員する」ことを目的とする戦時局(Kriegsamt)が創設され、グレーナーがその局長に就任した[4]。シュライヒャーも11月にここに招かれ、グレーナーを補佐した[1]

1917年5月に短期間第237歩兵師団参謀としてガリツィア戦線に転出し、二級鉄十字章を得た[1][2][5]。しかしそれ以外は大戦の大半を「書類机の将校」として過ごした[1][2]1918年7月に少佐に昇進。

1918年10月26日に上官グレーナーがルーデンドルフに代わって参謀次長となる[6]。シュライヒャーもスパの大本営の参謀本部でグレーナー参謀次長の補佐にあたった[2]。11月3日にキール軍港で水兵の反乱があり、反乱水兵たちは「兵士協議会」を創設してキール軍港を実効支配した。以降「ドイツ革命」と呼ばれる反乱がまたたく間にドイツ全土に広まった[7]。11月9日にはスパの大本営にいたドイツ皇帝ヴィルヘルム2世は退位に追い込まれ(翌10日に中立国オランダへ亡命した)、ベルリンでドイツ社会民主党(SPD)のフィリップ・シャイデマンが共和国宣言を行った[8]
一次大戦後

ドイツ革命の流れの中、参謀本部のグレーナーとシュライヒャーは、フリードリヒ・エーベルトが率いるベルリンの社民党政府と連携することにした。社民党政府を認める代わりに兵士評議会を抑えつけ、軍が新国家においても存続できるよう要求した[9]。この協約はベルリンの社民党政府の安定をもたらすとともに、軍部に「国家内国家」ともいえる独立性を与えることになった。

1918年11月末にスパからカッセルに大本営が移された後も、シュライヒャーはベルリンの首相官邸との連絡役をしていた[2]。12月20日にベルリンで行われた参謀将校の会合に出席したシュライヒャーは、義勇軍の創設を提唱し、ハンス・フォン・ゼークト少将はじめ出席者の賛成を得た[10]。シュライヒャーは義勇軍の装備と編成に大きな役割を演じた[2]

1919年10月1日にベルリン・ベントラー街にヴァイマル共和国軍を統括する国軍省(Reichswehrministerium)が新設された[11]。シュライヒャーもここに移動となり、兵務局ヴェルサイユ条約で禁止された参謀本部の偽装組織)の局長となったハンス・フォン・ゼークトの側近となった[1]。ゼークトが1920年に陸軍統帥長官に昇進すると、彼から「黒色国防軍」の編成を任せられた[12][2]。ゼークトは政治陰謀が好きなシャライヒャーを好んでいなかったが、彼の政治能力は評価し、政府との交渉やソ連との接触など政治的任務を次々と与えた[13]
「政治将軍」として暗躍1930年、一番左がシュライヒャー。左から三人目が国防相ヴィルヘルム・グレーナー

1925年5月12日にパウル・フォン・ヒンデンブルクが大統領に当選すると[14]、その息子オスカーを通じてシュライヒャーは大統領に個人的に影響を及ぼすようになり、ヴァイマル共和国軍、更には政界においてもその影響力を強めた。1926年に国軍省内に大臣官房として新設された政務課の課長に就任する[15]。陸軍統帥部長官ゼークトはシュライヒャーの政治権力拡大を抑えつけようとしていたが、1926年10月にゼークトが失脚したことでシュライヒャーの足枷が外れる形となった[13]

さらに1928年1月にグレーナーがヘルマン・ミュラー内閣の国防相となったことがシュライヒャーの権力を押し上げた。グレーナーは教え子シュライヒャーを「我が養子」と呼ぶほど信頼していた[16][17]1929年1月に少将に昇進。また陸軍と海軍の共通の問題の処理、国軍省と他省庁や政党との交渉を担当する部門として国軍省に大臣官房(Ministeramt)が置かれ、官房長にシュライヒャーが任じられた[17]。彼は「政治将軍」として本格的に暗躍を開始する[18]。グレーナーはシュライヒャーを「私の政治担当の枢機卿」と称し、彼の政治的能力にすっかり依存してしまった[19]

1929年初頭からシュライヒャーは、ミュラー首相の大連立の政府をブルジョア右翼政府と取り替えるようヒンデンブルク大統領に迫っていた[20]。シュライヒャーはハインリヒ・ブリューニングに目を付け、彼と再軍備の財政問題で合意し、ヤング案締結後に彼を首相にするための工作を行った[21]


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