クリスマス
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このうち、古代共和政ローマ時代の「ローマ暦」において冬至の日とされていた12月25日が、「降誕を祝う日」として次第に定着していった[注 2]。12月25日に降誕祭を行う風習は、遅くとも354年[30]には西方教会で始まり、4世紀末には東方教会の多くにも広まった[31]

古代ローマの宗教のひとつミトラ教では、12月25日は「不滅の太陽が生まれる日」とされ、太陽神ミトラスを祝う冬至の祭であり、これから派生してローマ神話の太陽神ソル・インウィクトゥスの祭ともされていた。これが降誕祭の日付決定に影響したのではないかとも推察されている[注 3]
古式を守るアルメニアの降誕祭「リトル・クリスマス」も参照

12月25日を降誕祭とする風習が定着する以前には、アルメニアギリシアなどで1月6日説が採用されており[32]、また、「キリストの降誕」の記念と同時に「キリストの洗礼」(ヨルダン川洗礼者ヨハネから洗礼を受けたこと)の記念を祝っていた[31]

現在でもアルメニア使徒教会東方諸教会非カルケドン派正教会に分類される)においては、教会暦上の1月6日(アルメニア本国などではグレゴリオ暦を使用、エルサレムのアルメニア総主教区においてはユリウス暦を使用するためグレゴリオ暦の1月19日にあたる。「世界のクリスマス」:「#イスラエル・パレスチナ」も参照)に、「キリストの降誕」の記念(降誕祭)と同時に「キリストの洗礼」の記念(神現祭)が祝われる[31]。1月6日はアルメニア共和国の法定祝日となっている[33]
教会暦における日付・期間.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}この項目ではを扱っています。閲覧環境によっては、色が適切に表示されていない場合があります。教会暦におけるクリスマスの日付。黄色が12月24日、緑色が12月25日を表す。常用時とは異なり、教会暦の日界は日没であるため、24日(常用時)の日没から25日(常用時)の日没までが12月25日、即ちクリスマスである
日付
西方教会

「降誕日」は、西方教会に含まれるカトリック聖公会などでは毎年グレゴリオ暦の12月25日に祝われる。
東方教会

東方教会のうちユリウス暦教会暦として使用する教会では、グレゴリオ暦の1月7日に祝われる。これはユリウス暦の12月25日が、21世紀現在、グレゴリオ暦1月7日に当たるからである[注 4][34][35]後述)。また例外的に、アルメニア使徒教会では教会暦上の1月6日に祝われる(前述)。
日付の区切り

キリスト教に先立つユダヤ教の暦、古代ローマの暦、およびこれらを引き継いだ教会暦では、現代の常用時とは異なり、日没日界(一日の境目)としている[36]。このため、教会暦ではクリスマス(降誕日)は「12月24日(常用時)の日没から12月25日(常用時)の日没まで」である。また24日(常用時)の日没から24日(常用時)の24時すなわち25日(常用時)の0時(正子)までが「クリスマス・イヴ」である(クリスマス・イヴ#日付)。12月25日(常用時)の日没以降は、12月26日(教会暦)である。

伝統的には、クリスマス・イヴの夕刻?晩には「晩課」(「晩祷」、「夕の礼拝」などとも)を行って降誕の喜びの先取りとし、羊飼いが天使から降誕のみ告げを受けたとされる夜中[37](古来は12月25日の0時前後)には「深夜ミサ(英語版)」あるいは「徹夜祷」などと呼ばれるミサ/聖餐式(西方教会)・奉神礼(東方教会)を行う。そして、25日の午前には改めて降誕を祝うミサ/聖餐式/聖体礼儀を行う。
期間
西方教会聖堂に飾られた「降誕場面」(フランス

西方教会では、「降誕節」(ラテン語: Tempus Nativitatis、英語: Christmas season、Christmas days)は12月24日の日没から始まり、1月6日に「東方の三博士の来訪」を記念する公現祭(顕現日、エピファニー)を祝って[注 5]、これを以て降誕節が終わる。より正確にはエピファニーの前日1月5日の日没「十二夜」までが降誕節で、「クリスマスの12日」(英語: Twelve Days of Christmas)と呼ばれる。あるいは、現代のカトリック教会では、「主(しゅ)の洗礼」を記念する公現祭後の主日日曜日[注 6]までを降誕節とする[41][42]

そして降誕節の期間中、降誕日から数えて8日目にあたる1月1日は、「イエスの命名・割礼[注 7]を記念する「イエスの聖名の祝日(英語版)」[注 8]として祝われる。あるいは、現在のカトリック教会では1月1日を「神の母聖マリアの祭日(英語版)」として祝い、併せてイエスの命名も記念される[38][注 9]

また、12月24日の4週間前(11月27日から12月3日の間)の主日から始まるアドベント(待降節/降臨節)をクリスマスの準備期間として祝う。

多くの聖堂(教会堂)の内部あるいは戸口際で、アドベントからエピファニーまでの間、キリスト降誕時の情景を表した模型「降誕場面」(イタリア語: Presepio、プレゼピオ/フランス語: Creche、クレーシュ/英語: Crib、クリブ)が飾られ、それを見て人々はその出来事に想いを馳せる。


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