オリンピックでは1900年のパリ大会においてクリケット競技が1度だけ行われたが、2028年ロサンゼルスオリンピックで再び実施されることが2023年のIOC総会で決定した[28]。男女2種目のトゥエンティ20(T20)形式で行われる予定である[29]。オリンピック参加に長い間消極的だったこともあり、1世紀以上に渡って実施されなかった。特に強い発言力を持つとされるイングランド・ウェールズクリケット委員会とインドクリケット管理委員会は、長期においてオリンピック参加に反対の立場をとっていた[30]。しかし、近年はクリケットを再びオリンピック競技にしようとする動きが高まっていた[31]。ICCは2021年、ロサンゼルス大会をターゲットとして推進する意向を表明し[32]、その2年後に同大会でのオリンピック復帰が決定となった。LA28大会組織委員会のワッサーマン委員長は、クリケット採用に関し、「25億人のファンを有するスポーツを我々の都市にもたらす好機」と述べた[33]。クリケットバット
クリケットの競技規則は、メリルボーン・クリケット・クラブ(MCC)が管理しているクリケット法を基準としている。試合は1チーム11人の2チームによって交互に攻撃と守備を1回ずつの1イニング制、または2回ずつの2イニング制で行われる。守備側が攻撃側から10アウトを取るか、規定投球数を投げ切るかで攻守交代となる。試合を行うフィールド[注 3]は長径140メートル程の楕円形であり、その中央には長さ22ヤード(20.12メートル)の長方形のピッチがある。
主な得点方法は攻撃側の選手(バッター)[注 4]が守備側の選手(ボウラー)の投げたボールをバットで打ち、その間に2人の攻撃側選手がピッチの反対側まで走り、守備側の返球でウィケットと呼ばれる杭を倒されるよりも早く、2人とも体の一部かバットがクリースと呼ばれるラインを越えると1点となる[8]。また打球がフィールド境界線のバウンダリーをゴロで越えると4点、ノーバウンドで越えると6点となる[8]。主なアウトの方法はボウラーが投球によってウィケットを倒すことや野球のフライアウトのようにバッターの打った飛球をグラウンドに着く前にキャッチすることである[8]。
歴史詳細は「クリケットの歴史」を参照
初期クラブボールと呼ばれる中世時代のゲーム
起源は13世紀に羊飼いの遊びとして始まったという説がある[8]。クリケットの前身はクラブボールと呼ばれる13世紀のイングランドのゲームであった可能性がある[34]。クリケットはサクソン人またはノルマン人の時代に、イングランド南東部の密林と開拓地が広がる地域に住む子供達によって発明された可能性があるという専門家の意見の一致がある[35]。クリケットが成人のスポーツとしてプレーされたことが初めて言及されたのは1611年である[35]。ボールを打ち飛ばして目標に到達するのを阻止しようとする打者の介入によって、ボウルから派生したのではないかという考えもある[35]。ヴィレッジ・クリケット(英語版)は17世紀半ばまでに発展し、後半には最初のイングランドのカウンティチームが結成された[35]。
18世紀前半、クリケットはロンドンとイングランド南東部の地域で主要なスポーツとしての地位を確立した[35]。その普及は旅行の制約により限定されていたが、イングランドの他の地域でも徐々に人気が高まり、女子クリケットの歴史は1745年に遡り、知られている限り最初の試合がロンドン近郊のサリーで行われた[35]。1744年に最初のクリケット法が作成され、その後1774年に修正され、レッグ・ビフォー・ウィケット(英語版)、第3スタンプ、中間スタンプ、バットの最大幅などの革新が追加された[35]。