クラフトワーク
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アウトバーンのヒット・最初の全盛期スイス・チューリッヒ公演(1976年3月)

初期の活動で得られた資金を投入し手に入れたミニモーグを使用し、新メンバーヴォルフガング・フリューアは自作の電子パーカッション等を駆使し、以前の音楽を新たなる次元に昇華させた1974年発表の4枚目のアルバム『アウトバーン』が英米でヒット。とりわけ同名のシングル曲はそれまでの多くのミュージシャンがシンセサイザーを観念・瞑想的な音楽に使用したり楽曲の添え物として使用していた方法とは大きく異なり、曲の長さが20分を超え、即物的でありながらもあくまでもそれ自体を主体としたポップ・ミュージック[注 13]という手法による一つの完成型と言えるものとなった。フローリアンの知人の音楽学校教授の生徒であり、クラシック畑の様々な仕事をこなしていたカール・バルトスも加わりアメリカ横断ツアー[注 14]も行われた(カール自身の言でもあるが以後のクラフトワークの楽曲の主な特徴としてファンキーなリズムミュジーク・コンクレートポップ・ミュージックのミックスが挙げられる)。

英国でも行われた当時のライヴ演奏の後 興奮の余り楽屋に訪れたという若き日のオーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダーク等、初期のクラフトワークの他のグループへの影響以上に知られていることだが主にエレ・ポップ、シンセ・ポップとしてのニュー・ウェイヴニューロマンティックと呼ばれるミュージシャン達にも大きな影響を与えた。独創的なステージング[注 15][注 16][注 17]も注目され、当時からクラフトワークの熱狂的なファンであり、後に彼らと親交を持ちスタジオ・ワークによる創造的絶頂をベルリン三部作で迎えたデビッド・ボウイ[注 18][注 19][注 20]がコンサートの最前列席を買い占めたことや、イアン・カーティスが愛好していたことがジョイ・ディヴィジョンの使用機材[5]や後のニュー・オーダー音楽性に影響を与えたことなども知られている。

既に自らのスタジオKLING KLANG[注 21]を構えており、初期の頃からの協力者であったコニー・プランクから独立したクラフトワークは自らの成功によって経験した出来事等にインスピレーションを得た作品を次々と発表する[注 22](例えば自分たちの音楽がラジオで流されたことインタビューを自身に似せたロボットに受けさせるという空想[注 23]等々)。特に翌年に発表された5枚目のアルバム『放射能』(: Radio-Aktivitat、: Radio-Activity)以降、彼らのほぼ全てのアルバムは作品毎に何らかのコンセプトをヴィジュアルと合わせて提示しているのが特徴[注 24]であり、感情を感じさせない無機的で禁欲的な謎めいた印象も彼らの意図した通りに確立された。これは同時期に興っていたパンク・ムーヴメント[注 25]へのアンチテーゼである[注 26]とも言われ、また衝動的なパンクと大作主義的なプログレの中間[注 27][注 28]であると考える者もいる。

ヴィジュアルや歌詞等のイメージに関してはアウトバーン以前からのステージには出ないメンバーであった詩人で画家のエーミール・シュルトの貢献は大きく、当時のヴィジュアル・コンセプトには表現主義大戦によって中断された1930年代のドイツ・モダニズムエル・リシツキーロシア構成主義を意識したものなどがある。アルバム『人間解体』では赤と黒を基調としたイメージがナチズムを連想させながらも東側を向いていることや楽曲『コンピューター・ワールド』に於ける歌詞などが政治的にも多様なものと捉えられた 。尚後年のラルフを筆頭にしたサイクリングへの高い関心もスタミナのあったエーミールに教えられたことがきっかけであった。

作品発表のペースからしても@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}一般的には1980年代初頭にかけてが彼らの最初の全盛期と見なされている[要検証ノート]。現在に至るまでのライヴの定番曲の多くもこの時期に生み出されたものである[注 29]

日本では1978年発表の7作目のアルバム『人間解体』によってディーヴォとともにテクノポップを成立させるきっかけとなり、イエロー・マジック・オーケストラに於いてはアウトバーン以前の頃から関心を持っていた坂本龍一[注 30]による他のメンバーへの紹介により結成当初のコンセプトに影響を与えることとなる[注 31]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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