クラスター_(疫学)
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1箇所での大人数の感染という現象は、当初は「集団感染」と呼ばれていた[19]が、専門家会議が3月2日に公表した「新型コロナウイルス感染症対策の見解」[20](pp6-7)がはじめて「クラスター」と表現した。厚生労働省は、この意味での「クラスター」について、それが発生しやすい環境は「3つの密」が重なる場所であると指摘し、3つの密を避けるように国民に呼びかけた[21]。なお、5名以上という基準は、2020年3月17日に厚生労働省が公表した「全国クラスターマップ」改訂版[22]で使われたものである[注 2]。2020年夏以降になると、日本政府は2名以上が1箇所で感染した事例を「クラスター」として数えるようになり[26]、5名以上という基準を維持する地方公共団体発表とのあいだに齟齬が生じた[16]

もうひとつの定着した用法は、誰から誰に感染したかというネットワーク(通常、有向グラフとして表現される)を把握して、つながりのある感染者の集団を「クラスター」と呼ぶものである[27]保健所がおこなう積極的疫学調査のために国立感染症研究所が作成したマニュアルの2020年(令和2年) 2月27日版に「連続的に集団発生を起こし(感染連鎖の継続)、大規模な集団発生につながりかねないと考えられる患者集団を指す」[28]とある例が最も古い。3月15日に厚生労働省が初めて公開した「全国クラスターマップ」[23]も、「感染者間の関連が認められた集団(クラスター)を地図上に表示した」[29] ものであった[注 2]。対策本部が3月28日に作成した「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」[30]も、「患者間の関連が認められた集団」をクラスターとしている。この「基本的対処方針」は、2023年5月8日に廃止されるまで3年以上、改訂を重ねながらもおなじクラスター定義を使いつづけた[31]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ クラスターのサイズと重要性が限度を超えた場合には、アウトブレイクとして再評価される可能性がある。
^ a b 厚生労働省は2020年3月15日に最初の「全国クラスターマップ」[23] を公開した。しかし大分県からの抗議にあい、いくつかのクラスターを図上から削除した3月17日改訂版[22] に差し替えた[24]。この際、「クラスター」の定義を、感染のネットワークに基づくものから、1箇所での感染者数に基づくものに切り替えている[16]。その後、「全国クラスターマップ」3月31日版[25]が4月2日に公開されているが、それを最後に二度と作成されることはなかった。

出典^ Agency for Toxic Substances and Disease Registry, U.S. Department of Health and Human Services (2000年8月30日). “Definition of Disease Clusters” (英語). Case Studies in Environmental Medicine (CSEM). Disease Clusters: An Overview. 2009年5月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月11日閲覧。
^ John M. Last 著、日本疫学会, 重松逸造, 青木国雄 訳『疫学辞典』(第3版)日本公衆衛生協会、2000年。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 4819201670NCID BA45495395。 
^ 吉田眞紀子 著「これだけは押さえておきたい感染症疫学用語」、吉田眞紀子, 堀成美 編『感染症疫学ハンドブック』医学書院、2015年、290-297頁。ISBN 9784260020732NCID BB18801361。 
^ 浦島充佳『パンデミックを阻止せよ! : 感染症を封じ込めるための10のケーススタディ』(新型コロナウイルス対応改訂版)化学同人〈DOJIN選書 84〉、2020年。


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