クモ
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対立する説として Orthognatha(古蛛類・原蛛類)と Labiognatha(新蛛類)に分ける説もあったが、1976年にはこれらの系統関係が見直され[21]、現在では古蛛亜目をハラフシグモ亜目(中疣亜目 Mesothelae)として分け、残るものをまとめたクモ亜目(後疣亜目 Opistothelae)にトタテグモ下目(原蛛下目 Mygalomorphae)とクモ下目(新蛛下目 Araneomorphae)をたて、それらに当てる[22]

普通のクモ類(クモ下目)の中の分類では、上位分類のための形質として、さらに以下のような特徴が重視される。

出糸突起の前に篩板を持つものを篩板類として大きくまとめるのが従来の分類法であった。現在の日本で出版されている図鑑等はこれに基づいているものが多い。ただし、この特徴に基づく分類は後に誤りではないかとされ、現在分類体系の見直しが行われている。

もう一つの上位の分類として、単性域類と完性域類の区分がある。これは外性器の構造に関するもので、前者ではそれが単純であるのに対し、後者でははるかに複雑になっている。これは現在でも重要な区分と考えられる。

さらに、完性域類の中では歩脚の爪が2つの二爪類と3つの三爪類が大きな系統をなすとされる。この内の前者は徘徊性、後者は主として造網性の系統である。

以下に古典的な分類体系として八木沼(1986)の体系を示す[20]

古蛛亜目 Liphistiomorphae(ハラフシグモ類)

キムラグモ上科(キムラグモ科)


原蛛亜目 Mygalomorphae(トタテグモ類)

トタテグモ上科(トタテグモ科、カネコトタテグモ科)

ジョウゴグモ上科(ジグモ科、ジョウゴグモ科)


新蛛亜目 Araneomorphae(クモ類、フツウクモ類)

篩板類 Cribellatae

ウズグモ上科(ウズグモ科、ガケジグモ科、ハグモ科、チリグモ科)

スオウグモ上科(スオウグモ科)

カヤシマグモ上科(カヤシマグモ科)


無篩板類 Ecribellatae

単性域類 Haplogynae

イノシシグモ上科(エンマグモ科、イノシシグモ科、タマゴグモ科)

ヤマシログモ上科(マシラグモ科、イトグモ科、ユウレイグモ科他)


完性域類 Entelegynae

三爪類 Trionycha

コガネグモ上科(ヒメグモ科、サラグモ科、コガネグモ科、アシナガグモ科他)

ナガイボグモ上科(ヒラタグモ科、ナガイボグモ科、ホウシグモ科)


二爪類 Dinonycha

フクログモ上科(フクログモ科、シボグモ科、アシダカグモ科他)

ワシグモ上科(ワシグモ科、イヨグモ科、ヒトエグモ科)

カニグモ上科(カニグモ科、エビグモ科)

ハエトリグモ上科(ハエトリグモ科)




しかし近年これを否定する考えが大きな支持を受け、分子系統学の発展もあって、分類体系に大きな変更の動きが続いている[22]。特に、篩板を持つ群の扱いが大きく変化した。それによると、クモ類の主な部分を占める系統はかつて篩疣を持っていたのだが、そのうちのいくつかの系統で篩疣が消失し、しかも篩疣を失った系統が大発展を遂げたため、篩疣を持つものが比較的まとまって見えるだけで、実際には側系統群なのだという。このような新たな考え方に基づく分類体系は、科の配置を始めとして従来の分類体系と大きく異なり、中にはそれまで篩板類と無篩板類に分かれていたものが同一の科に含まれるようになるものすらある。これは一部では分子系統学にも支持されているが、すべてがこの考えに合致しているわけでもない。また、篩板の有無はやはりそれなりに重視されるべきとの考えもあり、統一見解はない。今後の研究の進展が待たれる。
近年の分類体系

小野(2009)は上記のように篩板の有無が系統を反映するとの判断を元にした分類体系を示した。小野・緒方(2018)ではさらにこれを改めて世界標準の分類体系を採用している。以下にこれを示す。

なお、下記のうち日本から記録のあるクモの科は64であり、これは全部のクモの科の数(117)の半分ほどでしかない。

Order Araneae クモ目

Suborder Mesothelae
ハラフシグモ亜目

Liphistiidae ハラフシグモ科


Suborder Opistothelae クモ亜目

Infraorder Mygalomorphae トタテグモ下目

Atypoidea ジグモ上科

Atypidae ジグモ科

Antrodiartidae カネコトタテグモ科


Avicularioidea オオツチグモ上科

Dipluridae ホンジョウゴグモ科

Hexathelidae ミナミジョウゴグモ科

Porrhothelidae ニュージーランドジョウゴグモ科

Actinopodidae ヤノテグモ科

Euctenizidae シントタテグモ科

Cyrtaucheniidae モサトタテグモ科

Barychelidae ヒラアゴツチグモ科

Theraphosidae オオツチグモ科

Nemesiidae イボブトグモ科

Migidae アゴマルトタテグモ科

Paratropididae ヘリタカジグモ科

Ctenizidae モノトタテグモ科

Halonoproctidae トタテグモ科

Idiopidae カワリトタテグモ科

Mecicobothriidae イボナガジョウゴグモ科

Microstigmatidae ビキモンジョウゴグモ科



Infraorder Araneomorpha クモ下目

Haplogynae 単性域類

Hypochilidae エボシグモ科

Filistatidae カヤシマグモ科

Trogloraptoridae ホラアナカリウドグモ科

Caponiidae カガチグモ科

Dysderoidea イノシシグモ上科

Segestriidae エンマグモ科

Oonopidae タマゴグモ科

Orsolobidae フタヅメイノシシグモ科

Dysderidae イノシシグモ科


Scytodoidea ヤマシログモ上科

Sicariidae イトグモ科

Drymusidae アヤグモ科

Periegopidae トゲヌキエンマグモ科

Ochyroceratidae エンコウグモ科

Telemidae ヤギヌマグモ科

Scytodidae ヤマシログモ科


Tetrablemmatidea ジャバラグモ上科

Tetrablemmatidae ジャバラグモ科

Plectreuridae クチコグモ科

Diguetidae コトグモ科

Pavuliidae パクラグモ科

Pholcidae ユウレイグモ科


(群名不詳)

Gradungulidae ハガクレグモ科

Cithaeronidae イダテングモ科

Leptonetidae マシラグモ科

Austrochilidae ムカシボロアミグモ科



Entelegynae 完性域類

Plpimanoidea エグチグモ上科

Mecysmaucheniidae パタゴニアアゴダチグモ科

Huttoniidae ハットングモ科

Stenochilidae カレイトグモ科

Archaeidae アゴダチグモ科


Nicodamoidea アカクログモ上科


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