クモ綱
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鎌型の触肢と感覚用の第1脚をもつウデムシ

鋏角、触肢と脚クモ触肢歩脚の肢節構成(前?節を除く)サソリ歩脚腿節(左)、膝節(右上)と脛節(右下)。膝節に格納され、腿節と脛節に繋がる伸筋が観察できる。

前体鋏角1対・触肢1対・4対という、順に第1-6体節由来の6対の付属肢関節肢)をもつ[9]。他の鋏角類と同様、大顎類に見られる触角は存在しない[注釈 8][13]

鋏角(chelicera)は唯一での前にある付属肢である。2-3節に分かれ、種類によって[注釈 9]もしくはのような折りたたみナイフ状となる[注釈 10][9]。通常は小さくて目立たないが、強大に発達した例もある[注釈 11][14][9]クモの鋏角を「上顎」[15]カニムシの鋏角を「鋏顎」[16]など、分類群により「顎」の名が付くこともあるが、鋏角自体は他の節足動物(第3体節由来の大顎と第4-5体節由来の小顎)とは別器官である[13]

鋏角の直後には、原則として見かけ上6節(基節 coxa・転節 trochanter・腿節 femur・膝節 patella・脛節 tibia・?節 tarsus)に分かれた触肢(pedipalp)があり、ほとんどの場合では捕食感覚など歩行以外の役割をもつ。基本構造は脚に似たものの特化が進み、明確に脚から区別できる[9]。特に捕食用の場合、触肢は鋏状[注釈 12][注釈 13]など、歩脚らしからぬ形に特化したもの多い[9]

触肢以降は4対のが並び、原則として見かけ上7節(基節・転節・腿節・膝節・脛節・蹠節 metatarsus・?節)に分かれ、種類や番目により6節や8節以上の例もある[注釈 14][17]。通常、腿節は太もものように長大で、膝節はそれより短いが、カニムシとヒヨケムシは逆に膝節の方が長大な場合が多い[17]。通常は全てが歩行用の歩脚だが、そのうち1対以上が感覚用に特化し、歩行に用いられない例もある[注釈 15][9]ダニ類の中では、後方1-2対の脚が退化消失したものもある[注釈 16][18]。腿節から脛節までの間の関節は、種類により伸筋があったりなかったりする[注釈 17][17][19]。伸筋をもたない種類は、代わりに体内(血リンパ)の水圧や特化した骨格の弾性で脚を伸ばしたと考えられる[17][19]。?節は種類により二次的な分節(?小節 tarsomere)があったりなかったりする[注釈 18][17]。なお、脚の蹠節と?節は通常では2節として数えられるが、その関節にはなく、解剖学的にはこの2節全体が触肢の?節に連続相同で、二次的に2節に分化し1肢節とされる[17]。これにより、解剖学上ではこの2節全体が「?節」で、従来の蹠節は基?節(basitarsus)、従来の?節は端?節(telotarsus)と呼ばれている[17][20]

触肢・脚とも原則として鉤爪吸盤状の爪間盤(pulvillus, arolium, empodium, onychium, plantium[21])が生える微小な前?節(pretarsus, apotele)を先端にもつが、全くもたない例もある[注釈 19]。他の陸棲節足動物多足類昆虫など)の脚に似て、これは通常では肢節として数えられていないが、独自の腱をもち、解剖学的には真の最終肢節とされる[17][20]。基節から突出した摂食用の内突起(endite)は不動で目立たなく、触肢とごく一部の種類[注釈 20]の第1-2脚のみにもつ[13]。これらの内突起は種類により「下顎」(maxilla, クモの触肢基節内突起)・「顎葉」(coxapophyses, apophysis, サソリザトウムシの触肢と第1-2脚基節内突起)などとも呼ばれているが、他の節足動物における顎とは別起源である[13]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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