網の中で粘り気があるのは横糸だけである。横糸をよく見ると、数珠のように粘球が並んでいるのがわかる。横糸は螺旋状に張られているが、普通網の下側の方が数が多い。これは、網の下側では一部が螺旋ではなく、往復で張られているからである。
円網の構造、クモの糸の構造[3]
網の張り方餌を捕らえたクモ
網を張るには、まず枠糸を張らなければならない。普通、クモは出糸突起から糸を出し、それを風に乗せて飛ばし、向こう側に引っ掛かると、その糸の上を往復して糸を強化することで枠を作る。そのため、川の流れを越えて網を張ることができるものもいる。次に、枠の内側に縦糸を張る。縦糸を張り終えると、中心から外側に向けて、螺旋状に粗く糸を張る。これは、横糸ではなく、後に横糸を張る時の足場であるという意味で、足場糸(あしばいと)と呼ばれる。足場糸が引き終わると、今度は外側から内側へと横糸を引き始める。横糸を張る時、クモは縦糸に出糸突起をつけて糸をくっつけると、中心に向かって進み、足場糸にさわると外側へ針路を変更し、次の縦糸に糸をくっつけるという動作を繰り返す。足場糸が横糸を張る邪魔になると、その足場糸は切る。最終的にはすべての足場糸は切り捨てられ、細かく横糸が張られて完成する。普通の円網では、完成まで1時間とかからない。
網のたたみ方隠れ帯(白帯)
オニグモの仲間では、夜間だけ網をはるものが多い。夕方に網を張り、明け方には片付けてしまう。この時、網を張る手順のほぼ逆の手順で、規則正しく網をかたづける。枠だけは残しておいて、次回も使う場合もある。
片付けた網はどうするかについて、ファーブルは、それを食べてしまう、とする観察を残した。後にそれは疑問視され、網を壊して団子にするが、それを弾き飛ばして捨ててしまうとの観察も出された[4]。しかし、放射性同位体を使った調査により、少なくとも一部のクモの場合、網を食べるのは事実であり、しかもそれが翌日には再び糸として再利用されていることが確認された[要出典]。 コガネグモの場合、常に円網の中心に陣取っているが、アオオニグモなどでは円網の枠糸の端に葉を丸めて巣を作り、その中に潜んでいる。これは網と巣が別個に作られる例である。 コガネグモの仲間は、網にジグザグやX状に糸でできた白い帯をつけることが多い。これをクモの姿を隠す働きがあるとして、隠れ帯というが、そのような効果があるかどうかは定かではない。そのため、白帯(はくたい)という呼び方もある。 一部のオニグモ類では、網のたいてい上側に、縦糸3本分の横糸のない空白を作るものがある。このような網は、横糸をはる時に往復運動だけで作られるもので、このような網をキレ網という。 コガネグモ科のクモは、たいてい円網を地面に垂直に張るが、アシナガグモ科のものは水平にはるものが多い。また、この類では網の中心のクモの止まる位置を食い破って穴を作るので、無こしき網と呼ばれる。 2011年、国際宇宙ステーション(ISS)のSTS-134ミッションで打ち上げられたアメリカジョロウグモ
網の特徴
無重力状態での巣作り
変形した型スズミグモ属(英語版)のオワレスズミグモ(英語版)の巣
円網から変形したものも様々である。代表的なものをあげる。 クモの張る網の形には他にもさまざまなものがある。代表的なものをあげる。 クサグモなど、タナグモ科
ジョロウグモの網は足場糸を残し、縦糸が分枝し、その前後に補助の網がつく。また、前後に小さな網を持ち、全体が立体的になっている。
オウギグモは丸網の中央から数本分の縦糸分だけが残った扇形の網を張る。横糸のある区画の反対側にもう1本の糸が引かれ、そこにクモは止まっている。
スズミグモ属(英語版)のものは立体的な枠糸に支持されたシートを持つ網を作る。一見ではサラグモ科のものに似るが、シートの部分は円網と同じような格子の網目になっており、円網の変形と考えられる。ただし粘球のある横糸はない。
ヨリメグモ科などのものは、基本的には円網だが、縦糸を平面でなく立体的に張るため、一見では不規則網のように見える。
その他の網
棚網