クマ
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また他の説として、求愛行動のため、寄生虫を振り落とすため、あるいは虫除けのためがある[27]。背こすりを行うと木にはココナッツのような甘い匂いが付き、強い雄の方が背こすりの回数が多くなる傾向がみられる[28]。背こすりする木は、複数年にわたって使われたり、複数の個体が利用したりという嗜好性が見られた。また、背こすりするのは、4月以降に増加して発情時期と重なる6‐7月にピークを迎えることから繁殖にかかわる行動であることが指摘されている[29]。選ばれる木については、ヒグマにおいてはトドマツが圧倒的に選ばれ、他の木は稀であった。また、胸高直径が周りの木より大きく、生えている斜面はなだらか、林道から近い場所である傾向が見られた[29]
木登り、熊棚、クマ棚
木に登ってドングリや果実を食べる。この際、枝を手繰り寄せて折ったりして木の上に鳥の巣のような枝の集まりを作るが、枯れ葉が付いているのが鳥の巣との違いである[30]。また、これらの木の下には枝などが落下する[31]
クマハギ
クマが、木の皮を剥いで形成層部を食べる行動をクマハギと呼ぶ。2から3条の筋が何本もつくが、これは形成層を食べた後である。20?30年経過した育ちのよい木を好み、林業業者で管理している優良木が集中してかじられることもある熊害である。これらの被害は、形成層が食べられるという知識の拡散、ドングリなどの食料不足などから発生する。対策として、忌避剤や幹に巻き付ける防護具などが行われる[32]
熊同士の喧嘩
怪我をするため喧嘩を避けようとするが、喧嘩となった場合は死亡するまで攻撃を行う場合がある[33][34]
攻撃性、餌への執着
子連れの雌、手負い、発情期の雄は攻撃性が高まる[35]。また、餌への執着があり、横取りする相手には攻撃的になる[36]。大きな餌で食べきれない場合は、土や木の枝で隠して土饅頭と呼ばれる状態で保管する貯食行動が見られ、土饅頭の餌に近寄ろうとすると攻撃的になる[37]。空腹なときにも攻撃的になるため、対策として餌を与えろという研究者もいるが、人間と接触しやすくなるという意見もある[38]
威嚇行動
二本足で立ちあがり首を振るなどで大きく見せたり、威嚇突進(ブラフチャージ)と呼ばれる突進した後に地面を叩いて引き返す仕草を見せる[39]
冬眠クマの冬眠穴(ロシア語版)(越冬穴)で冬眠しているアメリカグマ

冬眠を行うのは、8種のクマのうちホッキョクグマ、ヒグマ、ツキノワグマ、クロクマの4種で確認される。なお、ホッキョクグマはメスだけが出産・保育のために冬眠し、雌雄ともに夏から秋まで絶食で歩く冬眠と呼ばれる状態となる[40]

クマの冬眠は、体温の降下度が小さい、基本的に中途覚醒がない、筋肉や骨の退行がない、インスリン抵抗性になるなどの特徴を有する[40][41]。聞きなれた音には、ある程度寛容で冬眠に入る[42]

四国のツキノワグマのメスは、根が地上に露出してできた空洞「根上がり」の下を冬眠穴(ロシア語版)(越冬穴)としやすい[43]。樹洞、岩穴、土穴などを冬眠穴とする[44]

冬眠後に留糞(英語版)(とめふん)という固い糞をする[45]
期間

古代中国で考案された季節を表す七十二候を日本に導入した際、大雪次候(12月11?16日ごろ)の名称を熊蟄穴(くまあなにこもる)として冬眠用の穴に籠る時期とした[46][47]

のぼりべつクマ牧場によると、野生のヒグマは12月から翌年4月頃まで冬眠するとしている[48]

東京農業大学の山崎晃司教授によると、ツキノワグマは11月‐翌年4月頃まで冬眠するとしている[44]

覚醒は、オス、単独メス、子連れメスの順に冬眠から目覚める[40]

ただ、すべてのクマが冬眠するわけではなく、一時中断する場合もある[44]。冬眠できない理由として、冬眠をこなせる栄養状態でなく冬でも餌を探すため[49]、暖冬で気温が高い[50]、動物園のように冬でも餌が得られる[51]などが上げられる。
繁殖と子殺し

成獣の雌は7-8か月の妊娠期間を経て、約1-4子(平均で約2子)を出産する。冬ごもりを行う種は冬ごもり中に幼獣を産む[5][6]。春から夏の間を繁殖シーズンとするが、すぐ妊娠するわけではなく出産時期などをコントロールするため受精卵を発生休止(英語版)(着床遅延)させて、秋に十分な栄養を蓄えなければ妊娠できない仕組みとなっており[52][53]、冬眠導入期(11月下旬から12月上旬)に着床して、出産し、母熊は冬眠状態・子熊が覚醒状態で授乳が行われる[40]

1歳半から2歳半になる夏ごろまで、母親から食べ物などの生き方の教育を受けてから親離れする。メス熊は母親から近い場所にいるが、オス熊は母親から遠く離れる傾向があり、その時期に人里にくる場合がある[26]

一部の種では、オスがメスの発情を促すために子殺し(英語版)を行う[54][55][56]。一部の子熊連れの母熊は、オス熊を避けるために人間の生息域近くに移動する場合がある[57][58]

非常に稀にではあるが、人間の子供をさらって野生児として育てるという報告がある[59][60](Barenmadchen von Krupina(ドイツ語版))。
人間との関係

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出典検索?: "クマ" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2019年1月)
アメリカ合衆国アラスカ州デナリ国立公園にある立ち入り禁止・クマ出没注意の看板
クマによる被害と回避「熊害」および「熊狩り(英語版)」も参照

クマによる農作物被害、山林被害、畜産被害、人身被害などが深刻な問題となっている[61]

1980年代後半に、モンタナ大学の学生が修士論文の研究でクマよけスプレー(英語版)を開発した[62][63]。2008年の研究では、クマよけスプレー所持者がクマに遭遇して、無傷であった割合は98%であった[63]

ナショナルジオグラフィックでは、クマに襲われない方法として「興味を持たれる匂いを発さない。クマよけスプレーを携帯する。危険なエリアは他の人や犬などの集団で行動する。走って逃げ切ることは不可能なため、ゆっくりと警戒しながら離れるか、うつ伏せとなり重要な臓器を守り、首の後ろで手を組み、膝を折り曲げるのが被害を抑える。」としている[64]

日本ツキノワグマ研究所の米田一彦理事長は、「ばったり出くわしたら、地面に伏せて首をガードし、1撃目を食らわないのが大事」「死んだふりは効果がある」と述べている[65]

また、鎌や鉈などの目立つものを振り回したり、大きな音がなるものを鳴らしたり、大声で助けを求めるのも良いとする研究者も複数いる[66][65]
農作物被害
コメ、トウモロコシ類、ムギ、スイカ、ニンジン、モモ、リンゴ、ナシなどの農作物が被害にあうことがある[61]。長野県では、トウモロコシはツキノワグマを引き寄せるとしており、対策として電気柵が効果的であるとしている[67]
農業以外での被害
林業では、人工林などへのクマハギ、クマとの遭遇。狩猟では、くくり罠にかかった獲物の横取りと、獲物を土饅頭にしてクマが周囲を警戒するため狩猟者が近寄れなくなり良好な罠の設置場所の制限を受ける[68]
人身被害
クマ鈴。裏磐梯ビジターセンターにて。生息地で出遭わないようにするには、鈴を鳴らす、時々手を叩く、時々掛け声をあげる、ラジカセなどで大きな音を出すなどしながら存在を早期にクマに知らせることである[69]。2016年度(平成28年度)の日本におけるヒグマ/ツキノワグマによる被害者数は105人に上り、内4人が命を落としている。環境省は、クマ被害の増加を踏まえ、「クマ類の出没に係る適切な対応について(依頼)」[70][71]を発出し、「立入り制限や捕獲対策等の迅速な対応」「ヒトとクマのあつれき解消に向けた取組」などの対策を示しているものの、具体的解決策は見いだせていない。


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