主に山岳地帯や森林に生息するが、ホッキョクグマは氷原に生息する。足裏を接地して移動する(蹠行性)[5][6][8]。寒い地方および冬季に食料が少ない地域の種類は秋期に豊富に栄養を摂って、冬季に冬ごもりを行う。冬眠中のクマは体温が下がり、呼吸数や心拍数が減るとともに、餌や水を口にしなくなるだけでなく、排泄や排尿も見られなくなる。
主に植物食傾向の強い雑食だが[6][8]、ホッキョクグマは肉食の傾向が強い[6]。両者の間では顔の骨格も異なり、前者はよく発達した頬骨弓・側面にみられる眼窩および小さな犬歯を収めた短くて円筒形の頭蓋骨・関節が高い位置にある弓型の下顎骨・側頭筋と咬筋の大きな付着部・長い臼歯を特徴に持っている。対称的に、後者は小さな頬骨弓・正面にみられる眼窩およびよく発達した犬歯を収めた長大な頭蓋骨と長い顎・歯列レベルまで低い顎関節・少ない臼歯を特徴に持っている[20]。
視角は優れておらず、イヌ並み以上に優れた嗅覚や聴覚を頼りにしている[21][22]。記憶力もあり、一度餌場として記憶すると同じ場所に現れる傾向がある[23][21][24]。
クマ類は、親子連れや繁殖期間でもなければ、基本は単独行動である[25]。
縄張り、背こすり
縄張り意識はなく、行動圏が重複する場合がある[26]。だが、雄の場合は、木に背中をこすり付ける行動が見られる。これは、カンブリア大学で動物保護学を教えているオーウェン・ネビン(Owen Nevin)によれば、匂いによるマーキング(英語版)で縄張りを主張して余計な決闘を避けるためであるとしている。また他の説として、求愛行動のため、寄生虫を振り落とすため、あるいは虫除けのためがある[27]。背こすりを行うと木にはココナッツのような甘い匂いが付き、強い雄の方が背こすりの回数が多くなる傾向がみられる[28]。背こすりする木は、複数年にわたって使われたり、複数の個体が利用したりという嗜好性が見られた。また、背こすりするのは、4月以降に増加して発情時期と重なる6‐7月にピークを迎えることから繁殖にかかわる行動であることが指摘されている[29]。選ばれる木については、ヒグマにおいてはトドマツが圧倒的に選ばれ、他の木は稀であった。また、胸高直径が周りの木より大きく、生えている斜面はなだらか、林道から近い場所である傾向が見られた[29]。
木登り、熊棚、クマ棚
木に登ってドングリや果実を食べる。この際、枝を手繰り寄せて折ったりして木の上に鳥の巣のような枝の集まりを作るが、枯れ葉が付いているのが鳥の巣との違いである[30]。また、これらの木の下には枝などが落下する[31]。
クマハギ
クマが、木の皮を剥いで形成層部を食べる行動をクマハギと呼ぶ。2から3条の筋が何本もつくが、これは形成層を食べた後である。20?30年経過した育ちのよい木を好み、林業業者で管理している優良木が集中してかじられることもある熊害である。これらの被害は、形成層が食べられるという知識の拡散、ドングリなどの食料不足などから発生する。対策として、忌避剤や幹に巻き付ける防護具などが行われる[32]。
熊同士の喧嘩
怪我をするため喧嘩を避けようとするが、喧嘩となった場合は死亡するまで攻撃を行う場合がある[33][34]。
攻撃性、餌への執着
子連れの雌、手負い、発情期の雄は攻撃性が高まる[35]。また、餌への執着があり、横取りする相手には攻撃的になる[36]。大きな餌で食べきれない場合は、土や木の枝で隠して土饅頭と呼ばれる状態で保管する貯食行動が見られ、土饅頭の餌に近寄ろうとすると攻撃的になる[37]。空腹なときにも攻撃的になるため、対策として餌を与えろという研究者もいるが、人間と接触しやすくなるという意見もある[38]。
威嚇行動
二本足で立ちあがり首を振るなどで大きく見せたり、威嚇突進(ブラフチャージ)と呼ばれる突進した後に地面を叩いて引き返す仕草を見せる[39]。
冬眠クマの冬眠穴(ロシア語版)(越冬穴)で冬眠しているアメリカグマ
冬眠を行うのは、8種のクマのうちホッキョクグマ、ヒグマ、ツキノワグマ、クロクマの4種で確認される。なお、ホッキョクグマはメスだけが出産・保育のために冬眠し、雌雄ともに夏から秋まで絶食で歩く冬眠と呼ばれる状態となる[40]。
クマの冬眠は、体温の降下度が小さい、基本的に中途覚醒がない、筋肉や骨の退行がない、インスリン抵抗性になるなどの特徴を有する[40][41]。聞きなれた音には、ある程度寛容で冬眠に入る[42]。
四国のツキノワグマのメスは、根が地上に露出してできた空洞「根上がり」の下を冬眠穴(ロシア語版)(越冬穴)としやすい[43]。樹洞、岩穴、土穴などを冬眠穴とする[44]。
冬眠後に留糞(英語版)(とめふん)という固い糞をする[45]。
期間
古代中国で考案された季節を表す七十二候を日本に導入した際、大雪次候(12月11?16日ごろ)の名称を熊蟄穴(くまあなにこもる)として冬眠用の穴に籠る時期とした[46][47]。
のぼりべつクマ牧場によると、野生のヒグマは12月から翌年4月頃まで冬眠するとしている[48]。