クトゥルフ
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クトゥルフは「旧支配者の大祭司」とされる[2]

教団本部はアラビアの無名都市にあり、また中国の山には教団の不死の指導者たちがいる。カルトは世界各地に様々な形で潜伏しており、インスマウスのダゴン秘密教団もその1つ。

HPLとスミスは、クトゥルフとツァトゥグァの2邪神を血縁と設定した。
クトゥルフ神話における基本設定

HPL後にダーレスが体系付けたクトゥルフ神話においては、クトゥルフは旧支配者の一柱で、四大霊の水の精の首領であり、風の精の首領ハスターと対立する[5][6][7][8]。世界中でカルトが活動していることから、最も恐ろしい旧支配者とされる[6]

クトゥルフの初期設定は初期辞典『クトゥルー神話小辞典』『クトゥルー神話の神神』で要約されており、ダーレス、HPL、カットナーの作品を材料としている。ただし批判や指摘もある[注 2]
ルルイエ詳細は「ルルイエ」を参照

クトゥルフは、南太平洋の海底に沈んだ古代の石造都市ルルイエで、死のごとき眠りについている。ルルイエの島は、ときに天体現象や地殻変動によって海面に浮上することがあり、クトゥルフの夢がテレパシーによって外界へ漏れ、影響された人々を狂乱に駆り立てる。これは『クトゥルフの呼び声』に詳しい。 "Ph'nglui mglw'nafh Cthulhu R'lyeh wgah'nagl fhtagn"(死せるクトゥルフ、ルルイエの館にて、夢見るままに待ちいたり)

クトゥルフの眷属たちが用いる言語はルルイエ語とされる[9]。ルルイエ語で有名なものが上記のフレーズで、クトゥルフがやがて目覚めると信じられている。

ダーレス神話以降では、ルルイエの沈没とクトゥルフの眠りは、旧神によって封印されたためとされる。またルルイエの名を冠する文献「ルルイエ異本」が存在する。
神々の系譜

クトゥルフは、単独ではなく一族で地球へと到来した。クトゥルフには同種の生物がいる。

神クトゥルフの「家系図」は複数あるが、こんにちではリン・カーターの系譜を基盤としたものが知られている。これはクトゥルフに三柱の息子ゾス三神(ガタノトーア、イソグサ、ゾス=オムモグ)と、娘のクティーラがいるというもの。詳細は「クトゥルフの一族」を参照
HPL等(原神話、ラヴクラフト神話
ヨグ=ソトースシュブ=ニグラスの子供がナグとイェブになり、ナグからクトゥルフ、イェブからツァトゥグァが生まれた。
スミス(エイボン・プノム系図)
ツァトゥグァの父とクトゥルフが兄弟である。
リン・カーター(大系化されたクトゥルフ神話
ヨグ=ソトースの息子であり、ハスターツァトゥグァ[注 3]ヴルトゥームは異母兄弟である。このうちハスターとは敵対している。ゾス星系の雌神イダー=ヤアーとの間にガタノトーア、イソグサ、ゾス=オムモグの三兄弟(ゾス三神)をもうけている。
ブライアン・ラムレイタイタス・クロウのシリーズ)
クトゥルフが邪神の王である[注 4]。ゾス三神の妹に秘密のクティーラがいる。旧神クタニド帝は兄弟。旧神から堕ちた者たちが邪神となった。
ジョゼフ・S・パルヴァー(およびTRPG6版以降)
二番目の妻スクタイ(詳細不明)がいたが、クトゥルフ自身が殺害。三番目の妻カソグサ(蛇の女神)は妹でもあり[10]、双子の姉妹ヌクトーサとヌクトルーをもうけた。
従神、眷属、カルト

神レベルの眷属として、ダゴンシュド=メルがいる。ダゴンとヒュドラは水棲種族「深きものども(および人間との混血)を従える。他の従神としてはオトゥーム(曰く、クトゥルフの騎士)、ムナガラー(曰く、クトゥルフの右腕)[11]などが挙げられる。作品によってはナイアーラトテップがクトゥルフの使者として活動していることがある[12][13]

夢によるテレパシーで信奉者に指示を送っている。カルトには、クトゥルフを信仰するクトゥルフ教団がある他、傘下に幾つものカルトを持ち、人間の信者に加えて非人間の信者(奉仕種族)がいる。過去においては、ムー大陸で崇拝されていた[14][15]。『永劫の探究』のシュリュズベリイ博士によると、クトゥルフ崇拝の拠点は8箇所(南太平洋ポナペ、北米インスマス、ペルーの地底湖、など)。

『クトゥルフの呼び声』で姿を見せた信者たちは、その後も彼等の神の復活のために暗躍を続け、ジョン・レイモンド・ルグラース及びアントン・ザーナク博士等と幾度も戦い、最終的にはヒマラヤ山中で壊滅している[16][注 5]
発音

名前は、ギリシア語で「地下」を意味する"Chthonic"から着想を得たと言われている。これは、1932年作品『壁のなかの鼠』において言及された。

日本語による「クトゥルフ」表記は1974年出版の『ラヴクラフト傑作集』(後のラヴクラフト全集1)を訳した大西尹明によるものであり、表記の理由を「発音されると考えられる許容範囲内で、その最も不自然かつ詰屈たる発音を選んだがため」としている[17]

宇宙から飛来した異生物クトゥルフの名前は、本来、人間には発音不能とされ(ルルイエも同様)、その呼称を便宜的に表記したものである。英語では"Cathulu", "Kutulu", "Q'thulu", "Ktulu", "Cthulu", "Kthulhut", "Kulhu", "Thu Thu", "Tulu"など、複数の綴りが存在し、発音も決まっていない。S・T・ヨシは、「HPLは、"Khlul'hloo"(クルールー)もしくは"Kathooloo"(カトゥルー)という音を"Cthulhu"と書き写した」と述べている。HPL自身は、"Cthulhu"の発音について「舌の先をぴったり口蓋に押しつけて、不完全な二つの音節、Cthu-lhuを唸るように、吼えるように、咳きこむように発音する[18]」と書簡に記述している。これをカタカナで表現すると「クルールー」になる。一方、HPLから遺著管理者に指名されたロバート・H・バーロウは「HPLは"Cthulhu"を"Koot-u-lew"と発音していた」と証言しており、オーガスト・ダーレスもこれを支持した。「クトゥルー」という表記は、このバーロウの説に由来する。

HPLは諸作品で、メキシコの鉱山でCthulhutl(クトゥルートル)、ウガンダの密林でClulu(クルル)、地底世界でTulu(トゥルー)と呼ばれているとした[19]。またスミスはKthulhut(クトルット)という表記を用いた[7][要検証 – ノート]。
Cthulhuの日本語表記

クトゥルフ:全集1(
大西尹明)・2(宇野利泰)、新潮、クトゥルフ神話TRPGなど

クトゥルー:クト、新訳など

ク・リトル・リトル:真ク、新ク、荒俣宏

クルウルウ:全集3以降(大瀧啓裕訳分)

クスルウー:定本

先述の理由から、大瀧啓裕は、「クルウルウ」「クトゥルー」の2表記を意図して使い分けている。大瀧は全集とクトの両方の邦訳を担っており、クルウルウ=HPLが作り出した神話作品、クトゥルー=ダーレスが作り上げた神話体系としている。

ほか、『クトゥルフの呼び声』の邦訳題ぶれにも影響する。「クトゥルフの呼び声 (小説)#収録」を参照
世界の中のCthulhuの名前の設定


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