クチナシ
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果実は液果で、長さ約2 cmの長楕円形[12]、側面にはっきりした5 -7本の稜が突き出ており、先端には6個の萼片が残り、開裂せず針状についている[16][20]。多肉の果皮の中に90 - 100個ほどの種子が入っており、形は卵形や広楕円形をしている[20]。液果は冬に熟す[20]。八重咲きの品種では、種子はできない[21]





八重咲きの花

果実

熟した果実のついた樹(2009年11月撮影)

イワカワシジミの食痕がある果実(沖縄県宜野湾市、2008年12月)

スズメガに典型的な尻尾(尾角)をもつイモムシがつくが、これはオオスカシバ幼虫である[22]奄美大島以南の南西諸島に分布するイワカワシジミシジミチョウ科)の幼虫は、クチナシのつぼみや果実等を餌とする[23]。クチナシの果実に穴が開いていることがあるが、これはイワカワシジミの幼虫が中に生息している、または生息していた跡である。
栽培

温暖地でやや湿った半日陰を好む[16]。繁殖は梅雨時期に挿し木にて行われる[16]。冬期は、ビニール覆いをするなど、乾燥と寒さを防ぐ[16]。種蒔で繁殖する場合は、実を潰して種子を取り出し、春か秋に蒔く[16]

栽培されることが多く、庭や公園に植えたり、生け垣にもされる[24]品種改良によりバラのような八重咲き品種も作り出されている。ヨーロッパでは、八重の大輪花など園芸種の品種改良が盛んに行われてきた[14]
利用

果実は薬用になり、カロテン、イリノイド配糖体のゲニポシド、ゲニポシド酸、フラボノイドのガーデニンや、精油などを含んでいる[7]。カロテンはプロビタミンAとも呼ばれ、人間の体内で吸収されてビタミンAに変化する[25]。また、果実にはカロチノイドの一種・クロシンが含まれ、乾燥させた果実は古くから黄色の着色料として用いられた。また、同様に黄色の色素であるゲニピン米糠に含まれるアミノ酸と化学反応を起こして発酵させることによって青色の着色料にもなる。花も食用になる。
薬用

果実を水で煮だしたエキスには、胆管や腸管のせばまりを拡張させる作用があるといわれている[7][注釈 1]。このゲニピンはクチナシのゲニポシドの腸内細菌代謝により生成されるとされる。[26]

10 - 11月ころに熟した果実を採取し、2 - 3分熱湯に浸したあと、天日または陰干しで乾燥処理したものは、山梔子(さんしし)または梔子(しし)とも称され、日本薬局方にも収録された生薬の一つである[7][10][17]漢方では、消炎、利尿止血鎮静、鎮痙(痙攣を鎮める)の目的で処方に配剤されるが、単独で用いられることはない[7][16]。煎じて解熱、黄疸などに用いられる[14]黄連解毒湯竜胆瀉肝湯、温清飲、五淋散などの漢方方剤に使われる。民間療法では、1日量2 - 3グラムの乾燥果実を400 ccの水に入れて、とろ火で半量になるまで煎じて服用する用法が知られている[10]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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