クジラ目
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鯨類[3]
英名
Cetaceans[3]
下位分類群


古鯨類 Archaeoceti†(絶滅、側系統群)

正鯨類 Autoceta(=Neoceti、現生鯨類)

ヒゲクジラ小目 Mysticeti

ハクジラ小目 Odontoceti


鯨類(げいるい、英名:Cetaceans)は、偶蹄目または鯨偶蹄目のCetacea下目に分類される分類群魚類体形の現生水生哺乳類と、その始原的祖先である陸棲哺乳類、および、系統的類縁にあたる全ての化石哺乳類を総括したグループを言う。新生代初期の水辺に棲息していた小獣を祖として海への適応進化を遂げ、世界中の海と一部の淡水域に広く分布するに至った動物群である。

構成種はクジラ(whale)、イルカ(dolphin)、ネズミイルカ(porpoise)と呼ばれる[3]。ただし、クジラとイルカは系統学的グループでも分類学的グループでもなく、ハクジラの一部の小型種がイルカとされることが一般的である。

かつては哺乳綱を構成するの一つであったが、新たな知見に基づいて偶蹄目と統合された結果、新目「鯨偶蹄目」の下位分類となった。もっとも、下位分類階級の「亜目」「下目」「小目」などで言い換えられることはまだ少なく、便宜上、従来と変わらず鯨目やクジラ目が用いられることが多い(右の分類表、および、最下段の「哺乳類の現生目#廃止・希」を参照)。
呼称
和名

目階級とする分類における2018年時点の標準和名は「鯨目」であり[4]漢字をカタカナで表記した「クジラ目」とすることもある[5]。また、より上位の階級名の慣例として、音読みで「げいもく」とする。「くじらもく」と湯桶読みするようになったのは後世のことである。

日本語の「クジラ」の語源については、大きな口を持つことから古来「口広(クチビロ)」と呼んでいたのが転訛して「クヂラ」となったとする説、体色が黒と白に色分けされていることから来る「黒白(クロシロ)」に由来するという説など、諸説がある。「イサナ」とも呼び、漢字で「勇魚(勇〈イサ〉魚〈ナ〉)」「不知魚」「伊佐魚」などと書き表してもいた。漢字表記の「鯨」は、巨大なと見なされたことに由来し、(つくり)の「京」は大きい桁・数字を表す「」と同源であるとされる[6]。なお、漢字「鯨」については「Wiktionary:鯨」による解説もある。「クジラ#鯨と言葉」も参照
学名・外国語名

クジラの学名や星座名の Cetus は、「海獣、海の大魚、鯨」を意味するラテン語で、古代ギリシア語: κ?το? (k?tos) からの借入語。なお、ラテン語本来の発音は「ケートゥス」であり、また属名などの構成要素として使われる際の英語の発音は「シータス」である。「ケタス」「セタス」はいずれも日本語独自の慣習読み。

また、本来のラテン語でクジラを意味する balaena はホッキョククジラ属の属名ともなっている。イタリア語 balena、スペイン語 ballena、フランス語 baleine などいずれもこの語に由来する。また、英語で「クジラのひげ」を意味する baleen も同語源である。ちなみに、「ヒゲクジラ」のことを英語では baleen whale という。

英語 whale は、オランダ語の walvis、ドイツ語の Wal、スウェーデン語の val などとともに、ゲルマン祖語 *khwalaz からの発展形である[7]
クジラとイルカ

日本語では、クジラの中でも成体で体長5m程度以下の比較的小型のハクジラの一部をイルカと呼ぶが、生物分類上はクジラとイルカの間に明確な境界は無い[8]。この曖昧さは日本語だけのものではなく、例えば英語では、ヒゲクジラの全てと大型ハクジラ類を Whale(クジラ)、小型のハクジラ類(概して日本語での「イルカ」)をさらに Dolphin(イルカ一般)と Porpoise(ネズミイルカ)の2つに分け、計3種類に区別して呼ばれるが、生物分類上は Whale と Dolphin の境界は明確ではない[9]
生物的特徴
祖先

古生物学の世界では長い間、新生代暁新世から始新世にかけて生息した肉食性有蹄動物メソニクス目 Mesonychia がクジラ類の祖先にあたるとの見方が、伝統的かつ支配的であった。しかし、これに替わって2000年頃からは新たな知見に基づき、原始的な肉食性偶蹄類がそれであるとの見方が有力となっている[10](これに基づけばメソニクス目はクジラ及び偶蹄類と近縁ではあるが姉妹グループであり、クジラの祖先ではないとみなされている)。

始新世初期[11]に、水中生活への依存度を高めていた陸生偶蹄類の一群が、その環境への適応を一段と進めて分化(分岐して進化)していったものであるとの説である。この新たな知見とは、塩基配列の解析など進歩著しい分子系統学からのアプローチや、偶蹄類に近い特徴とクジラ類に固有の特徴を併せ持った距骨を具える四つ足の始原的クジラ類の化石発見からもたらされた形態学由来のものであった[12]。また、分子系統学からは、クジラ類はカバ科姉妹群であるとの指摘がなされている[13]。これを既知の知見と照合すれば、クジラとカバの系統的分化は少なくとも暁新世の後期以前に起こっていたことになる。しかし、その時代からの化石がまだもたらされていない今日では、約5,300万年前(始新世初頭)が実証可能な最古の時代であり、パキケトゥス科をもって最古としている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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