クジラ目
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一方、鯨類資源の調査のため同年から日本は調査捕鯨を開始した[29]。その後、IWCでは日本など捕鯨国とアメリカなど反捕鯨国との間で膠着状態が続き、約束されていた商業捕鯨モラトリアムの見直しは行われず、また資源量の豊富な種における捕鯨禁止解除も行われなかった。こうしたことを受け、日本政府は2019年にIWCを脱退し、同年に商業捕鯨を再開した[30][31]

日本では環境省及び水産庁の法令等により保護・管理されている。環境省は哺乳類レッドリストでは対象外としているが、種の保存法に基づく国際希少野生動植物種にはクジラ目の種も指定している[32]。これは罰則規定がないワシントン条約の国内での実効的な運用を目的として設けられている。一方、水産庁は水産資源の持続的利用を目的として「日本の希少な野生水生生物に関するデータブック」という水生生物のレッドデータブックを発行しているが、その評価基準及びカテゴリーは最新のIUCNカテゴリーではなく、環境省の1991年版カテゴリー(IUCNカテゴリー ver.1)に準じており、また独自のカテゴリーも設けている[33]など、複数の専門家から問題点が指摘されている。たとえば、水産庁のレッドリストでは、生息数の変動が自然変動の範囲内である野生生物は「普通種」としてランクされる(例えば、10万頭が1万頭に激減しても、その後、大きな変動が無ければ「普通種」と評価される)[34]という点を日本獣医畜産大学(現日本獣医生命科学大学)の羽山伸一助教授(当時)が指摘している。また、日本鯨類研究所では、捕鯨対象種の鯨種のうちシロナガスクジラとホッキョククジラ以外の資源は健全であると発表している[35]が、これは、全ての生息数を合算したものであり[36]、それに対して、元日本鯨類研究所の粕谷俊雄教授は、鯨の生息数は世界で均一ではなく、その地域の個体群ごとに資源の管理を行わなければいけないと指摘している[37]
IUCNレッドリスト

下記にIUCN(国際自然保護連合)が作成した2006年版レッドリストに記載されている主な鯨類を示す。括弧内は分類された年で、「」内はIUCN日本委員会の訳語である。
「絶滅寸前」 (CR:Critically Endangered) 2種


コガシラネズミイルカ Phocoena sinus (1996年)

ヨウスコウカワイルカ Lipotes vexillifer (2005年)

「絶滅危機」 (EN:Endangered) 7種


イワシクジラ Balaenoptera borealis (Sei Whale) (1996年)

シロナガスクジラ Balaenoptera musculus (1996年)

ナガスクジラ Balaenoptera physalus (1996年)

タイセイヨウセミクジラ Eubalaena glacialis (Right whale) (1996年)

セミクジラ Eubalaena japonica (1996年)

セッパリイルカ Cephalorhynchus hectori (2000年)

インドカワイルカ Platanista gangetica (2004年)

「脆弱」 (VU:Vulnerable) 5種


シロイルカ Delphinapterus leucas (1996年)

アマゾンカワイルカ Inia geoffrensis (1996年)

ザトウクジラ Megaptera novaeangliae (1996年)

ネズミイルカ Phocoena phocoena (1996年)

マッコウクジラ Physeter macrocephalus (1996年)

「低リスク - 保全対策依存」 (LRcd:Lower Risk - Conservation Dependent) 14種

「低リスク - 準絶滅危惧」 (LRnt:Lower Risk - Near Threatened) 1種

「低リスク - 軽度懸念」 (LRlc:Lower Risk - Least Concern) 13種

「情報不足」 (DD:Data Deficient) 39種

ワシントン条約の附属書

下記に絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)の附属書に掲げられた鯨目の種を示す。
附属書I


セミクジラ科

ホッキョククジラ

セミクジラ属全種


ナガスクジラ科

ミンククジラ

ミナミミンククジラ(クロミンククジラ

イワシクジラ

ニタリクジラ

シロナガスクジラ

ナガスクジラ

ザトウクジラ


マイルカ科

カワゴンドウ

コビトイルカ属全種

ウスイロイルカ全種


コククジラ科

コククジラ


アマゾンカワイルカ科

ヨウスコウカワイルカ


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