流れの緩やかな河川、湖、池沼、湿原、水たまり、水田などに生息する[5][6][7][4]。昼行性だが、夏季は薄明薄暮性、夜行性傾向が強くなる個体もいる[4]。日光浴を行うことを好む[4]。陸づたいに水場を移動する個体もいる[7]。
食性は雑食[6][4]。大型個体は貝類や大型の甲殻類も噛み砕いて食べる[4]。主に水中で採食を行う[4]。
繁殖形態は卵生。オスは水中でメスの吻端に頭部や前肢を擦りよせるような行動で求愛し、メスが動きを止めオスを受け入れると交尾する[7]。水辺から離れた地面を掘り、日本では6-8月に1回に1-14個の卵を1-3回に分けて産む[4]。卵は2か月で孵化する[6]。幼体は夏季から初秋にかけて地表に現れる個体もいるが、多くの幼体は孵化後に地中で越冬し翌年の春季に地表へ現れる[7][4]。 開発による生息地の破壊、食用や薬用、ペット用の乱獲などにより生息数は激減している[4]。大韓民国、中華人民共和国、台湾では保護の対象とされている[4]。日本では生息数が多いと考えられているが、それらは多くが日本国外から移入された個体もしくはそれらの個体による遺伝子汚染を受けている可能性がある[4][8]。 日本の個体群に関しては、化石の発見例がないことや、最も古い文献でも200年前に登場し江戸時代中期以前には本種に関する確実な記録がないこと[10]、さらに江戸時代や明治時代では希少で西日本や南日本にのみ分布するという記録があることなどから、朝鮮半島から人為的に移入されたと推定されている[4][8]。台湾の個体群も中国本土の個体群と遺伝的差異がないため、人為的に移入されたと考えられている[8]。日本の19地点、132個体のミトコンドリアDNAに基づく分子系統学的解析では、日本の個体群は3つの系統に分かれ大半を占める系統が大韓民国の個体群と遺伝的差異がないか、ほぼないという解析結果が得られた[8][10]。千葉県や九州の個体群では台湾の個体群とほぼ遺伝的差異がない系統が多く、近年になってから中国本土から人為的に移入された個体が多くを占めていると考えられている[8]。北海道や南西諸島でも後に人為的移入・定着している[4]。 ペットとして飼育されることもあり、日本にも輸入されている。日本国内の野生個体および飼育下繁殖個体、中国本土からの飼育下繁殖個体が流通する。中国本土産の個体が「キンセンガメ(金線亀)」として販売されたこともあった(背甲のシームが黄色いのは地域に関係のない個体変異で、中国本土産固有の特徴ではない)[4]。1990年代以降は主に中国本土から孵化直後の養殖個体が「ゼニガメ(銭亀)」の商品名で多く流通しているが[5]、日本産の個体を元に養殖された可能性もある[4]。ニホンイシガメとの種間雑種は関西地方や中国地方の一部では「ウンキュウ」と呼称され、種間雑種がこの流通名で販売されることもある[4]。メスは比較的大型になるため、大型のケージが用意できない場合は一般家庭での飼育には向かない[4]。アクアリウムで飼育される。幼体は皮膚が弱いため注意が必要[5]。本種に限らないがイシガメ科の他種と種間雑種を形成する可能性があるため、他種との雑居飼育は薦められない[4]。餌には専用のペレットや野菜や小魚を与える。
人間との関係甲長3-5cm程のクサガメの子。ゼニガメと呼ばれ、親しまれている。クサガメ、東京にて
脚注[脚注の使い方]
注釈
出典^ “ ⇒Appendices I, II and III”. CITES. 2019年4月4日閲覧。
^ van Dijk, P.P. 2011. Mauremys reevesii (errata version published in 2016). The IUCN Red List of Threatened Species 2011: e.T170502A97431862. https://www.iucnredlist.org/species/170502/97431862