8月19日にはグレゴリー・マン、ケイト・ブランシェット、ティム・ブレイク・ネルソン、フィン・ウルフハード、ジョン・タトゥーロ、バーン・ゴーマンの出演が発表された[28]。デル・トロはピノッキオ役には可愛い声ではなく「普通の子供の声」を出せる子役を求めており、驚異的な声域を持ち、普通の子供らしさを持ちながら絶対的な感情を表現できるグレゴリー・マンが起用された[14]。キャンドルウィック役のウルフハードは、専門の声優ほど声の演技に自信がなかったと語っているが、グレゴリー・マンと共に録音したことでリラックスして演じることが出来たという[29]。ブランシェットは『ナイトメア・アリー』の撮影中に『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』への出演を希望したところ、デル・トロに「猿(スパッツァトゥーラ)以外の役は全部決まっている」と返答されたが、「デル・トロの作品に参加できるなら猿でも構わない」と出演を快諾している[30]。スパッツァトゥーラを演じる際には、事前にそれぞれの感情を録音して編集した声を使用するのではなく、各シーンごとに声を録音している[30]。 2020年1月31日までにオレゴン州ポートランドのシャドーマシーンのオフィスで撮影が開始された[14][26]。撮影は2022年夏まで行われ、一部のシーンはメキシコ人の人材育成のため、デル・トロがグアダラハラに所有するセントロ・インターナショナル・アニメーション(CIA)で2019年から製作された。撮影セットや小道具、キャラクターの衣装はデル・トロの実写作品で見られるように歴史的・現実的にデザインされており、建物を曲線で描くほか、伸ばしたり傾斜させる表現などの様式化をせず、ストップモーションと実写を織り交ぜた表現スタイルで映画のテーマを支える方針が採用された。また、アニメーターには人形にくしゃみ、恥じらいや恐怖で目を泳がせるなどの「ミステイク」を起こして通常のアニメ作品では表現されないキャラクターが思考する姿を描くことで、キャストが自然な演技をできるように指示した[14]。ヴォルペ伯爵のカーニバルを表現するために、エンダーレとデイヴィスは『ナイトメア・アリー』を撮影する際に集めた資料を参考にしている。『ナイトメア・アリー』は1930年代のカーニバルが登場し、デイヴィスもコンセプトアーティストとして参加していた。同作はアメリカ中西部を舞台としており、ヨーロッパを舞台とする『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』のカーニバルとは重なる部分があり、双方のカーニバルは荒廃した姿で描かれている。また、『ナイトメア・アリー』でブラッドリー・クーパー演じるスタントン・カーライルがカーニバルに到着するシーンは、ヴォルペ伯爵のカーニバルの描写に影響を与えている[31]。死後の世界とエンディングシーンのアニメーションは、グアダラハラのスタジオ・エル・ターラー・デ・チュチョが手掛けた[32]。 視覚効果はムービング・ピクチャー・カンパニーが担当している。デル・トロはヴァニティ・フェアから取材を受けた際に「私はこれまでの人生において、一貫してディズニーへの憧れと最大級の愛情を公言してきましたが、それによってディズニー版から遠ざかろうとする衝動に駆られるのです。ディズニー版『ピノキオ』はディズニー・アニメーションの頂点の作品だと思っています。最も美しい手描きの2Dアニメーションなのです」と語っており、ディズニーアニメ版とは異なる解釈で『ピノッキオの冒険』を映像化するために舞台セットやキャラクターの質感など、細部まで華美な作りに仕上げている[16]。 2012年8月23日にニック・ケイヴが映画音楽の作曲を手掛けることが発表されたが[33]、2020年にアレクサンドル・デスプラが後任として作曲を手掛けることが発表され、同年1月8日から映画音楽と楽曲の作曲・作詞作業が開始された[2]。デスプラがデル・トロ監督作品に参加するのは『シェイプ・オブ・ウォーター』以来2作目となる[2]。 2018年11月、Netflixは『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』を2021年に公開する方針を発表した[34]。
撮影
視覚効果
音楽詳細は「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ (サウンドトラック)(英語版
公開メキシコ国立映画センターで開催された「メキシコの木でできたピノッキオ展」