ギレルモ・デル・トロのピノッキオ
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ゼペットとピノッキオの心情的な対立も、行儀の良かった息子カルロの代わりを求めるゼペットと自由奔放なピノッキオという構造で描かれており[16]、『デビルズ・バックボーン』『パンズ・ラビリンス』『シェイプ・オブ・ウォーター』など歴代のデル・トロ監督作品に共通する「異形の者の人間性の探求」というテーマが描かれている[14]
キャラクター造形メキシコ国立映画センターで開催された「メキシコの木でできたピノッキオ展」のオブジェ

ピノッキオはゼペットの息子カルロの墓の側の木から生まれた人形で、「もう一度父親になりたい」と願うゼペットの求めに応じる形で誕生する。しかし、大人しくて行儀の良かったカルロと異なり、ピノッキオは乱暴者で自由奔放な性格をしている。セバスチャン・J・クリケットは博識な性格でピノッキオの良心になろうと奮闘するが、そのためにピノッキオを迷わせる存在として描かれる。デル・トロは、彼のキャラクターについて「クリケットは何度も踏み潰されてしまうが、それは彼自身が愛と謙虚さを見つけるための旅となっているのです」と語っている[16]。また、デル・トロはピノッキオ、クリケット、妖精以外の原作にあるファンタジー要素を取り除き、「極力、現実世界に近付けようとした」とも語っており、原作のキツネとマンジャフォーコの役割を集約したキャラクターとしてヴォルペ伯爵を作り出した[16]。ヴォルペ伯爵は宮廷で権勢を振るっていた大貴族だが、落ちぶれて人形劇一座の座長をしており、ピノッキオを利用して失った地位を回復しようと企むキャラクターになっている。デル・トロはヴォルペ伯爵を物語の中で最も悪魔に近いキャラクターに位置付けており、原作の漫画的・幻想的なキャラクターからの脱却を目指し、キツネとネコよりも大仰でコミカルな悪役として描写されている[23]。当初は原作通りマンジャフォーコを登場させる予定だったが、デル・トロが「陳腐過ぎる」としてキャラクターを気に入らなかったため登場が見送られた。しかし、マンジャフォーコのデザインはすでに完成していたため、ヴォルペ伯爵の人形劇一座の背景キャラクターとして再利用され[24][23]、ネコは猿のスパッツァトゥーラに置き換えられている[25]。コーチマン(英語版)に相当するキャラクターとしてファシストの役人である市長(イタリア語版)が登場し、ピノッキオがロバに姿を変えられるというシーンは「不死身の兵士としての価値を見出した市長にピノッキオが狙われる」という描写に変更され[16]、おもちゃの国(英語版)はファシストの少年兵訓練施設に変更されている[25]。この他、キャンドルウィックは市長の息子として登場している[16]
キャスティングユアン・マクレガーデヴィッド・ブラッドリーティルダ・スウィントンロン・パールマンケイト・ブランシェットクリストフ・ヴァルツ

デル・トロとグスタフソンはキャスティングに際し、アカデミー賞受賞者や歴代のデル・トロ監督作品に出演経験のある俳優を中心に起用している[14]。2020年1月31日にロン・パールマンティルダ・スウィントンユアン・マクレガークリストフ・ヴァルツデヴィッド・ブラッドリーの出演が発表された[26]。当初はダニエル・ラドクリフトム・ウェイツクリストファー・ウォーケンの起用が検討されており、ウェイツはゼペット役、ウォーケンはキツネ役の候補だったことが報じられているが、この他にドナルド・サザーランドもキツネ役の候補に挙がっていた[1]。このうち、ラドクリフは製作総指揮として企画に参加している[1]。また、デル・トロは『ヘルボーイ』『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』に起用したジョン・ハートをゼペット役として起用するつもりだったが、製作が始まる前にハートが死去したため実現しなかった[27]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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