デル・トロとグスタフソンはキャスティングに際し、アカデミー賞受賞者や歴代のデル・トロ監督作品に出演経験のある俳優を中心に起用している[14]。2020年1月31日にロン・パールマン、ティルダ・スウィントン、ユアン・マクレガー、クリストフ・ヴァルツ、デヴィッド・ブラッドリーの出演が発表された[26]。当初はダニエル・ラドクリフ、トム・ウェイツ、クリストファー・ウォーケンの起用が検討されており、ウェイツはゼペット役、ウォーケンはキツネ役の候補だったことが報じられているが、この他にドナルド・サザーランドもキツネ役の候補に挙がっていた[1]。このうち、ラドクリフは製作総指揮として企画に参加している[1]。また、デル・トロは『ヘルボーイ』『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』に起用したジョン・ハートをゼペット役として起用するつもりだったが、製作が始まる前にハートが死去したため実現しなかった[27]。そのため、ゼペット役には『ハリー・ポッター』でハートと共演経験があり、デル・トロが手掛けた『ストレイン 沈黙のエクリプス』『トロールハンターズ(英語版)』への出演経験もあるデヴィッド・ブラッドリーが起用された。彼はゼペット役について「感情のローラーコースター」のようであり、幼少期に触れた『ピノッキオの冒険』よりも『リア王』のイメージに近いと語っている[14]。パールマンはマンジャフォーコ役に起用されたが、デル・トロがマンジャフォーコを脚本から削除して新たにヴォルペ伯爵を作り出してヴァルツが起用されたため、パールマンは市長役を演じることになった[23]。
8月19日にはグレゴリー・マン、ケイト・ブランシェット、ティム・ブレイク・ネルソン、フィン・ウルフハード、ジョン・タトゥーロ、バーン・ゴーマンの出演が発表された[28]。デル・トロはピノッキオ役には可愛い声ではなく「普通の子供の声」を出せる子役を求めており、驚異的な声域を持ち、普通の子供らしさを持ちながら絶対的な感情を表現できるグレゴリー・マンが起用された[14]。キャンドルウィック役のウルフハードは、専門の声優ほど声の演技に自信がなかったと語っているが、グレゴリー・マンと共に録音したことでリラックスして演じることが出来たという[29]。ブランシェットは『ナイトメア・アリー』の撮影中に『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』への出演を希望したところ、デル・トロに「猿(スパッツァトゥーラ)以外の役は全部決まっている」と返答されたが、「デル・トロの作品に参加できるなら猿でも構わない」と出演を快諾している[30]。スパッツァトゥーラを演じる際には、事前にそれぞれの感情を録音して編集した声を使用するのではなく、各シーンごとに声を録音している[30]。 2020年1月31日までにオレゴン州ポートランドのシャドーマシーンのオフィスで撮影が開始された[14][26]。撮影は2022年夏まで行われ、一部のシーンはメキシコ人の人材育成のため、デル・トロがグアダラハラに所有するセントロ・インターナショナル・アニメーション(CIA)で2019年から製作された。撮影セットや小道具、キャラクターの衣装はデル・トロの実写作品で見られるように歴史的・現実的にデザインされており、建物を曲線で描くほか、伸ばしたり傾斜させる表現などの様式化をせず、ストップモーションと実写を織り交ぜた表現スタイルで映画のテーマを支える方針が採用された。
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