大文字、小文字、現代の音価、慣用(古典期)の呼び名、現代の呼び名(慣用と同じ場合省略)、現代の綴りの順で記載。
Α α=[a](アルファ)?λφα
Β β=[v](ベータ;ヴィタ)β?τα紀元後数百年に [b] から変異。
Γ γ=[?](ガンマ;ガマ)γ?μμα, γ?μα[x] の有声音。ただし前舌母音の直前では [?] と発音される。
Δ δ=[d](デルタ;ゼルタかデルテ)δ?λτα[θ] の有声音。閉鎖音から摩擦音に紀元後数百年に変異。
Ε ε=[e](エプシロン)?ψιλον「単純なε」の意。
Ζ ζ=[z](ゼータ;ズィタ)ζ?τα
Η η=[i](イータ;イタ)?τα後1世紀より [??] から変異。
Θ θ=[θ](シータ;シタかティタ)θ?τα英語の無声 th に同じ。
Ι ι=[i](イオタ;ヨタ)ι?τα, γι?τα母音の直前では硬口蓋化し [j] と発音される。
Κ κ=[k](カッパ;カパ)κ?ππα[i], [e] の直前では [c] と発音される。
Λ λ=[l](ラムダ;ラムザ)λ?μδα, λ?μβδα
Μ μ=[m](ミュー;ミ)μυ
Ν ν=[n](ニュー;ニ)νυ
Ξ ξ=[ks](クシー;クシ)ξι
Ο ο=[o](オミクロン)?μικρον「小さなο」の意。
Π π=[p](ヒー;ピ)πι[m] の直後では [b] と発音される。
Ρ ρ=[r](ロー;ロ)ρω, ρο
Σ σ, ?=[s](シグマ)σ?γμα有声子音の前で [z] と発音される。? は語末のみ。
Τ τ=[t](タウ;タフ)ταυ[n] の直後では [d] と発音される。
Υ υ=[i](ユプシロン;ウプシロン;イプシロン)?ψιλον「単純なυ」の意。後5世紀?10世紀に [y] から変異。
Φ φ=[f](ファイ;フィ)φι紀元後数百年に [p?] から変異。
Χ χ=[x](カイ;キー;ヒ)χι前舌母音の直前では [c] と発音される。紀元後数百年に [k?] から変異。
Ψ ψ=[ps](プサイ;プスィ)ψι, ψ?
Ω ω=[o](オメガ)ωμ?γα「大きなο」の意。
カナ転写と発音の問題
カタカナに現代ギリシア語を転写するとき、θ は主にサ行で表記・発音(θα を「サ」、θι を「シ」など)されている。
同様に、δ は主にザ行で表記されている。
現代ギリシア語では、同じ子音字が2度重ねて綴られても1文字のように発音される(長子音とならない、ただしキプロスとポントスの方言では長子音は残存している)ので、そこに日本語の「ッ」や「ン」を使う必要はない。たとえば、τ?σσερα は「テセラ」であり、「テッセラ」とは読まれない。κ?μμαは「コマ」であり、「コンマ」とは読まれない[5]。
多くの場合、現代ギリシア語のアクセントは長音記号「ー」で表されているが、ギリシア語のアクセントは強勢を示すものであり、長母音を示さない。たとえば、Μαρ?α は「マリーア」のように伸ばすより「マリア」のように強く読むほうがいい。「マリーア」では、 Μαρ?ια に近くなってしまう。
ただし、テッサロニキのような古来の地名などは古代ギリシア語の発音に則って転写する。 デモティキ(民衆口語)では、いわゆる「トノス(τ?νο?)」の記号類は ? のみにモノトニコス(単強勢)化されている。気息記号の ?(音韻上で無標である有気音 [h] を表す)や ? などは廃され、` や ? などは、? に統合され、有強勢(文法的に有標)の際にのみ記される。またこの強勢記号は語末から3番目の音節のうちに置かれる。カサレヴサでは古典語のテキスト表記に倣った古典式の記号・符号を維持している。 疑問符にはいわゆるセミコロン ; を用いる。Unicode ではこの記号に、U+003B の SEMICOLON とは別に U+037E に GREEK QUESTION MARK が割り当てられてはいるがU+003Bの方が好ましいとされる[6]。Windows のギリシア語 IME でもU+003B が出てくる。 同じ単語でも、古代ギリシア語と現代ギリシア語の発音は異なる。以下にその例を挙げる。なお、ここでいう「古典式発音」とは古代ギリシア語の諸方言中の古典期アッティカ方言(再建音)を指す。ギリシア語綴りに用いる記号は現代語のものである。ただし、カタカナ表記は当然、日本語に存在する音のみを示すから、目安にすぎない。 ギリシア語綴り古典式発音現代式発音 名詞は男性・女性・中性の3つの性と、単数・複数の2つの数と、主格・呼格・属格・対格の4つの格によって語尾が変化する。 動詞は単数・複数の2つの数、一人称・二人称・三人称の3つの人称、完結相・非完結相・完了相の3つの相、過去・現在・未来の3つの時制、能動態・受動態の2つの態、および直説法・接続法・命令法の3つの法から成る。また、他のバルカン言語連合と同様に不定詞が廃れている。辞書の見出し語は古代ギリシア語同様に直説法能動態一人称単数現在である。 古代ギリシア語からの変化として与格が消滅し、完結相と非完結相の分化が進み、迂言形が発達した。また語順に規制的な拘束性が増した。 単数複数 男性女性中性 ※冠詞類について古代ギリシャ語と対比するにはギリシャ語の冠詞を参照。 -ο?/-οι-η?/-ε?-α?/-ε?-εα?/-ει?-α?/-αδε?-ων/-οντε?-ωρ/-?ρε? -α/-ε?-η/-ε?-ο?/-οι-η/-ει? -ο/-α-?/-ι?-α/-ατα-ο?/-η-ο/-ατα 男性女性中性
記号
現代ギリシア語の発音
母音 Φων?εντα
単母音
便宜上、音価別に並べる。
[a] - α
[e] ([e], [?]) - ε, αι
[i] - η, ι, υ, ει, οι, υι
[u] - ου 日本語のウより口をとがらして発音
[o] - ο, ω
現代ギリシア語では母音の長短の区別がない。
母音+子音
以下の3つは υ の発音が無声子音の前で無声音 [f] に、有声子音・母音の前で有声音 [v] になる。
αυ - [af], [av]
ευ - [ef], [ev]
ηυ, ιυ - [if], [iv] (現代語ではほとんど使われていない)
子音 Σ?μφωνα
二重子音字
γγ - [?], [i], [e], [?] の前なら口蓋化する(ンギ、ンギェとなる)。
γκ - 語頭で [g]、それ以外で [?g]。[i], [e], [?] の前なら口蓋化する(ンギ、ンギェとなる)。また、外来語では [g], [?k] の音も表される。
μπ - 語頭で [b]、それ以外で [mb](外来語では [b], [mp] の音も表される)。たとえば Ολυμπ?α の場合、国際的には「オリンピア」の発音で知られているが、外来語ではなくギリシアの固有語であるため、「オリンビア」と発音される。
ντ - 語頭で [d]、それ以外で [nd](外来語では [d], [nt] の音も表される)。
比較的古い外来語では b は β、d は δ、g は γ と転写された。外国の地名のギリシア語表記も原音の [b], [d], [g] をそれぞれ β, δ, γ と表記する例がかなり多い。
古典式発音との違い
β?ρβαροιバルバロイヴァルヴァリ
Β?κχο?バッコスヴァクホス
βασιλε?αバシレイアーヴァシリア
Δ?λο?デーロスズィロス
Ευρ?πηエウローペーエヴロピ
Ηρακλ??ヘーラクレースイラクリス
Θεσσαλον?κηテッサロニーケーセサロニキ
Κρ?τηクレーテークリティ
Μουσικ?ムーシケームシキ
Οδ?σσειαオデュッセイアオディシア
πολλο?ポッロイポリ
φιλοσοφ?αピロソピアーフィロソフィア
φ?σι?ピュシスフィシス
現代ギリシア語文法
定冠詞
男性女性中性男性女性中性
主格οoηiτοtoοιoiοιoiταta
属格τουtouτη?tisτουtouτωνtonτωνtonτωνton
対格τονtonτηνtinτοtoτου?tousτι?tisταta
不定冠詞
主格?να?enasμ?αmia?ναena
属格εν??enosμ?α?miasεν??enos
対格?νανenanμ?α(ν)mia(n)?ναena
複数形は無標
名詞
男性名詞
単数複数単数複数単数複数単数複数単数複数単数複数単数複数
主格-ο?-os-οι-oi-η?-is-ε?-es-α?-as-ε?-es-?α?-eas-ε??-is-??-as-?δε?-ades-ων-on-οντε?-ontes-ωρ-or-ορε?-ores
属格-ου-ou-ων-on-η-i-?ν-on-α-a-ων-on-?α-ea-?ων-eon-?-a-?δων-adon-?ντων-onton-?ντων-ontes-ορο?-oros-?ρων-oron
対格-ο-o-ου?-ous-η-i-ε?-es-α-a-ε?-es-?α-ea-ε??-is-?-a-?δε?-ades-οντα-onta-οντε?-ontes-ορα-ora-ορε?-ores
呼格-ε-e-η-i-α-a-?α-ea-?-a-ων-on-ωρ-or
女性名詞
単数複数単数複数単数複数単数複数
主格-α-a-ε?-es-η-i-ε?-es-ο?-os-οι-οi-η-i-ει?-is
属格-α?-as-?ν-on-η?-is-?ν-on-ου-ou-ων-on-η?-is-εων-eon
対格-α-a-ε?-es-η-i-ε?-es-ο-o-ου?-ous-η-i-ει?-is
呼格-α-a-η-i-ε-e-η-i
中性名詞
単数複数単数複数単数複数単数複数単数複数
主格-ο-o-α-a-?-i-ι?-ia-α-a-ατα-ata-ο?-os-η-i-ο-o-ατα-ata
属格-ου-ou-ων-on-ιο?-iou-?ων-ion-ατο?-atos-?των-aton-ου?-ous-?ν-on-ατο?-atos-?των-aton
対格-ο-o-α-a-?-i-ι?-ia-α-a-ατα-ata-ο?-os-η-i-ο-o-ατα-ata
形容詞の活用語尾
1:幹母音式曲用
単数複数単数複数単数複数
主格-ο?-os-οι-oi-η
-α-i
-a-ε?-es-ο-o-α-a
属格-ου-ou-ων-on-η?
-α?-is
Size:78 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef