ギリシア神話
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ローマ帝政期に入ってからも、ギリシア神話に対する創造的創作は継続していき、紀元後1世紀の詩人オウィディウス・ナーソの『変身物語』が新しい物語を生み出し、あるいは再構成し、パウサニアースの歴史的地理的記録やアープーレイウスの作品などがギリシア神話に更に詳細を加えていった。
体系的記述

紀元前8世紀ヘーシオドスの『神統記』は、ギリシア神話を体系的に記述する試みのさきがけである。ホメーロス叙事詩などにおいて、聴衆にとっては既知のものとして、詳細が説明されることなく言及されていた神々や、古代の逸話などを、ヘーシオドスは系統的に記述した。『神統記』において神々の系譜を述べ、『仕事と日々』において人間の起源を記し、そして現在は断片でしか残っていない『名婦列伝』において英雄たちの誕生を語った。

このような試みは、紀元前6世紀から5世紀頃のアルゴスのアクーシラーオスレーロスのペレキューデースなどの記述にも存在し、現在は僅かな断片しか残っていない彼らの「系統誌」は、古代ギリシアの詩人や劇作家、あるいはローマ時代の物語作家などに大きな影響を与えた[12]

古代におけるもっとも体系的なギリシア神話の記述は、紀元後1世紀頃と考えられるアポロドーロスの『ギリシャ神話』(3巻16章+摘要7章)である。この体系的系統本は、紀元前5世紀以前の古典ギリシアの筆者の文献等を元にギリシア神話が纏められており、オウィディウスなどに見られる、ヘレニズム化した甘美な趣もある神話とはまったく異質で、荒々しく古雅な神話系譜を記述していることが特徴である[13]
資料
文献資料と著者

ホメーロス以前の古代ギリシアには文字がなかった訳ではなく、ミュケーナイ時代にすでに線文字Bが存在していたが、暗黒時代においてこの文字の記憶は失われた。しかし紀元前8世紀頃より、フェニキア文字を元に古代ギリシア文字が生まれる[14][15]。ギリシア神話は基本的にはこの文字で記録された。また後にはローマの詩人・文学者がラテン語によってギリシア神話を記述した。ホメーロス

古代ギリシア詩

ホメーロス(紀元前9世紀頃) - 英雄叙事詩 『イーリアス』『オデュッセイア

作者不詳(紀元前8世紀 - 紀元前5世紀頃) - 『ホメーロス風讃歌』群(33篇)

ヘーシオドス(紀元前8世紀) - 『テオゴニア(神統記)』『仕事と日々』 『名婦列伝(カタロゴイ)』


系譜学者たち(紀元前6世紀 - 紀元前5世紀頃)

アルゴスのアクーシラーオス [著作は散逸]

レーロスのペレキューデース[16][注釈 6][著作は散逸]


古典劇作家詩人

ピンダロス(紀元前522年頃 - 紀元前443年) - 『オリュンピア祝勝歌』他多数、祝勝歌、合唱詩(コロス

バッキュリデース(紀元前520年頃 - 450年) - 「ディテュランボス」(3編が伝存)、祝勝歌、パイアン


古典悲劇詩人

アイスキュロス(紀元前525年頃 - 紀元前456年)
ペルシア人』『縛られたプロメーテウス』『テーバイ攻めの七将』「オレステイアー三部作

ソポクレース(紀元前496年頃 - 紀元前406年)
アイアース』『アンティゴネー』『オイディプース王』『エーレクトラー』『コローノスのオイディプース

エウリーピデース(紀元前480年頃 - 紀元前406年)
メーデイア』『ヒッポリュトス』『アンドロマケー』『トロイエの女』『ヘカベー』『バッコスの信女』『イオーン』『オレステース


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