ギター
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こうして1800年以前に2本組の弦が、シングルの(つまり1本だけの)弦へと置き換えられE-A-D-G-B-E'という調律がされるようになった(そしてこの調律が現在でも標準的な調律になっている)[3]。こうしてこの時期、おそらくフランスかイタリアにおいて、現在使われている6単弦のギターが誕生した[5]。これによりギターの出せる音域が拡大し、楽器として広く利用されるようになった[4]

ヴァイオリンに似た糸巻き(ペグボックス)は1600年ころに、わずかに後ろに傾いたヘッドの後ろにペグが配置される形になった。19世紀に単純なペグの代わりに金属製のネジが用いられるようになった[3]

初期のギターでは指板にガット(羊などの腸で作った細い紐)を巻いて結んだフレット(tied-on gut)であったが、18世紀に指板にあらかじめ象牙金属を組み込んだフレットへと変更された[3]。指板は最初はボディーに接するところで終わり(つまり共鳴板の上へは伸びず)、象牙や金属のフレットは初期には共鳴板の表面にも直接配置された[3]。19世紀に指板が(共鳴板の表面から遠ざかる方向に)わずかに高くなるように変更され、そして指板は共鳴板の上へ伸び、サウンドホールの縁まで延長された[3]。19世紀後半に入ると、スペインの名工であるアントニオ・デ・トーレスによってボディや丸みの大型化や弦の65cmへの延長がなされ、音質と音量が大きく改善した。彼の改良により、クラシック・ギターの基本的な形状はほぼ完成した[6][7]

一方、アメリカに伝わったギターは、19世紀中頃に在来のバンジョーの影響を受けて弦が従来のガットから金属弦へと変化した[8][9]。この変化により大音量の出せるようになったギターはバンジョーに変わってアメリカで人気のある楽器となったが、さらなる大音量化が求められて種々の試行錯誤が行われ、1920年代にはボディに金属の共鳴器を取り付けたリゾネーター・ギターが開発された[10]

上記のようにアコースティック・ギターは発展していったが、構造的に大音量化の限界に直面していた。この解決策としてアンプによって音量を増幅させることが考案され[11]、1930年代初頭にエレクトリック・ギターが発明され、普及していった[12]。当初のエレクトリック・ギターは通常のギターと同じく内部に空洞のあるものであったが、構造的にハウリングを起こしやすかった[13]ため、1950年には内部の空洞をなくしたソリッド・ギターが発売され[14]、以後エレクトリック・ギターの主流はこのタイプのものとなった。
種類ネック折畳式のTravel guitar
音の増幅方式による分類

大分類としては、弦の振動およびその音を空洞のある(箱状)ボディー(一種のヘルムホルツ共鳴器)で増幅させる「アコースティック・ギター」と、弦の振動をピックアップで微弱な電気信号として取り出し、それを増幅回路(アンプ)で電気的に増幅させる「エレクトリック・ギター」の2種に分類される[12]
アコースティック・ギター

アコースティック・ギターは、音楽ジャンルごとにいくつかのタイプがあり、クラシックを中心にさまざまな音楽に使用されるクラシック・ギター、フラメンコの使用に特化したフラメンコギター、フォークソング・ロック・ポップスなどポピュラー音楽の演奏に主に用いられるスティール弦アコースティックギター(フォークギター)などに分類される。このほか、ボディに金属の共鳴器を取り付けたリゾネーター・ギターや、アコースティック・ギターにピックアップを追加して電気信号を取り出せるようにしたエレクトリックアコースティックギターなどもある。

アコースティック・ギターは略称で俗に「アコギ」とも呼ばれる[15]

アコースティック・ギターという言葉は、エレクトリック・ギターの登場後に、電気的な増幅ではなくボディの共鳴によって音を増幅するギターを音響学的な(acoustic アコースティック/アクースティック)ギターと呼んで区別した言葉(レトロニム)である。語義的には上記の通りクラシック・ギターなども含まれるが、日本においてはアコースティック・ギター/アコギと言った場合はスティール弦アコースティックギターを指すことが多い。
エレクトリック・ギター

エレクトリック・ギターは、その構造によって、ボディ内部が完全に中空となっているフルアコースティックギター、フルアコースティックギターに比べるとボディが薄く空洞も小さくなっているセミアコースティックギター、ボディ内部に空洞がないソリッドギターの3種類に分類される。ソリッドギターの一部がセミソリッドギターに分類されることもある。

エレクトリック・ギターは「エレキギター」、さらにその略称として「エレキ」とも呼ばれる[16][17]

シタールギター

スティール・ギター

弦の本数による分類

一般的なギターは6本の弦を持つが、以下のような弦の数を増やしたギターもある。

10弦ギター
ナルシソ・イエペスとギター製作者ホセ・ラミレス3世により開発された。通常の6弦に加えて低音側に4本の弦が追加されており、共鳴により豊かな響きを生み出す。

12弦ギター
通常のギターの各弦をユニゾンまたはオクターブで調弦された2本の弦のペア(複弦)に置き換えて、よりきらびやかで豊かな響きを狙ったものである。
音域による分類

一般的なギターより音域を高く、あるいは低くチューニングするギターもある。

テナーギター

バリトン・ギター

ネックの本数による分類

ダブルネック・ギター

現代の一般的な構造と機能

フレットのついた指板と6本(あるいは12本。2本1組で6組)の弦をそなえ、(典型的なものでは曲線的な形状の)胴(=ボディー)をそなえる。アコースティック・ギターのボディーは空洞になっており、共鳴した音を出すサウンドホールが開けられている。エレクトリック・ギターのボディーは空洞になっているものと空洞のないものの両方がある。弦の端はボディー側は(ブリッジ)が、ネック側にはナットが支え、演奏者によって弦が弾かれると、ブリッジとナットの間で弦が振動する。アコースティック・ギターでは、その振動がブリッジやナット経由でボディーに伝わり、ボディー全体が振動し、弦とボディーの振動で生まれた音を空洞で共鳴させることで音を出す。エレクトリック・ギターでは、鉄製の弦の振動による磁界の変動をピックアップによって電気信号として取り出す。

ヘッドには、各弦の張力を調整をし各弦から出る音のピッチ(=音の高さ)を調整(チューニング)するための糸巻き(ペグ)がある。6本の弦は太さが異なり、演奏時にギターを持った時の上側が一番太く(ピッチが低く)、下に向かって順に細く(ピッチが高く)なるように配置する。
アコースティック・ギターとエレクトリック・ギターのパーツ名

アコースティック・ギターエレクトリック・ギター

ヘッド

ナット(上駒)

ペグ(糸巻き)

フレット

トラスロッド

ポジションマーク

ネック

ヒール

ボディー

ピックアップ

コントロールノブ

ブリッジ

ピックガード


弦「弦 (楽器)」も参照

ギターの弦の本数は6本のものが主流であるが、他に4弦-5弦、7弦?10弦のギター、12弦ギター、18弦ギターなどもある。


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