ギガントピテクス
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いずれにしても、進化系統上オランウータンよりヒト属に近縁で、ゴリラほど近縁ではない位置にある絶滅種と捉えられていたが[9]、近年ではむしろオランウータンに近縁な動物だったと考えられている[10][11]
下位分類

ギガントピテクス属の下位分類としては、以下の3が知られていた。表記内容は左から順に、学名和名もしくは仮名転写例、特記事項。

Gigantopithecus bilaspurensis Simons et Ettel, 1970 ギガントピテクス・ビラスプレンシス

†Gigantopithecus blacki von Koenigswald, 1935 ギガントピテクス・ブラッキー(ブラクキ、ブラックアイとも称) :模式種

†Gigantopithecus giganteus ギガントピテクス・ギガンテウス

ただし、インドから知られるG. giganteusはIndopithecus属に属し、G. bilaspurensisはI. giganteusのシノニムであるとする説もある。その場合、ギガントピテクス属はG. blackiただ一種のみから構成されることになる[4]
形態古人類学者フリーデマン・シュレンク (de)が手にする、ギガントピテクス・ブラッキーの大臼歯の化石

これまでに発見されたギガントピテクスの化石は3個の下顎骨と歯のみであり、情報量はきわめて乏しい。そのため、全体像の再現は憶測・推定によるところが大きい。少なくとも身長を推定し得る四肢骨が発見されていない以上、正確な数値を導き出すことは叶わない。

しかし、発掘された大臼歯は1in(25.4mm)四方もあり、下顎骨もホモ・サピエンスの2倍以上という巨大なものであった。そのことは確かである。そしてこの数値に基づいて、本種は身長約3m、体重約300- 500kg、最大で約540kgにもなったと推測され[2]、これまでに確認されたヒト上科の中で最も大型であったと考えられている。もっとも、本種は顎と歯がただ大きいだけで、実際の体格はゴリラ程度であったと考える研究者もいる。2017年には体重200-300kgほどであると推測された[4]
生態

四足歩行(現生の大型類人猿と同様、ナックルウォーキングによる四足歩行)をし、果実などを食べる植物食動物であったと見られており、生態はオランウータンに近かったようである。しかし、最近は「雑食性であった」とする説も示されており、これも無視はできない。なぜ絶滅したかについては詳しく分かっていないが、気候変動による生息環境の変化や、生態的に競合する動物の出現による淘汰圧(とうたあつ)が主な原因であろうと推定されている。後者については、同じ竹を食物とするジャイアントパンダとの直接的競合、もしくは、ホモ・エレクトゥス類とのより広い意味での生態的競合が、該当する可能性を持っている。
分布

中国の柳州にある柳城洞窟やベトナムでは、模式種であるギガントピテクス・ブラッキーの歯の化石が数多く産出する。これは同種の狩猟採集範囲が東南アジア地域に限られていたことを示唆する。また、同属異種ギガントピテクス・ギガンテウス(G. giganteus)の化石はインド北部や中国で発見されている。中国ではこの種の歯の化石が広西チワン族自治区大新武鳴南寧)の石灰岩土壌で見つかっている[3][2]
関連事項
未確認動物

未確認動物学者の中には、イエティ野人ビッグフットなどと呼ばれるUMA(未確認動物)の正体はギガントピテクス属であると考える者もいる。
創作作品
キング・コング2005年版)
この映画に登場するキングコングは、ギガントピテクスから進化した大型類人猿という設定になっている。
恐竜惑星
1993年NHK教育テレビで放送されたSFアニメ。ギガントピテクスが現生人類並みに進化し青銅器時代程度の文化を持つに至った巨大な人類という設定のキャラクターが登場する。
エデンの檻
2008年から2013年にかけ連載された日本の漫画作品。本作に登場するギガントピテクスは、胸と頭部に体毛が生えていない。囮となった左治一馬に致命傷を負わせる。
ジャングル・ブック2016年版)
当作品のキング・ルーイはギガントピテクスの生存個体だとされている。詳しくは本項を参照。
ARK: Survival Evolved
ギガントピテクス属の架空の種である、G. fibraratorが登場する。
脚注・出典[脚注の使い方]^ a b c von Koenigswald, G. H. R. (1935). “Eine fossile Saugetierfauna mit Simia aus Sudchina”. Proceedings of the Koninklijke Akademie van Wetenschappen te Amsterdam 38 (8): 874?879. 
^ a b c d Christmas, Jane (2005年11月7日). “ ⇒A partir de la dent du dragon” (英語). Eric Pettifor. 2007年10月23日閲覧。[リンク切れ]
^ a b Ciochon, Russell L. “ ⇒The Ape that Was - Asian fossils reveal humanity's giant cousin”. University of Iowa. 2010年4月17日閲覧。[リンク切れ]
^ a b c Zhang, Yingqi; Harrison, Terry (2017-01). “Gigantopithecus blacki : a giant ape from the Pleistocene of Asia revisited” (英語). American Journal of Physical Anthropology 162 (S63): 153?177. doi:10.1002/ajpa.23150. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISSN 0002-9483. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ajpa.23150. 
^ Noerwidi, Sofwan; Siswanto; Widianto, Harry (2016-11-26). “PRIMATA BESAR DI JAWA: SPESIMEN BARU GIGANTOPITHECUS DARI SEMEDO” (英語). Berkala Arkeologi 36 (2): 141?160. doi:10.30883/jba.v36i2.241. ISSN 2548-7132. https://berkalaarkeologi.kemdikbud.go.id/index.php/berkalaarkeologi/article/view/241. 


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