キース・リチャーズ
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そこでは自然と新たな曲作りが行われ始めたとのことで、一気にレコーディングという流れになっていったという。こうして新作『スティール・ホイールズ』をリリースし、同時に大規模なワールド・ツアーを行うことも発表された。この中には、日本での公演も含まれていた。こうして無事にツアーを終了させたキースは、再び自身のバンドであるエクスペンシヴ・ワイノーズを開始させ、1992年にアルバム『メイン・オフェンダー?主犯?』をリリースした。このアルバムを引っさげてワイノーズは一部のヨーロッパと南米地域だけでツアーを行った。このツアーでは、先のストーンズとして行ったツアーの成功に伴う部分が大きかったが、いくつかの公演ではスタジアムも使われこれを成功させている。

ワイノーズの活動と前後して、ストーンズのベーシストであるビル・ワイマンがストーンズを脱退する。このためキースは新たにバンドのベーシストのオーディションを行わなくてはならなくなった。このオーディションの結果、ダリル・ジョーンズがストーンズの新しいベーシストに決定したが、正式なメンバーではなくサポート・メンバーとしての採用だった。同時にそのまま新曲のレコーディングが決まり、1994年には『ヴードゥー・ラウンジ』として発売され前回同様、大規模なツアーが行われた。以降キースは、ストーンズとして活動を行うためにソロ・プロジェクトは行っていない。21世紀を迎えた現在、幾多の困難を乗り切り自身70歳を過ぎたにもかかわらず、ローリング・ストーンズを「世界最高のロックバンド」として牽引し続けている。

2015年9月、23年ぶりの新作ソロ・アルバム『クロスアイド・ハート』を発表し[3]全英アルバムチャートではソロ・アルバムとしては自己最高の7位[4]、アメリカのBillboard 200でも自己最高の11位を記録した[5]
人物長年の相方ミック・ジャガーと(1982年)2018年

ロック・ミュージックが不良の音楽と呼ばれ、そのイメージの代表格であるローリング・ストーンズにおいて、ミック・ジャガーと共にストーンズの音楽性の柱であるキースは、同時に不良のイメージの柱でもある。後述するドラッグ問題に代表されるキースの無法者的イメージは、ロックンロールのひとつのアイコンとして語られることもしばしばである。しかし、ドラマーのチャーリー・ワッツによれば、キースはどちらかといえば無口で内向的な人間なのだという。また、実際に会った人々(インタビュアーやコメンテーターも含む)によれば、着飾らない人間味溢れた人物であるという。悲しみにくれたエリック・クラプトンに手紙を送ったこともある他(後述)、2011年にはイギリスワイト島にあるAngel Radioというラジオ局のトランスミッターが損傷し、直すのに資金がないということを知って会計士を通じてその資金を提供したという。Angel Radioはリスナーからの寄付によって経営されているため、設備費についても同様のことである。後に同ラジオ局は、BBCのインタビューに「キースからの寄付と知って心臓が止まりそうになった」と語っていて、残った資金はライセンス料の支払いに回すことができたといった[6]ことなどはそれを示したエピソードである。2011年東日本大震災が発生した際は日本の惨状に非常に心を痛めたという。彼はすぐに自身のホームページにメッセージを掲載し、数量限定でTシャツを販売、その収益を被災者支援に充てるといった行動を取っている。タバコを咥えながらのプレイ(1982年)

また、大変なヘビースモーカーでもある。キースは、バンドメイトであるロンのアルコール問題について質問された際、「酒はやめられてもタバコはやめられない」と発言した。インタビュー中や、プライベートな映像の中でも喫煙しながらそれらに応じている姿が見られ、多くのライヴ映像などでも演奏中にタバコを吸いながらプレイしているのが確認できる。70年代にはドラッグを頻繁に摂取していたことでジャンキーとなっていたが、70年代末にクリーンアップに成功して以降も、タバコだけは長年に渡り吸い続けた。後述のジョニー・デップとの映画出演の際も、撮影現場で喫煙し、瞬く間に灰皿がおびただしい吸い殻に埋もれたという。2006年にはア・ビガー・バンツアーで行われたスコットランド公演にてステージで喫煙した際、当局より罰金を課せられる可能性があると警告されたこともある。スコットランドでは近年の世界的な禁煙傾向の高まりを受けて条例によって公共の場での喫煙は罰則を受けることになっているため、ステージでのパフォーマンスも意識したキースの喫煙が適用されるかが焦点だった。しかし、ステージは条例適用外として罰則が与えられることはなかった[7]。長年に渡り喫煙を続けたキースだが、2019年秋を境に禁煙したことを公表した。[8]

ミック・ジャガーがビジネスマンとしての才覚も持ち、音楽的にも最新の音にも目を配る鋭敏さと抜け目無さを持ち合わせているのに対し、キースはあくまでバンドマンとして演奏することに心血を注ぐ職人気質な姿勢を貫いており、打ち込み等を多用した流行の音にも背を向け、あくまでブルースレゲエといった「生身の人間によるグルーヴ」にこだわる姿勢を見せている。しかし最新のサウンドに全く興味がないわけではなく、MXR社が新型エフェクターであるフェイザーを先駆けて販売した際、アルバム『女たち』で、その特性上作成可能な4種類全てのサウンドをいち早く使用している。80年代以降はミックとキースのこの正反対の性格が、時として両者の対立も生んでいるが、この2つの個性のぶつかりがあってこそ、ストーンズは存続しているのである。

「眠らない男」としても有名である。アルバム『メイン・ストリートのならず者』のレコーディング時には、9日間一睡もしなかった時があったという。このエピソードについてキースは、スタジオで仕事をし続けていたら思ったよりも時間が経っていたという程度の認識しか持っておらず、まさか一週間以上も経過していたとは思わなかったという。また、この時もっとも長く付き合ってくれたのがチャーリーだったとも語っている。こうしたエピソードなどから、チャーリー・ワッツの人柄とドラムに対して絶大な信頼を寄せている。

パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』の主演、ジョニー・デップは、主人公のジャック・スパロウ船長はキースをイメージして演じた、と公言している。


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