キンモクセイは香りが良い樹木の代表種でよく知られ、大気汚染や潮風にも強く、刈り込みに耐え、日陰でも良く育つので古くから栽培されている[10]。大高木とはならないため比較的狭いところにも植えられている[17]。やや日陰を好む性質があり[9]、庭木としては、半日陰のようなところに植えると良く、日当たりが悪いと花付きが悪くなり、日当たりが良すぎると葉焼けを起こす。すぐに大きくなって樹形が崩れるので、数年に1回は大きく刈り込むと良い。剪定は、花が終わってから新芽が吹く翌春までに行う。害虫は、夏にハダニが湧くことがあるので注意。植栽の適期は、2月下旬 - 3月上旬、6月下旬 - 7月中旬、9 - 10月とされている[9]。
日本には雄株しかないため、挿し木で増やす[7]。丈夫で育てやすく、花も楽しめるので、庭木でも鉢植えでも人気がある。挿し木だと、開花までは早くても5年はかかるが、苗を買ってきて植えれば、早ければ植えた年に花が咲く。すぐに大きくなるので、鉢植えよりも庭に植える方が適しているが、鉢植えにするならなるべく大きい鉢に植える。
キンモクセイの花は甘めでしっかりした強い香りであることから、日本において汲み取り式便所が主流で悪臭を発するものが多かった時期には、その近くに植えられることもあった[18]。そのことから1970年代初頭から1990年代前半までキンモクセイを模した香りが、トイレの芳香剤として主流で利用されていたため、一部年齢層においてはトイレを連想させることがある[18]。
秋の季語である。 花を薬用にする。花には、蝋質、オスマン、α-ツヨンなどの精油、グルコース、フルクトース、マニトール、ステアリン酸など含まれている[6]。精油には、味覚神経を刺激して唾液や胃液の分泌を促進させる芳香性健胃作用があり、血液循環にも役立つといわれている[6]。精油以外の成分には、滋養保健の効果があるといわれる[6]。 滋養保健、食用増進に乾燥させた花を煮出して、フラワーティー(花茶)として用いる[6]。低血圧、不眠症には、焼酎1リットルに生の花150グラム、乾燥花の場合は30グラムの割合で浸し、冷暗所に3か月保存してからかすを除いて木犀花酒をつくり、就寝前に盃1杯飲むと良いとされる[6]。 中国では、月の中にはキンモクセイのような香りのよい巨木があると信じられていた[5]。日本ではこの話を元にして、和歌や文学に「月の桂」がよく出てくる[5]。 キンモクセイの花言葉は、「謙遜」「真実」とされる[5]。
薬用
文化
都道府県・市区町村の木に指定している自治体
都道府県
静岡県
市区町村
茨城県 - 牛久市
千葉県 - 八街市
神奈川県 - 横浜市泉区、中井町、大井町
長野県 - 高森町
静岡県 - 掛川市、袋井市
愛知県 - 名古屋市天白区、日進市、蟹江町
滋賀県 - 草津市
大阪府 - 大阪市淀川区、豊中市
兵庫県 - 明石市
奈良県 - 三宅町
和歌山県 - 紀の川市
福岡県 - 田川市、小竹町、筑前町
佐賀県 - 鹿島市
熊本県 - 山鹿市、宇土市、甲佐町
大分県 - 別府市
脚注[脚注の使い方]
脚注^ 「丹桂」をウスギモクセイの漢字とする文献もある[5]。
^ ギンモクセイはキンモクセイよりわずかに鋸歯が強いので、そこが見分けるポイントの一つだが、どちらもヒイラギモクセイほどはっきりした鋸歯はなく、見分けづらいこともある。