『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』完成後、WETAデジタルとWETAワークショップはリチャード・テイラー、クリスチャン・リヴァース、ジョー・レッテリの主導で『キング・コング』のプリプロダクションを開始した[11]。この他、主要スタッフには『ロード・オブ・ザ・リングシリーズ』に参加していたアンドリュー・レスニー(撮影監督)、グラント・メイジャー(プロダクション・デザイナー)、サイモン・ブライト(英語版)(美術監督)、ダン・ヘナ(美術監督)、アラン・リー(英語版)(コンセプト・デザイナー)、ジェイミー・セルカーク(編集技師)が起用されている[9]。ジャクソン、ウォルシュ、ボウエンは2003年10月下旬に新たな脚本の執筆を始めた[13]。ジャクソンは1996年版脚本に強い不満を抱いており[14]、ボウエンは「あれは実際のところ、フランとピーターが大急ぎで紙に書き留めたものです」「あれは物語が持つ複数の可能性の一つでした」と説明している[11]。ジャクソンたちは1996年版ではなく、1933年のオリジナル版をベースに物語を構築することに決め[11]、ジェームズ・アシュモア・クリールマン(英語版)のオリジナル脚本で削除された部分や省略された部分を補完する方向で脚本執筆が進められた[9]。1933年版のコングが追いかけてきた人間たちを丸太から谷底に振り落とすシーンでは、当初メリアン・C・クーパーとアーネスト・B・シュードサックは崖の中から巨大なクモが現れて人間たちを食い殺すシーンを描くつもりでいたが、完成版ではカットされていた。このシーンは『フェイマス・モンスターズ・オブ・フィルムランド』に掲載されたスチール写真でしか知られていなかったが、ジャクソンはこのシーンを取り入れて詳細に描写している[11]。また、デロス・W・ラヴレス(英語版)が1931年に執筆した小説版『キング・コング』からもインスピレーションを得ており[10]、小説版に登場した料理人ランピーを映画にも登場させている[14]。さらに、アンとコングの関係に説得力を持たせるため、数時間かけてゴリラの映像を研究している[19]。ヴォードヴィルの演者ジューン・ハヴォック(英語版)が執筆した回顧録『Early Havoc』の使用契約を結び[14]、ウォルシュとボウエンがアンのキャラクター設計のために役立てた[20]。カール・デナムはオーソン・ウェルズをイメージしてキャラクター設計されている[14]。2004年2月に新しい脚本が完成した[11]。 主要キャストのナオミ・ワッツ、ジャック・ブラック、エイドリアン・ブロディは指名起用され、他の候補者は検討されなかった[14]。ナオミ・ワッツは役作りのために1933年版でアン役を演じたフェイ・レイと面会している[21]。また、ジャクソンはフェイ・レイに「ラストシーンにカメオ出演して欲しい」と懇願しており、初めて面会した際には「絶対に嫌です」と断られたものの、交流を重ねるうちに「出演できないことはないですよ」と前向きな姿勢を見せるようになったが、彼女がプリプロダクション中に死去したため実現しなかった[21][11]。フェイ・レイが発するはずだった「It was beauty killed the beast(美女が野獣を殺した)」の台詞は、オリジナル版と同様にカール・デナム(ブラック)が発することになった[20]。ブラックは『ハイ・フィデリティ
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