キングギドラ
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身長:不明[注釈 6]

アニメーション映画『GODZILLA』(2018年)に登場。

異星人エクシフが「黄金の終焉」「金色の王」「黄金の虚無」と称する黄金の怪獣[30]。作中ではブラックホールより現出した3つの首のみが登場し、胴体や翼、足、尻尾を含めた全体像は登場人物たちが幻視したイメージのシルエットのみの登場となっている[31][32]。全身が出現した場合はただちに惑星ごとすべてを飲み込んでしまうため、ギドラを信奉するエクシフにも真の全体像を見た者はなく、彼らの精神の中で定義された造形が他の観測者に見えているのに過ぎない[33]

エクシフの信仰で語られる「宇宙知性」「既存の宇宙を超えた高次の領域へと至る門」と同一の存在[34]。エクシフにとっては信仰の対象であり、差し出された母星エクシフィルカスを筆頭に、放浪する彼らの見つけた幾千もの星々を超重力で飲み込み滅ぼしてきた[35]。星という種から命が芽吹き、人という花が文明を咲き誇らせ、その文明の燗熟の果てに産み落とされた果実である怪獣(地球でいうところのゴジラ)を食らう存在とされている[32]。ギドラを降臨させる儀式の要であり、ギドラにこの宇宙の存在を捕捉させる観測装置でもあるエクシフの神器・ガルビトリウムにも書かれている、エクシフの信仰に登場する七芒星はギドラの3本の首+2本の尾+2枚の翼を意味し[32]、告解する者に手を2回振り下ろす行為は身体を3つに分けてギドラに捧げることを暗示している[30]。また、2035年の報告書では、スラブ民族テュルク系民族の伝承に登場する複数の首を持つ竜ズメイ、多くの文明で魔除けや吉祥として重んじられる雷紋とも関係があると指摘されていた[34]

次元の狭間に潜む高次元エネルギー体[31]であり、次元を超えてマルチバースを跨いで移動することが可能な超越存在である[36]。出現するだけでブラックホールが形成されるほどの重力制御能力を有しているほか、主人公のハルオ・サカキたちが存在する宇宙(地球次元)とは物理法則の系そのものが異なる異次元の存在であるがゆえ、人間の感覚器官では五感によって認識できるが電子機器では異常な重力場の拡大以外は検知・解析ができず、干渉・捕捉もできない[37]。召喚時には歪曲重力場および時空間曲率の破綻による特異点が発生し、惑星上に出現する際には異常重力場による上昇気流で巨大な積乱雲を発生させる。周囲ではあらゆるデータの送受信が時間的整合性を失うため、作中では外部信号が120秒前からループし続ける、数十秒前に死亡しているはずの相手と通信する、まだ生きているはずなのに生命反応が途絶したと表示されるといった不可解な現象が起きた。

地球次元側からの観測や干渉を一切受け付けず、ギドラだけは自在に地球次元側の存在に干渉できる絶対的な優位性を有している。異次元の物理法則で地球次元側に干渉することにより、自分への物理攻撃はすり抜けつつ自分は一方的に相手に触れることができ、噛みついた場所からは分子振動の激しさを無視して一方的に熱を奪え、10万トン以上の体重を誇るゴジラ・アースを宙に浮かせ、噛み付かれた対象も実在が異次元法則に侵食されてギドラと同じように計測値が曖昧になっていく。ギドラ周辺の空間は著しく湾曲されているため、ゴジラの熱線はまったく干渉されていないにもかかわらず捻じ曲げられる。一方、地球次元側と同様にギドラ単体では地球次元側の存在を観測できないという弱点を抱えており、捕食対象の捕捉にはエクシフの神官であるメトフィエスなどエクシフによる観測を必要とする。さらに、召喚中にガルビトリウムを砕かれると地球側の物理法則に捕まってしまい、地球次元側からの干渉を無効化できなくなるだけでなく、異次元法則による現象の不整合が補正されていき、異常重力場は減衰してエルゴ領域も急速に閉鎖を始める。

第二章『決戦機動増殖都市』では、ハルオがゴジラ・アースに対して抱いた恐怖心を和らげるため、メトフィエスがゴジラ以上の脅威としてその名を伝える。

第三章『星を喰う者』では、メトフィエスやエクシフの族長エンダルフが、メカゴジラシティの陥落にともなってエクシフの宗教にすがった先遣隊の生き残りやアラトラム号の人々とともに儀式を執り行い、地上の生存者たちを生贄とすることでアラトラム号周辺に召喚される[31]。アラトラム号を撃沈した後には地上へ降臨し、ゴジラ・アースと対峙する。ゴジラ・アースとの戦いでは、地球側の物理法則を超越してゴジラ・アースの一切の干渉を受けつけず、自身は別次元の法則によって核兵器すら通じない「非対称性透過シールド」を無視した直接攻撃を行い、ゴジラ・アースの実在を自身の次元法則で侵食して喰らい尽くそうとするが、メトフィエスが右目に埋め込んでいたガルビトリウムをハルオに破壊された結果、地球次元側へ引き込まれて地球の物理法則に捕まったことで実体化し、ゴジラの反撃に圧倒されたうえ現出元のブラックホールを熱線で破壊され、撃退された[38][32]。ただ、完全に消滅したわけではなく、地球で文明が再興されればいずれまた降臨する可能性は残っている。
造形(アニメーション)

3DCGモデルは監督の瀬下寛之のラフスケッチを元に川田英治が担当。当初は瀬下が「全体が絶えず変化する」というプランを持っており、それに基づき試作してみたがイメージと違うことが判明し、蛇の玩具のような鎖状に変更となった[31]

瀬下によるテーマは稲妻[39]。「ゴジラがまったく違う進化をしたら」という発想からスタートし、「トゲ」と「ドラゴン」と「金色」をイメージポイントとしてマケット(造形の方向性を説明するための検討用モデル)のモデリングが進められた[40]。鱗に相当する部分は植物の薔薇の棘がモチーフとなっており、攻撃性が表現されている[31]。ドラゴンのイメージは劇中に登場するゴジラの派生怪獣セルヴァムをベースにしており、マケットのモデリングもセルヴァムからの進化という方向性を軸にセルヴァムのモデルから発展させる形で行われ[31]、翼のシルエットにその雰囲気が残された[40]。3つの頭部は奇形的な発想でそれぞれ形状が異なり[31]、普通の形のものが崩れて恐ろしいものに見えているというアンシンメトリーな印象を与えられた[40]。複数の目玉を備え、どの角度から撮っても目が映るよう配置されている。[31]

アニメーションでは、劇中の世界観に則ると20キロメートルに達する超長大な首の制御が課題となった。ギドラの首全体を一度に制御することは困難であるため、アップ時に細かく制御するもの、同じ長さで制御が簡略化されたもの、ロングでダイナミックに動く長大なものの3種類のコントローラーを用意し、レールの上を連結した列車が走るというイメージであらかじめギドラが動く軌道を指定し、複数読み込んだコントローラーを連結させて走らせるという手法がとられた[31]。また、内部には光の粒子が必要とされたが、パーティクルを立体ポリゴンで扱うMayaで粒子を表現すると膨大なポリゴン数となってしまい、別途レンダリングした粒子のパーティクルを後からコンポジットで重ね合わせ、内部の粒子を表現することになった[40]
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のキングギドラ

諸元キングギドラ
KING GHIDORAH
[41]
体長158.8 m[41]
体重14万1,056 t[注釈 7]

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)に登場。

南極の氷の中で眠っているところをモナークに発見されて管理下に置かれていたが、エマ・ラッセル博士と結託したアラン・ジョナ率いるテロ組織の爆破工作によって目覚めさせられる。モナークからモンスター・ゼロ[41]というコードネームを与えられている。

太古からゴジラのライバルとして何度も戦ったとされる最強の怪獣であり、西洋におけるあらゆる神話などで伝承される悪のドラゴンらのもとになったとされる。その反面、詳細な資料や記録が残っておらず、これについては「その力を恐れ、忘却したかったために記録しなかった」とアイリーン・チェン博士は推測している。また、ギドラに対して東洋におけるドラゴン=竜=ゴジラは神聖な存在として伝承されたとも推測された。

正体は太古に宇宙から飛来した外来生物、すなわち宇宙怪獣であり、嵐など気象を自在に操る[41]、頭部を1本失っても短時間で再生する、オキシジェン・デストロイヤーが効かないなど、地球上の自然摂理を逸脱した能力を有している[42]。知能が高いうえに性格は極めて凶暴で、怪獣とコミュニケーションを取る装置「オルカ」やそれを扱う人間を障害と見なし、激しい憎悪をむき出しにする。また、ゴジラを上回る力を持つが地球外生命体であるがゆえに地球のバランスを保つ存在ではないとして、ゴジラを怪獣王と考える芹沢猪四郎博士には「偽りの王」と称され、他の面々にも「外来種」と称される。


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