キリスト教
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正教会でも「聖書と聖伝」と述べられることはあるが[66]、むしろ「聖伝がただ一つの源泉であり、聖伝の中に聖書が含まれるのであり、分離や対比は両者の価値を減じる」とし、「聖伝の中に聖書」[60]という捉え方もされる[67][68]

聖伝を認める教会の場合、教会の中にある全てのものが聖伝とされるのではない。カトリック教会では使徒たちに由来する聖伝と、神学・おきて・典礼・信心上の「諸伝承」が区別される[69]。諸伝承の中から異なる場所、異なる時代にも適応した表現を大伝承(聖伝)が受け取り、その大伝承に照合され、教会の教導権の指導のもとで、諸伝承は維持・修正・放棄される[69]。正教会では、「天上の永遠なる神の国に属する真の『聖伝』と、地上の人間的な暫定的な単なる伝統」が区別される[70]

一方、プロテスタントには、聖伝(伝統・伝承)を認める者と認めない者とがいる(「プロテスタント」は様々な教派の総称であり、内実は様々である)[注釈 26][注釈 27]。後者を表す宗教改革の原則の一つに「聖書のみ」がある[71][72]。ただし、聖書に優越する、あるいは並び立つ、ないし聖書を包含するといった意味での聖伝(伝統)を認めないプロテスタントであっても、「宗教改革の伝統」「改革派教会の伝統」といった用語がプロテスタントで使われる場合はある[73][74]

教えの源泉の、教派別対照表
西方教会東方教会
カトリック教会聖公会プロテスタント[注釈 28]正教会
聖書聖伝において解釈・理解されるべきである聖書・伝統・理性の三本柱を大切にする◆ 聖書のみ
◆ 聖書のほかに、伝統も認める
以上二類型の混在聖伝の中に聖書が含まれ、聖書は聖伝の中で第一の位置を占める[59][注釈 29]

ニカイア・コンスタンティノポリス信条にみる信仰内容
ニカイア・コンスタンティノポリス信条の位置付け

ニカイア・コンスタンティノポリス信条は、381年に、第1コンスタンティノポリス公会議で定められたキリスト教の信条(教えを要約した定型文[75])である[76]東方教会西方教会のいずれでも、最も広く普遍的に、共通して使われる信条である[75][77][78]。「ニカイア信条[75]」「ニケヤ信経[79]」「ニケア信条[80]」「信経[78]」とも呼ばれる。一方、西方教会では広く使われている使徒信条は、東方教会はその内容は否定しないものの、信条としては使っていない[78][81]。このため、東西教会の両方に言及する本記事では、ニカイア・コンスタンティノポリス信条を骨格としつつも、必要な箇所では使徒信条の内容も必要に応じて補足して、信仰内容を詳述する。

なお、西方教会の一角を占めるプロテスタント諸教派の間では信条の使用に差異があり、ルーテル教会[80]改革派教会[82]メソジスト[83]はニカイア・コンスタンティノポリス信条を使用するが、バプテスト教会では信条の使用自体に議論が発生する[注釈 30][84]。しかしバプテスト教会内にも、信条の強制は否定するものの、その使用の意義は認める見解も存在する[84]
ニカイア・コンスタンティノポリス信条の全文

ニカイア・コンスタンティノポリス信条教派別対照表


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