キューピー
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また、この年には三越もアメリカから人形を輸入している[4]

当初はアメリカへの輸出向けとして作られていたが、のちに日本のオリジナルとも言うべき特徴を持ったキューピーも作られている。後述の楽曲、「おもちゃのマーチ」が1923年に発表されていることからもキューピー人形の誕生と普及については、ほぼ世界的に同時進行であった。

アメリカではコンポジション製のものが生産されるようになった。この技術はアメリカの特許で、パルプ系の材料を粘状にしたものを造形して樹脂などで固めるものであり、磁器製の物よりも技術的な造作の自由が利くという利点があった。

1925年以降になると材質はセルロイド製が主流になった。第一次世界大戦で疲弊したドイツに代わり日本がセルロイド製品を多く手がけるようになり(当時日本統治下の台湾には、樟脳の原料になるクスノキが豊富だった背景がある)、着色が容易なことからカラフルなキューピーが登場した。燃えやすいなどの欠点が指摘され始めて以降はソフトビニール製のキューピーが主流となった。(1954年に、アメリカはセルロイド製の玩具を輸入禁止としている)

アンネ・フランクは「アンネの日記」の中で、隠れ家での初めてのクリスマス(1942年12月5日のこと。聖ニコラスの日のイブ)に、キューピー人形をもらったと書いている。
キューピーのイメージを使用している企業

アメリカの「キューピー・ハンバーガー」(Kewpee Hamburgers
)というハンバーガー・チェーンは綴りが違うものの、ロゴにキューピーを使用している。

日本の食品メーカー、キユーピー株式会社(「ユ」の文字が大きい) - 1922年に「キユーピー」の文字およびイラストを商標登録登録商標日本第147269号)している。同社製品のマヨネーズなどのパッケージにイラストが描かれている。英文商号は以前は「Q.P. Corporation」としていたが、2010年2月23日より綴りの同じ「Kewpie Corporation」に変更された。

日本の石鹸メーカーである牛乳石鹸共進社もキューピーのキャラクターを使用した「キューピーベビーシリーズ」等を製造している。

日本の長期信用銀行であった日本興業銀行(現・みずほ銀行)もキューピーを使用していた。

また、日本のポップロックバンド「アーバンギャルド」もキューピー人形の意匠を度々使用している。

キャラクター展開キュージョン販売コーナー

キューピー・グッズは人形、イラストを含め、多種多様な製品が作られている。日本では2007年より「キュージョン」(「キューピー」と「フュージョン」をつなげた造語)というキャラクター展開がなされており、ほかのキャラクターのコスプレをしたキューピーを多数作っており[5]、ご当地限定グッズの展開も行っている[6]
著作権などの権利

1998年ローズ・オニール遺産財団からキューピーの日本での著作権を譲り受けた「日本キューピークラブ」の代表が、「キユーピーマヨネーズのロゴマークは著作権侵害にあたる」としてキユーピーを訴えた事件の控訴審[7]の判決文にはキューピーの著作権は戦時加算も含めて2005年5月6日まで存続したことを認定した上で、「日本キューピークラブ」がキューピー人形の著作権者であることを認容するとともに、キユーピー株式会社の使用イラストとは相違点が数々あり、ローズ・オニール原作の複製物、原作から翻案された二次的著作物のどちらにも当たらず、また「日本キューピークラブ」の代表が示したキューピー人形との立体化において発生した二次的著作物とも類似点がないとして、日本キューピークラブの控訴を棄却したという判例がある[8]。また商標権については、キユーピーは飲食料品に対し商標権(防護商標も含む)で保護しており(他の品目については他社で権利保有)、飲食料品について類似または誤認する商品が出れば訴えざるを得ないとZAKZAKの取材に対して回答している[9]。しかしキューピー自体の著作権は2006年にはすでに失効しており、デザインそのものについては口を挟めない、とキユーピー広報は回答している[9]。また日本大学板倉宏名誉教授は『キューピーを会社のロゴや商品の「顔」として使用すると商標権に抵触するが、キューピーのキャラクターそのものについての使用権は著作権の範疇であり、著作権が失効しているキューピーそのものを(改変・翻案して)商品として扱うのは何ら違法ではない』と述べている[9]。著作権が失効したことから、キューピーが改変されまくり、本来の可愛らしさが失われる現状についてはキユーピー、日本キューピークラブともに胸を痛めているという[9]
キューピーを題材とした作品
楽曲

おもちゃのマーチ(作詞:海野厚、作曲:小田島樹人1923年発表)

おひなまつり(作詞:斎藤信夫、作曲:海沼実

キューピーさん(作詞:葛原しげる、作曲:弘田龍太郎、歌:中尾祥子、1924年発表)

キューピー・ピーちゃん(作詞:野口雨情、作曲:中山晋平1930年発表)

わたしのキューピーちゃん(作詞:久保田宵二、作曲:佐々木すぐる

キューピー・ドール(英語版)(作詞・作曲:Sid Tepper、Roy C. Bennett、歌:ペリー・コモ他、1958年発表)

キューピーちゃん(作詞:吉川昇、作曲:吉川昇、歌:吉川団十郎一座、1974年発表)

一銭五厘のキューピーさん(ゴムとび歌、原曲:リパブリック讃歌

キューピーの観兵式(作曲:リベルリ)

小舟のキューピー(作曲:ガストルディ)

たらこ・たらこ・たらこ(作詞:加藤良1、作曲:上野耕路2004年発表。CD発売は2006年

また、1921年発表の童謡「青い眼の人形」(作詞:野口雨情、作曲:本居長世)も、キューピーがモデルという説がある。
アニメ

ローズオニールキューピー
2009年12月よりWOWOWで放送。ローズ・オニールの原画のタッチを再現している。
参考文献

「20世紀の天使たち キューピーのデザイン」INAX BOOKLET 1995年、ISBN 978-4-87275-725-5
脚注^ このキューピーの起源については、大阪高裁(H16(ネ)1797)において、「1903年のCOSMOPOLITANに掲載されたキューピーのイラストには、すでに現在のキューピーの特徴が現れている」旨の記載があり、「1909年のレディース・ホーム・ジャーナルに掲載されたキューピーのイラストは1903年のイラストの2次的著作物である」と認定されている。またその後の平成20年11月17日に判決が言渡された、知的財産高等裁判所の平成 20年 (行ケ) 10139号では1909年に発表したイラストをキューピーとしており[1]、ローズ・オニール・キューピーの公式サイトでも、1909年に誕生と記載されている。
^ 「20世紀の天使たち キューピーのデザイン」6ページ
^ 「20世紀の天使たち キューピーのデザイン」20ページ
^ 下川耿史 家庭総合研究会 編『明治・大正家庭史年表:1868-1925』河出書房新社、2000年、397頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 4-309-22361-3


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