キューティーハニー
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これまでの魔法少女もの同様、主人公が変身能力を有しているが、その能力の根本には科学的なギミックが据えられているため、厳密にいえば魔法少女の定義には当てはまらない作品だが、内容の近似性から東映魔女っ子シリーズの一作品として扱われることもある。

微妙に作品名が異なる派生作品がいくつか存在するが、個別の記事がないものについては本記事で扱う。正確な作品名については歴代作品を参照。
概要

その身に組み込まれた「空中元素固定装置」により、七変化の変身能力と無類の戦闘力を発揮する少女型アンドロイド・如月ハニーと、世界中の宝石や貴金属の独占を狙う犯罪組織パンサークロ―との戦いを、ハニーに夢中である早見一家とハニーとの愉快なやりとりを交えて描く美少女アクション活劇。

空中のあらゆる元素を自在に組み替える力を持つ「空中元素固定装置」でハニーは自在に衣装、所持アイテムを変えられ、その衣装に応じた能力を発揮できる。その中でも、戦いに特化した戦士としての姿が「キューティーハニー」であり、人間をはるかに超える身体能力を発揮することができるようになる。

パンサークロ―の魔の手が伸びた時、「あるときは○○、またあるときは△△、しかしてその実体は…」と謎めいた口上を述べ、「ハニーフラッシュ!」の掛け声と共に如月ハニーからキューティーハニーに変身して「愛の戦士キューティーハニーさ!」と名乗りを上げ[注釈 2]、刺客と戦いを繰り広げる。

アニメ版は1973年10月13日に放映された。後年にアニメ版の続編およびリメイク作が多数作られている他、実写映画化、舞台劇化などもなされている。

※ 以下のアニメ化作品は基本的に放送・公開(リリース)順に記載。
テレビアニメ「キューティーハニー」
放送期間など

放送期間:1973年10月13日 - 1974年3月30日

放送回数:全25話

放送時間:毎週土曜日20時30分 - 20時55分

放送局:NET(
テレビ朝日)系(関西地区は毎日放送[注釈 3]

制作局であるNETの放送時間が25分であるため、放送時間25分(同時ネット局のバージョン)用と30分(遅れネット局および再放送のバージョン)用が作られた。ANNフルネット局ではキー局バージョンを同時ネットしていた[注釈 4]。詳細については、後にほぼ同じスタッフで制作・放映された「マグネロボシリーズ」と共通する部分が多いため、マグネロボシリーズ#放送規格を参照。
あらすじ

ミッション系の全寮制高校「聖チャペル学園」に在籍する女子高生・如月ハニーはロボット工学研究者・如月博士の愛娘。今日も今日とて厳しい寮長のミハル先生の監視の目をかいくぐっては脱走とさぼりに精を出すお転婆娘である。

ある日のこと、世界規模の犯罪組織パンサークローがハニーの自宅を襲撃する。彼らの狙いは如月博士が開発した、空気中のあらゆる元素を自在に結合させ望むものを作り出すことができるという究極の機械「空中元素固定装置」だった。博士からの連絡を受けて急ぎ自宅へ戻るも時遅く、最愛の父の死に直面し慟哭するハニー。怒りと悲しみの中、ハニーは博士の遺言から、自分が博士の手によって生み出されたアンドロイドであること、空中元素固定装置が自らの体内に隠されていることを知る。

空中元素固定装置を守り抜けという父の遺言を胸に、ハニーは父の仇討ちを誓い、愛の戦士キューティーハニーとなってパンサークローと戦い続ける。
登場人物
主人公
如月 ハニー(きさらぎ ハニー) / キューティーハニー
- 増山江威子本作品の主人公。ロボット工学研究者・如月博士の愛娘で、全寮制女子学校・聖チャペル学園に在籍する16歳[注釈 5]の少女。学園からの脱走を生きがいと言い切るお転婆な性格。その正体は、如月博士が心血を注いで造り上げた女性型半生体アンドロイド(人造人間)。骨格や大脳は機械、外見は生体細胞からなるハイブリッド・ヒューマンでもある。その姿は人間と寸分たがわぬほどに精巧に作られており、心臓部分に「空中元素固定装置」が組み込まれている。ロボットながら人間らしい感情と善悪の判断能力を有しており、涙も流し汗もかき、傷を負えば流血もするし痛みも感じる[注釈 6]。そして大切な人たちを傷つける悪党に対しては怒りを露にする。博士はハニーに実の娘同然に愛を注ぎ、ハニー本人でさえパンサークローに如月博士を殺害されるまで自分を博士の実の娘だと思っていた[注釈 7]。固定装置の強奪を狙うパンサークローに父を殺害されたことをきっかけにこれらの真実を知ることとなり、空中元素固定装置を守り抜き、父の仇討ちを果たすためにパンサークローと戦うことを決意する。首のチョーカーのハート部分のスイッチを操作することで「ハニーフラッシュ!」の掛け声とともに空中元素固定装置を起動し、自由自在にあらゆる姿に変身でき、それぞれの姿のときはその道のプロフェッショナルとしての能力を発揮することができる。それらの中でも究極的な戦士としてのスタイルが「キューティーハニー」である。この姿のときの彼女は、走力、腕力、跳躍力など人間の4倍の能力を有し、他にも長剣・シルバーフルーレやハニーブーメランなどの武器を使い、さらには反重力ブーツで壁や天井を走ることもできる。一般的なスーパーヒーローに比べればハニーの能力は控えめと言えるかもしれないが、如月博士の言葉を借りれば、これは「ハニーが人間の心を理解できるように人間の能力を大きく越えたものにしなかった」という理由からくるものである。漫画版では人間と同じく食事でエネルギーを摂っておりエネルギー不足でピンチに陥る描写(空中元素固定装置が使えなくなる)があるが、アニメ版では2話でカップ麺を食べる描写があるもののエネルギー源については特に言及はなく、固定装置の起動に影響する様子も描かれたことはない。また、漫画版では尿意を感じている場面がある(噴水に飛び込んで放尿している)。空中元素固定装置による変身や物質の製造は自分の回りにある物質や空気を一度元素レベルまで分解し再構成することで行われる。変身時に服が飛び散るのはこのためで、髪の長さや色も同様に固定装置の力で変化している。服装から武器のような重金属までその場で作ることが可能。ハニーとパンサークローの関係は、ハニーから見ればパンサークローは自分たちの欲望で父を殺害した「憎き仇敵」であり、パンサークローから見れば、空中元素固定装置を持つハニーは「あらゆる物質を生み出せる宝の山」である。
ハニー七変化

如月ハニー
基本の形態であり、極普通の人間の少女としての仮の姿[注釈 8]。普段はこの姿で女子学生として過ごしている。形態独自の能力は持たないが、アクロバティックな動きで敵を翻弄し素手で敵の下っ端と渡り合ったり、バスの床を拳ひとつでぶち抜き鉄板を引き剥がしたり、大の大人を担いだまま片手で大車輪を披露したりと、身体能力自体は変身時にも劣らず高い(キューティハニーを除く各形態時も同様)。
ハリケーンハニー
ライダースーツに身を包んだ黒髪長髪の天才レーサー。バイクを始めあらゆるメカを自在に使いこなせ肉弾戦にも強い。その能力から主に移動手段として活用されるため使用頻度が最も多い。
ファンシーハニー
ファッションモデル。妖艶な美貌と色仕掛けで敵を惑わせ、シガースティック型の吹き矢で牽制する。
フラッシュハニー
女性カメラマン。主に様々な場所に取材と称して潜入する際に用いられた。
ミスティーハニー
ロック歌手。インパクト抜群の歌で敵を引きつけながら戦う他、敵の目を欺くため流しのギター弾きとして振舞うこともある。
アイドルハニー
国際線のスチュワーデス。元より戦闘向きの職業ではないため、使用頻度は低い。
キューティーハニー
特定職業のモチーフを持たない、真の姿[注釈 9]とも言うべき戦闘形態。戦闘に特化した姿で他形態時をはるかに凌駕する身体能力を発揮し、専用の武器である白銀の長剣シルバーフルーレを用いて戦う。

本編中ではこれら以外にも状況に応じて様々な姿に変身して戦った。
ハニーの武器・能力

空中元素固定装置
空中に分子の形で存在する元素を選り分けて随意に結合させ、あらゆる物質を作り出す装置。起動の際には眩い光を放つ。最終決戦でハニーの胸部、心臓の下辺りに固定されていることがパンサークローの施したスキャニングによって暴かれている。チョーカーのハート飾りが起動スイッチとなっているため、チョーカーを奪われると変身が封じられてしまう(17話)。漫画版では起動にエネルギーを必要とし、エネルギー切れによってピンチに陥る場面が描かれている。
シルバーフルーレ
キューティハニー形態時の接近戦用武器で白銀の長剣。普段は刃を縮めた状態で履いている反重力ブーツに収めてあり、引き抜くと同時に刀身が伸びる。
ファイヤー、ハニービーム、サンダードロー、ハニーストーム
シルバーフルーレの先端から放つ遠距離攻撃技。ファイヤーは火炎(4話)、ハニービームは光線(8話)、サンダードローは電撃(17話)、ハニーストームは風の渦(23話)を放つ。
ハニーブーメラン
投擲武器。左腕に巻いたハートマーク付きのリボンをブーメランに変形させて投げる。本体は鋭い刃となり、直撃した相手を切り裂く。形態の如何にかかわらず使用可能。シーンによってハートの向きが逆だったり、色が異なったり、突起が付いていたりと作画が一定していない。
反重力ブーツ
履いているブーツの内部に仕込まれた反重力装置により壁や天井を歩くことができる。
ハニービーム
チョーカーのハートマークから一瞬にして放たれる強烈な光線。
ハニースペシャル
最終回のみ使用。空中元素固定装置をフル稼働させて大量の宝石を作り出し、シスタージルに放って隙を作った。
イヤリング
左耳のイヤリングの飾りに通信機による通話機能(1話)やラジオの受信(2話)、離れた場所の物音や音声を拾って聞き取る(2話)、超音波の探知(9話)などの多彩な機能が搭載されている。
透視能力
とんぼ眼鏡をかけることで壁の向こうを透視して見通せる(6話、14話)。
主人公を支える人々
早見 団兵衛(はやみ だんべえ)
声 -
富田耕生早見家の当主。体は小さいが武芸百般に通じ、忍術の使い手でもある。年齢にそぐわないその身体能力で、パンサークローとの戦いにおいて相手戦闘員を翻弄するなど、しばしばハニーをフォローする。しかしここぞというところでドジを踏んだり太刀打ちできずにあっさり負けてしまったりと、肝心な時に役に立たないことも度々。息子と行動を共にするハニーの父親代わりを自認し、ハニーがアンドロイドであることを知っても以前と同じように我が子のように可愛がるなど人情に篤く、ハニーにも「おじさま」と呼ばれ[注釈 10]慕われている。自宅と学生寮を破壊され、住むところを失ったハニーを自宅に引き取って面倒を見つつ息子と共にハニーをサポートする頼もしさの一方で、息子たちとハニー争奪戦を繰り広げたり、順平と一緒にハニーの入浴姿を覗くなど、下心丸出しのスケベオヤジでもある。青児や順平からは「父上」と呼ばれている。
早見 青児(はやみ せいじ)
声 - 森功至早見家の長男で東日新聞の記者。バイク走行中に、ハニーの最初の変身であるハリケーンハニーへの変身の場面に出くわし、後をつけてきたことでパンサクローの如月家襲撃の場面に居合わせる。スクープ狙いでハニーに話を聞こうとするものの、空気を読まないその行動に激昂したハニーの張り手をくらい、泣きじゃくる彼女の姿を見て心を入れ替え、スクープをあきらめてハニーに協力し共にパンサークロ―と戦うことを誓う。その後、ハニーが如月博士を象ったロボットの口から遺言を聞く現場[注釈 11]に立会うこととなり、ハニーの素性と過酷な運命に同情して様々な面で彼女に協力する。正義感があり長身で割と端整な容姿だが、格闘はあまり強いとは言えず、どちらかといえばブレーン的な役割を担う。ハニーと近しいがゆえに敵に標的にされることも度々で、ハニーの足を引っ張ってしまうこともある。戦いの中で次第にハニーと惹かれ合い、家族公認の恋人となる。


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