重要野菜として定着したのは江戸時代末期で、キュウリの産地だった砂村(現在の江東区)で、キュウリの品種改良が行われ、成長が速く、歯応えや味が良いキュウリが出来て、一気に人気となった[16]。明治末期には、栽培面積でナスの3分の1強ほどあった[6]。昭和初期には栽培面積が急増し[14]、第二次世界大戦(太平洋戦争)後は温室栽培でさらに盛んになり、特に漬物に加えてサラダの需要が増えてから、生食用野菜として重要視されてからはトマトと果菜類の収穫量の首位を競うほどになっている[6][17]。終戦前までは関東では「落合」、関西では「馬込反白」系が主流であったが、1965年(昭和40年)ごろになると日本各地でキュウリの産地が増えるとともに品種の特徴が競われるようになり、従来の黒イボ系に対し、肉質が締まった白イボ系品種の人気が高まるようになった[17]。1983年(昭和58年)に表面に白い粉を吹かないブルームレスキュウリの台木が育成され、全国的に普及した[17]。2001年(平成13年)には新タイプのキュウリとして、イボなしの「フリーダム」が発売された[17]。 キュウリは温度や水分には敏感な作物で[18]、夏場に次々と実をつけて大きくなっていくので、水切れしないように管理して育てていく[19]。ツルを支柱にしっかり固定し這わせる方法と、地面を這わせる栽培法がある[20]。栽培時期は、北半球で一般に春から秋(4 - 9月)のシーズン中に行われ、春に苗を植えて初夏から収穫する「春きゅうり」と、初夏に種を蒔いて夏の終わりに収穫する「夏きゅうり」、盛夏に種を蒔いて収穫する「秋きゅうり」がある。栽培適温は25 - 28度とされ[20]、夜温は15度以上が望ましい[21]。キュウリは、ウリ科の植物どうしの連作にも弱く、2 - 3年ほどウリ科の野菜を育てていない畑で作付けする[20]。根の酸素要求量は野菜の中でも最も大きいので、土壌の孔隙量が多いほど良く育つ[18]。また肥料を好む性質のため、追肥をして肥料切れを起こさないよう育てると良い作物ができやすい[19]。雌花が咲いたら、朝のうちに雄花をつんで雌花に人工授粉を行うことにより、より確実に着果させることができる[19]。 親づるに実がつく節成り系のキュウリは支柱栽培に向き、子・孫づるに実がつく枝成り系のキュウリは地を這わせる栽培に向く[22]。支柱栽培法は、キュウリの茎葉組織がもろく風に当たって折れやすいため、支柱立てや誘引を入念に行う[18]。地面に這わせる栽培法では、ワラを敷いておくと巻きひげがワラに絡まりながら生長していく[22]。 春まきはポットで育苗して定植、夏まき・秋まきは、直播きになる[23]。苗をつくるときは、育苗ポットに3粒ほど種をまき、本葉が出たら1本だけ残して切り取り、本葉4 - 5枚の苗に仕上げる[21]。キュウリは浅根性であるため、畑は元肥を浅く入れてよく耕して混合し、幅90 cmほどの畝をつくる[21]。土壌の保温や保湿を図るためマルチングをしてもよい[21]。
栽培