日本の栽培農家では、最適なサイズで収穫するために、気温が高い夏場は収穫作業を1日2回行われる[10]。夏は露地栽培、秋から初春にかけては、ハウスでの栽培がメインとなり、気温によっては暖房を入れて栽培することもある。 収穫根が浅いため乾燥に弱く、高温乾燥が続くとあっという間にうどん粉病などの病気にかかり枯れる。キュウリは低温や日照不足が続くと病気や根腐れを起こしやすい弱点があり、それを改善するために耐病性のあるカボチャ台木に接ぎ木した苗を使ってもよい[26][18]。窒素肥料が多いとうどんこ病に、水はけが悪くて肥料が不足しているとベと病にかかりやすい[8]。 うどんこ病は、梅雨明けごろから下方の葉の表面に、白い粉がかかったような病斑が現れる病気で、白粉の正体は分生胞子と菌糸である[10]。ひどくなると葉の全面ばかりでなく茎や花にもついて灰色がかってくるため、葉の光合成機能の阻害要因となり、収量や品質に大きな影響を及ぼす[10]。特に葉の角斑がつくべと病は大敵で、生育の悪い株の不健全な葉に多発する[27]。どちらも感染を広げないためには、痛んだ葉を早めに取り除き[8]、手遅れにならないうちに葉の表裏面に薬剤を散布して防除する[27]。極端に多発したときは、栽培を取りやめ、まだシーズンに間に合うようであるならば新しくまき直した方がよいこともある[10]。 ウリハムシはキュウリの葉をリング状に食い荒らしてしまう害虫である[8]。ミナミキイロアザミウマの媒介するウイルスで「キュウリ黄化えそ病」にかかり株が枯れ、収量が減る被害が報告されている[28]。岐阜県農業技術センターにより赤色の防虫ネットを導入した予防策の研究開発が進められている[28]。 日本の主産地は、宮崎県、群馬県、埼玉県、福島県、千葉県などで[17]、時期別では夏秋キュウリ(7 - 9月)は岩手県・福島県、冬春キュウリ(1 - 6月)が千葉県・茨城県・高知県・宮崎県が多く、夏秋と冬春ともに多く産出するのは埼玉県・群馬県である[6]。年間を通すと、南から北の地域へと出荷最盛期は移動しており、流通量も旬の7 - 8月がピークになる[6]。漬物用の塩蔵キュウリは、中国やベトナムなどから大量に輸入している[6]。 世界的な生産量では、中華人民共和国が7554万トン(2021年統計)とダントツに多く、2位以下のトルコ(189万トン)、ロシア(164万トン)、ウクライナ(107万トン)を大きく引き離している[29]。 非常に種類が多く、世界中で500もの品種が栽培されている。現在、商業目的で栽培される品種の多くはF1(えふわん)と呼ばれる一代雑種品種である。分類方は幾つかあり、イボの色から中国北部から入った華北系といわれる「白イボ系」と、中国南部から入った華南系といわれる「黒イボ系」に大別される[30][12]。日本では白イボ系は最もよく流通している品種で[12]、全体が緑色で皮が薄く、歯切れ良い[30]。黒イボ系は皮がかたく、苦味があるため流通量は少ない[30]。
病虫害
生産量
品種色々な品種のキュウリ
白イボ系
日本市場の90%以上を占め、緑色が鮮やかで皮が薄く、果肉の歯切れもよいうえ[31]、キュウリ特有の匂いもほどよい[30]。