キティホーク_(空母)
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ベトナム戦争中の1972年10月12日、トンキン湾のステーションに向けて航行中に100名以上の水兵が人種問題での騒ぎとなり、50名近くが負傷した。この出来事は後に議会で問題として取り上げられた。
改修

1973年1月から7月にかけて、キティホークは母港をサンディエゴからサンフランシスコへ変更した。1月14日に乾ドック入りし、攻撃空母(CVA)から汎用空母(CV)への改修が始まる。「CV」への転換はもはや厳密には攻撃空母ではなく、対潜作戦が主な目的になることを示した。キティホークは汎用空母に転換された初の太平洋艦隊所属空母であった。

1988年から1991年2月にかけてフィラデルフィア海軍造船所にて寿命延長計画を実施。このため湾岸戦争には不参加。

1992年、93年のソマリアイラクの空爆など中東における数々の作戦に参加。
横須賀への配備インディペンデンス(左)とキティホーク(右)
真珠湾、1998年キティホーク (空母)のエレベーター、2003年

キティホークは空母インディペンデンスと交代するため1998年7月6日にサンディエゴを出航した。厚木基地を拠点とする第5空母航空団(Carrier Air Wing (CVW) 5)が歓迎のために着艦し、8月11日に新たな母港の横須賀海軍施設に入港した。配備交代によりアメリカ本土以外を事実上の母港とする唯一の空母となる。横須賀配備の空母としては、3代目。

インディペンデンスが1998年9月30日に退役したため、キティホークはアメリカ海軍において2番目の古参艦となり、ファースト・ネイビー・ジャック[2]の掲揚が認められた。

2001年アフガニスタン紛争では3分の1に満たない数の艦載機でパキスタン沖の北アラビア海に進出。アメリカ陸軍特殊部隊(デルタフォース)の支援のため陸軍の特殊作戦ヘリコプターを搭載。この作戦の詳細は一切公表されていないため謎に包まれている。

2003年、横須賀基地において大規模修理。空母で初めてRAMを搭載。

2007年10月26日 北海道室蘭港崎守埠頭(さきもりふとう)に寄港。退役を前に、道内最後の一般公開が催された。

2008年5月12日、キティホークは最後の前方展開任務を終了し、交代準備のため横須賀海軍施設に帰還した。

5月28日、キティホークはハワイに向けて日本を離れ、日本には代わってニミッツ級原子力空母6番艦ジョージ・ワシントンが配属されることになった[3]。しかし、ハワイでの任務引継ぎに向かっていたジョージ・ワシントン艦内で大規模な火災が発生したため、ジョージ・ワシントンは修理のためサンディエゴへ寄港することになった。これにより、同年6月から7月に行われるRIMPACにはキティホークが参加することになり、ハワイに留め置かれた[4]8月7日、キティホークはNASノースアイランド(カリフォルニア州サンディエゴコロナード)に着岸した[5]9月2日ワシントン州ブレマートンに移動した。
退役

2009年1月31日、ブレマートンの港にて退役。式典には2000人以上の乗組員、家族、軍高官らが出席して艦を見送った。
本艦の退役後の後継艦問題

2009年に退役予定であった本艦の後継艦については、配備予定のニミッツ級が原子力空母である事に対しての日本側一部世論の反対に配慮してか、当初、本艦の退役時期の延期、通常動力空母のジョン・F・ケネディの極東回航等の代案が取り沙汰された。しかし、いずれの案を取ったとしても、どちらの艦も艦齢が高いことから、近い将来、原子力空母配備の賛否を迫られる事は間違いが無いと思われていた。

2005年10月27日には、米政府よりニミッツ級配備で日米が合意したとの発表がなされた。どの艦を充てるかについてはアメリカ海軍ジョージ・ワシントンの配備を決定したと、2005年11月18日ロイター通信によって報じられた。同時に海軍当局の話として、被爆国である日本の国民感情に配慮し、原子爆弾投下命令を下した大統領から命名したハリー・S・トルーマンは候補からはずされていたとも報じている。

2008年2月22日のThe Weekly StandardのWEBニュースにおいて、アメリカは最新モデルのF/A-18E/Fを65機購入する事を条件に、インドに対して退役したキティホークを無料で供与する用意があるとの報道がなされたが、インド海軍のスレーシュ・メータ大将によれば、「これはメディアによって作成された単なる悪戯」であり、またアメリカ海軍広報のクレイ・ドス大尉によれば「海軍はどのレベルでも検討していない」とのことで、インド、アメリカ双方によって公式に否定されている。

なお、米海軍は2017年10月20日に「ジェラルド・R・フォード」の就役に代わって本艦を除籍し、解体する意向を発表した[6]。2021年、米海軍はスクラップ会社に1セント(約1円)で売却し[7]、2022年1月19日にこれまで係留されていたワシントン州ブレマートンからテキサス州の解体工場に向けて出航した[8]
脚注[脚注の使い方]^ Stephenson-Pino, Sharon (2003年10月31日). “ ⇒Battle Cat Floats Into the Halloween Season Early”. U.S. Navy, Fleet Activities Yokosuka Public Affairs. 2019年2月21日閲覧。
^ File:Naval_Jack_of_the_United_States.svg
^ “ヨコスカと空母・第3部 原子力空母(7)キティホークから「GW」へ”. 神奈川新聞社 (2019年3月30日). 2020年4月10日閲覧。
^ Kakesako, Gregg K. (2008年7月4日). ⇒“Kitty Hawk remains in Hawaii for RIMPAC”. Honolulu Star-Bulletin. ⇒http://starbulletin.com/2008/07/04/news/story11.html 2019年2月21日閲覧。 
^ Liewer, Steve (2008年8月7日). “Kitty Hawk makes last visit to North Island”. The San Diego Union-Tribune. ⇒オリジナルの2008年8月12日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20080812074920/http://www.signonsandiego.com/news/military/20080807-1347-bn07kitty.html 2019年2月19日閲覧。 
^ 「海外艦艇ニュース 退役米空母キティ・ホークが廃艦処分に」 『世界の艦船』2018年2月号(第874集) 海人社
^ これはまだアスベストが積極的に利用されていた時代に建造していたことが原因である。また、他にも毒性の強い化学物質が船体に使用されていることから、米海軍としては「ただ同然」でスクラップ業者に売却することで本来必要となる高額の廃船費用を負担しなくてよい利点がある。なお、ジョン・F・ケネディ空母(初代)も同様の理由で1セントで売却されている。
^ “1円で売却された米空母キティホーク、解体に向け最後の旅路に就く”. Newsweek日本版. p. 1 (2022年1月24日). 2022年1月24日閲覧。

関連項目

アメリカ海軍航空母艦一覧

アメリカ海軍艦艇一覧

外部リンク.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキニュースに関連記事があります。


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