キジ
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この鳥は鷹狩りの報奨としての獲物のことで、雉は最も喜ばれた[23]

「青山に鵺は鳴きぬ さ野つ鳥 雉はとよむ 庭つ鳥 鶏は鳴く」 - 『古事記』上巻歌謡二

「むさし野の雉子やいかに子を思うけぶりのやみに声まどうなり」 - 『夫木和歌抄』(後鳥羽院

「父母の しきりに恋し 雉子の声」 - 1688年松尾芭蕉が詠んだ句。

「春の野に若菜摘みつつ雉の声 きけば昔の思ほゆらくに」 - 『良寛歌集』(良寛

「ものいわじ 父は長柄の人柱 鳴かずば雉も 射たれざらまし」 - 「長柄の人柱」にある短歌で、余計な一言で災いを招く事を示す「キジも鳴かずば射たれまい」のことわざの由来となっている。

ことわざなど

雉の草隠れ - 頭隠して尻隠さずと同じ意味

多勢に無勢、雉と
- 弱いもの(キジ)と強いもの(タカ)を対比する言葉

焼け野の雉子、夜の - 親が子を思う気持ちをたとえたもの

雉を食えば三年の古傷も出る - 雉肉は脂肪が強いので3年前の古傷も膿をもつ

雉も鳴かずば撃たれまい - 余計なことを言ったために自ら不利益を招くことのたとえ[24]

キジは、鳥肉料理として焼いたり煮たりする料理の食材として古くから使用されており、四条流包丁書には「鳥といえば雉のこと也」と記されている。少なくとも平安時代頃から食されており、雉鍋、すき焼き、釜飯、雉そば、雉飯などが伝統的な調理法である[25]

大鏡』(11世紀末成立)に、藤原兼通(10世紀)が寝酒(さかな)に「雉の生肉を好んだ」事が記述されており、高階業遠がこっそり雉を逃した話が出ている。仏教が普及している社会にあっても、雉肉が美味で食されていた事がわかる。

兼好法師随筆徒然草』(14世紀前半)第118段にも、最も品位の高い食用の鳥として言及されている[26]。同書によれば、中世日本では天皇・皇后の御湯殿上(女官の詰め所および簡易的な調理場)の棚の上に、調理前の死体の姿で置くことを許された鳥はキジだけだった[26]。ところが、あるとき、後醍醐天皇中宮(正妃)である西園寺禧子の宮殿の御湯殿上の棚の上に、キジより品位の劣るの死体がそのままの姿で置かれていた[26]。それを見てびっくりした元太政大臣西園寺実兼(禧子の父親)は、娘の禧子に散々お小言を食らわせたという[26]

民間療法・俗信として、「癇癪にはキジの黒焼きが効く」(山形県)、「黒焼きに白砂糖を混ぜると効く」(富山県)、「羽を焼いて塗ると耳の痛みが取れる」(愛知県)など、肉には効能が説かれる一方、「怪我の時にキジを食べると、怪我が治らなくなる・古傷が悪化する」とする俗信も見られ、卵に関しては、「キジの卵を食べると薬が効かなくなる」(福岡県)といわれる[27]
その他

『桃太郎』、『長柄の人柱』など日本の民話に登場し、日本の野鳥として比較的知名度が高い。「ケーン」と鳴く。「けんもほろろ」という言葉は、この鳴き声に由来している。また、「頭隠して尻隠さず」ということわざは、草むらに隠れたつもりになったキジの様子に由来している。きしめんの語源には諸説あるものの、キジ肉を平打ちの麺の具にして藩主に献上したから、という説がある。なお、「雉丼」という料理に使われているのは鶏肉一万円紙幣D号券裏面

元号の「白雉」は白いキジが捕獲されたことを瑞兆として制定された。

日本銀行券D壱万円券 - 一万円紙幣D号券裏面にキジが描かれていた。

防衛省情報本部のエンブレムはキジを意匠としている[28]。国鳥であり、桃太郎の話の中では情報収集に活躍したからだという。

「キジを撃つ」(キジ撃ち) - 男性が山中で大便小便をする意味の隠語として登山者の間で使われている。物陰に隠れて用を足す姿勢がキジ猟を思わせることに由来するという[4]。ちなみに女性は「お花摘み」と表現される。これも女性の用足しのしゃがむ姿が草花の中で花を摘んでいる姿に見えるためである。大便と小便を区別する際にはそれぞれ「大キジ」「小キジ」と言い、この場合は男女関係ない表現となる[29]

ファジアーノ岡山 - 岡山のサッカーJ2のチーム。ファジアーノはイタリア語でキジの意味で、地元の桃太郎伝説に由来する。

ファジ丸 - ファジアーノ岡山のキジをイメージしたマスコットキャラクター

語源 - 瑰雉のよみからキジとなったことが語源とする説があり、「美しい鳥」を意味する[30]。「雉」にはのように飛ぶ鳥という意味があり、キジの飛び方と一致している[14]

ネコキジトラは毛色がメスのキジと似ている事からの由来である。

キジの鳴き声を地震の予兆とする俗信が全国的に見られ[31]、13世紀末の『塵袋』にも、「地震・雷の時に鳴く」と記され、『伯耆国風土記』の引用として、「震動時、鶏雉が鳴く」と記述している[31]。また、キジの夢を吉兆とする地域としては、和歌山県広島県に見られるが、逆に青森県では、「キジの夢を見ると傷をする」といわれる[32]

自治体等のシンボル


日本 -
1947年昭和22年)3月22日日本鳥学会が国鳥として選定した。法によって定められたものではなく、また日本鳥学会は政府機関ではないため、非公式なものである。国鳥に選ばれた理由には、「メスは母性愛が強く、ヒナを連れて歩く様子が家族の和を象徴している」[5]、「オスの飛び立つ姿は力強く男性的」、「日本固有種であり、日本の象徴になっている」、「留鳥で1年中姿を見ることができ,また人里近くに生息する」、「姿態優美,羽色鮮やかで,鳥に関心を持つ人が好きになれる」、「大型で肉味が良い。狩猟の対象として日本では好適で、その狩猟はスポーツとして楽しめる」、「古事記・日本書紀といった古文献に、すでにキジの名で登場し、また桃太郎に登場する動物として子どもたちも知っている」、といったものであった[33]



岩手県岡山県

市区町村

括弧表記はかつて存在していた自治体。
東北地方


青森県:
七戸町、(天間林村南郷村

岩手県:奥州市二戸市岩手町、(西根町花泉町衣川村

宮城県:仙台市泉区加美町川崎町村田町柴田町大衡村、(泉市

秋田県:由利本荘市、(天王町平鹿町若美町

福島県:新地町古殿町大玉村西郷村、(滝根町東和町常葉町大信村

関東地方


茨城県:鹿嶋市、(美野里町七会村

栃木県:市貝町

群馬県:みどり市甘楽町東吾妻町昭和村、(吾妻町東村


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