キク
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2017年、農研機構サントリーと共同でカンパニュラチョウマメの遺伝子を用いて世界初の『青いキク』を作出した[11][12]
ヨーロッパ

ヨーロッパへは1789年に中国からキクがもたらされたがなかなか人気が出なかった。1860年に幕末の日本を訪れたイギリス人のロバート・フォーチュンが、翌1861年に様々な品種を本国に送ったことで、流行に火が付いた[13]。以後イギリスを中心にヨーロッパでも菊の育種が盛んになった。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}特にイギリスでは、最後のフローリスツ・フラワーの一つとなった。[要出典]このように、日本美術が西欧美術に多大な影響を与えたのと同じく、菊をはじめとする日本の園芸植物もまた西欧の園芸育種に大きな影響を与えたと言われている。その後西欧では切り花用や修景用など生産園芸分野での育種が進み、スプレーギクなどが生まれている。
キクの代表的な品種大菊大菊 厚物大菊 管物小菊洋菊美濃菊食用キク(紫色品種)
大菊(一輪菊)

花の直径は20センチメートル前後。一枝に対し一輪だけ残して周りのつぼみを摘蕾する。「三本仕立て」「ダルマづくり」「福助づくり」などにして楽しむ。
厚物
厚物、厚走り、大掴みなどに区分される。

厚物(あつもの) ? 多数の花弁が中心に向かってこんもりと盛り上がったもの。花弁が起伏がなく整然と並んだものが良い。

淡色から後に純白色に変化する大輪の「地辺の月」、雪白色大輪咲の「銀河」、京都の杉山勇助による純白の「初瀬」、豊翠園が改良栽培した黄鮮色大輪咲の「豊翠の輝き」等がある。



厚走り(あつばしり) ? 厚物の花弁の下に長い花弁が走るように垂れさがったもの。

京都の佐々木源次郎が発表した「郡山の雪」は、明治から大正時代にかけて日本国内で広く栽培され普及した。後の大正15年(1925年)に名古屋の宮島吉太郎が見事な大走の雪白大輪咲となる「雪山」を生み出した。



大掴み(おおつかみ) ? 青森県八戸地域で栽培改良されたことから、俗称で「奥州菊」又は「八戸菊花」とも称される。花の上部が手でつかんだように見え、走弁が下部につく。

管物(くだもの)
管状の花弁を管弁(くだべん)という。花芯から直線的な管弁が放射状にのび、花弁の多くが管弁となるものを管物とよぶ。花芯に近づくにつれ、しだいに管弁の弁端が丸くなる玉巻(たままき)となり、下方の花弁は走弁(はしりべん)となって四方に長くでる。管弁の太さで、太管、間管、細管等に区分される。

太管(ふとくだ) ? 花色は多数あり、管物のうち巻弁が最も太い種類で弁質に力があるものの総称。

間管(あいくだ) ? 管弁は太管と細管との中間の太さである。この種類には、管弁の先が全て玉巻となる、俗に「総玉」といわれる種類も含まれる。

細管(ほそくだ) ? 糸管(いとくだ)とも称される。間管より細い管弁のために、花弁が自然に垂れる。そのために菊花を支える輪台が一般的に使用されることが多い。

針管(はりくだ) ? 針のように細い管弁が無数に直立して放射する種類。玉巻をしないことが普通であったが、玉巻する種が昭和初期(戦前)に日本国内で品種改良され、作出された。

長垂(ながだれ) ? 別名「長管」ともよばれる管物の一種。この種は、走弁が玉巻して長く垂下することが特徴である。古くは三重県松坂町の矢川で栽培された「松坂菊」、また伊勢の「長垂菊」で知られた。

広物(ひろもの)


一文字菊(いちもんじぎく) ? 別名「御紋章菊」ともいう。その名の通り、天皇の「菊のご紋」のように、平たい花弁が一重で並ぶ。花弁の数は14から16枚程になるが、16枚が理想とされる。

花色は白、黄色、紫、紅などで、白色の大輪花となる「白冠の輝き」、濃紫色蓮花咲の「星の海」、1930年代に一文字菊の名栽培家として知られた千葉県柏市の斎藤武衛が得意とした「国の光」等がある。



美濃菊(みのぎく) ? 岐阜市を中心とした美濃地方で改良されてきた種類で、「岐阜菊」とも称される。幅広の平弁からなり、花弁は中心部に向かって抱え込むように受咲する。昭和初期に日本全国に栽培が広がった。

中菊

仏花などに使用される一般的な実用花や、洋菊(ポットマム)などが含まれる。ほか、江戸時代から続く「古典菊」もこの区分に入れられる。
小菊

花の直径が1センチメートルから3センチメートル。つぼみは摘蕾(てきらい)しない。「懸崖仕立て」や「菊人形」などにする。
スプレー菊

花の直径が6センチメートルから3センチメートルくらい。つぼみは摘蕾(てきらい)しない。ハウス栽培切り花として生産され、仏花などの用途で周年供給される。スプレイー(Spray)とは先が分かれた枝との意味で、小枝の先に多数の花を付ける。
クッションマム(ポットマム)

いわゆる西洋キクで、鉢植えで秋頃に出回る。「矮化剤」で成長が抑制され、背丈が揃えられている。

普及したのは1950年代にアメリカ合衆国のヨーダーブラザーズによって発売され、1968年に日本国内でも販売開始された。1970年後半以降より販売数が減少したが、1990年頃に新しいパテントが普及され、麒麟麦酒の子会社でキリンマムから発売され、各種苗会社では現在も需要が多い。
古典菊

嵯峨菊

伊勢菊

美濃菊

肥後菊

江戸菊

食用更科堀井の変わり蕎麦「菊切」(2017年9月23日撮影)「食用菊」を参照

山形県内各地、青森県八戸市など東北地方新潟県中越から下越などで栽培されている。

花を食用にするもので、刺身つまとして見かけることも多い。花びらのみを食用とする。独特の甘みがあり、茹でてお浸しにしたり、酢の物や胡桃合え、天ぷら吸い物に用いられたりする。保存食としては、天保年間に初版が刊行された『漬物塩嘉言』に「菊漬」の記載がある[14]。また、干した加工品「のし菊」が作られる。は秋。主な品種に「松波」「安房宮」、桃紫色の花を咲かせる「延命楽」(通称「もってのほか」)がある。
異称

隠逸花(いんいつか)‐ 菊の異称。
周敦頤『愛蓮説』の一文「菊、花之隠逸者也」から。

陰君子(いんくんし)‐ 隠遁する有徳の人の意。菊の異称でもある。

星見草(ほしみぐさ)‐ 菊の異称。

霜見草(しもみぐさ)‐ 菊(特に寒菊)の異称。

千代見草(ちよみぐさ)‐ 菊、の異称。

仕立て

菊には大菊、中菊、小菊の3つの区分があるが、仕立てに使用するのは主に大菊である。
三段仕立て盆養展示された三段仕立てのキク三本仕立て

最も代表的な仕立て方、
芽の先を摘心して一本の苗から3本の側枝を伸ばし、支柱でそれを支える。

直立させた3本の枝に一輪ずつ花をつける。

一番高い枝が「天」といい、3本の真ん中後ろの枝をそれにする。

残りの2本が「地」「人」という。

背の高さは「天」 > 「地」 > 「人」である。

鉢は8号から10号のものが使用される。

ダルマづくり

丸っこい姿からこの名がついた(「だるま」を参照)。
「三本仕立て」の小さい物で、鉢は7号鉢。

「天」の高さを60センチメートルから65センチメートル以下に収まるのが条件。

矮化剤を使用する。

福助づくり

ずっしりした姿からこの名がついた(「福助人形」を参照)。
鉢の直径より葉の幅を大きくし、一輪咲かせる。

5号鉢に植え、矮化剤を使用する。

懸崖づくり

懸崖用の小菊を、前年秋のさし芽したものを、摘心を繰り返し、形を作る。かまぼこ状に隙間なく花をつけるのには技術が必要。大きいものから60センチメートルほどの小さなものもある。菊花壇展 千輪咲き(新宿御苑 2010年11月9日撮影)
千輪咲き

秋にさし芽をしたものをひたすら摘心し、一鉢で直径3メートルから4メートルほどの半球状に花が隙間なく、かつ規則正しく並べ咲かせる。
その他の仕立て

菊人形

文化日本ではに全国各地で菊花展が開催される。


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