ガンダムセンチュリー
[Wikipedia|▼Menu]
後にアニメ本編でも自力での打ち上げが可能なHLVとして登場しているが、これはそれ以前にワールドフォトプレス社の『メカニックマガジン』誌に掲載された記事で、記事内の仮想戦記の人名はガンダムキャラからきていたもののガンダム世界とは関係なく発表されていたものである。なお、イラストを担当したのも同じ宮武一貴である。

またこれらの設定は、アニメ本編の製作会社である日本サンライズ(現・サンライズ)の許可を得ていなかった(そもそも当時はアニメや特撮の副読本の独自設定についての制約はほとんどなかった)が、後のメカニックデザイン企画「MSV」(1983年4月 - 1984年12月)でも本書の設定の多くを継承し発展させ、ガンプラマニアたちにとっての共通認識となった。のちに模型雑誌モデルグラフィックス』で模型フォトストーリー連動企画『ガンダム・センチネル』(1987年9月号 - 1990年7月号)の連載時にも、本書の設定を『機動戦士Ζガンダム』の時代に拡張する形でSF考証が行われた。そしてコアなガンダムファンをターゲットとして企画された『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』にて、本書が提示した設定の一部が初めてサンライズ製作の公式な映像作品にフィードバックされるに至った。やがて当時のファンたちが成長して製作者側に回ると、これら設定の幾つかは新作のアニメやゲームに使用され、マニア以外にも知られることとなった。

しかし本書は初代の『機動戦士ガンダム』のみを考察した本なので本書の内容の全てが『Ζガンダム』以降の作品に反映されたわけではなく、1990年代になって定着した設定もあり、例えばコロニーの落ちた基数、落着位置は『0083』まで映像中では明確にされなかった。また当時は一年戦争という設定がまだなかったため、現在では通用しなくなった設定も多い。モビルスーツのスペックや時系列の違いは顕著であり、本書では宇宙世紀0079年11月から0080年後半まで戦争が続いたことになっている。

みのり書房はその後、いわゆる「リアルロボット物」の副読本として、『ガンダムセンチュリー』と同傾向のムックである『マクロス・パーフェクト・メモリー』(超時空要塞マクロス)を1983年に、『バイファム・パーフェクト・メモリー』(銀河漂流バイファム)と『ボトムズ・オデッセイ』(装甲騎兵ボトムズ)を1985年に発行している。特に「マクロス」ではスタジオぬえにより番組開始前から詳細な公式設定が作られていたこともあり、本編のストーリー紹介やアニメの設定書や企画書、準備稿、オリジナル小説なども収録されていた。
主な内容

『ガンダムセンチュリー』の内容のうち、上記の各種設定(「グラフィック ジオン戦記」「GUNDAM MECHANICS」)は全体のページ数(全176頁)のうち4分の1ほどである[注釈 10]。これらを含めて内容としては以下の物が掲載されている。
グラフィック ジオン戦記


メカニック監修・大河原邦男、美術監修・中村光毅、文・松崎健一

GUNDAM MECHANICS


監修・松崎健一、文・風間良雄

WHITE-BASE LIVE
ホワイトベースの乗組員たちを書く短編小説

監修・星山博之、構成/文・松崎健一、画・美樹本良晴(現:美樹本晴彦)、美術・藤江優子

ガンダムへの訣別、ガンダムからの出発
制作スタッフエッセイ。

星山博之「シデン会見記」

荒木芳久「ガンダムの周辺に思う」

山本優 「オレが殺したあいつら 多分に言い訳めいたプライベートな鎮魂回想記」

松崎健一「わが闘争 ―または何故にスーパーマンではなく007を目指さねばならないのか―」
(以上『ガンダム』では脚本を担当)

永井一郎「細胞でとらえた演技」
(ナレーター)

安彦良和「今はもうそれぞれの『ガンダム』」
(アニメーション監督・キャラクターデザイナー
ガンダム空間の創造者たち 中村光毅・大河原邦男の世界
大河原邦男メカニックデザイナー)、中村光毅(美術)へのインタビュー。後半カラーページはイラスト集。

大河原邦男 ―「ガッチャマン」、「ダイターン」、「ガンダム」、そして明日

中村光毅 ―「宇宙エース」から「機動戦士ガンダム」までの二十年

GUNDAM SCIENCE
1980年当時の実際の宇宙開発技術やロボット技術を解説。

江藤巌「The High Frontier―G・K・オニールの宇宙植民地計画」

江藤巌「Directed Energy Weapons―粒子ビーム兵器とレーザー兵器」

永瀬唯「Remote Manipulators―強化防護服から宇宙作業キャビンへ」

THE DISCUSSION OF GUNDAM
富野喜幸(現:富野由悠季)、星山博之、大河原邦男、松崎健一による座談会。司会は白井佳夫映画評論家)。
復刻版

本書は資料価値と希少性から、入手が困難な資料として、1990年代には万単位のプレミアム価格で取引されていた。2000年3月に、『ガンダムセンチュリー』出版当時の『月刊OUT』編集長で本書の編集者でもある大徳哲雄が創立した編集プロダクションである樹想社から、完全復刻版『GUNDAM CENTURY RENEWAL VERSION』として定価4,000円+消費税復刻され[注釈 11]、この状況は解消された。表記については「なるべく原本の表現を尊重し、明らかな誤記、誤植、現在使われていない表記[注釈 12]」を除いて、基本的に旧版と同じ内容である[7]

みのり書房は1995年に解散しており、復刻にあたっては「製版原版が既に処分されていたため、文字については完全打ち直し、イラスト及び図版につきましては可能な限り原画・原図版等を収集」[7]したが、「初版発行時からかなりの年月を経ているため、原画や図版のかなりの点数が散逸、入手不可能となっており、また褪色しているものも多く、その場合、やむを得ず原本からの複写図版を使用」[7]して製版した。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:135 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef