ガロン
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米国における単位記号は、gal である[1][2]。単数形も複数形も同一である。日本の計量法における単位記号も gal である[3]

「Gal」と頭文字を大文字にすると、「重力加速度又は地震に係る振動加速度の計量」に用いられる特殊の計量単位であるガルの単位記号が Gal である[4][5]ので、使用場面が異なるとは言え、紛れが生ずるおそれがある。

米国乾量ガロンが日常で用いられないため、米国液量ガロンは単に米ガロン (U.S. gal, USG) とも呼ばれる。区別する必要がある場合は、英ガロンの記号は “Imp. gal” と書かれる。
歴史

かつては、ガロンの値は地域や量られるものによって異なっていたが、19世紀ごろに以下の3種類に統合された。

ワインガロン (wine gallon) またはアン女王ガロン (Queen Anne's gallon) - 231 立方インチ

エールガロン (ale gallon) - 282 立方インチ(約 4.62 リットル)

コーンガロン (corn gallon) - 穀物

1824年、イギリスはエールガロンに近い値を英ガロンとして採用した。リットルが1キログラムの水の体積として定義されたのに影響を受けて、英ガロンは 10 ポンドの水の体積と定義された。正確には、「30 水銀柱インチ (inHg)、62華氏度 (°F) の大気中において黄銅製分銅で測った 10 ポンドの蒸留水の体積」である。1963年には、「密度 0.001 217 g/mL の空気中で密度 8.136 g/mL の分銅で測った密度 0.998 859 g/mLの蒸留水 10 ポンドが占める体積」と、より厳密に再定義された。この定義による 1 ガロンは約 4.546 0903 リットル(約 277.419 4511 立方インチ)となる。メートル法に基づく、1 ガロンを正確に 4.546 09 dm3 とする定義がカナダで採用され、後にイギリスでも採用された。

アメリカでは、19世紀初頭にすでにワインガロンが広く使われていた。それは、かつては直径7インチ、高さ 6 インチの円柱の体積(約 230.907 060 039 立方インチ)と定義されていたが、1707年にアメリカで、正確に231立方インチと再定義された。この定義は、円周率のかつての近似値 22⁄7 によるものである。すなわち、 π r 2 h ≈ 22 7 × 7 2 × 7 2 × 6 = 231 {\displaystyle \pi r^{2}h\approx {\frac {22}{7}}\times {\frac {7}{2}}\times {\frac {7}{2}}\times 6=231} となる。この値が、アメリカで今日でも用いられている米国液量ガロンである。

米国乾量ガロン(=米国穀物ガロン)はコーンガロンそのものである。1 コーンガロンは 8 分の 1 ウィンチェスターブッシェル (Winchester bushel) と定義されていた。ウィンチェスターブッシェルは直径 18.5 インチ、深さ 8 インチの円柱の体積であり、今日のインチの定義では約 2150.420 171 382 213 立方インチとなる。その 8 分の 1 は約 268.802 521 422 777 立方インチである。この数値を丸めて、1 米国乾量ガロンは、現在では、正確に 268.8025 立方インチと定義されている。
派生単位

マイル毎ガロン (mpg):
燃費の単位。米国・カナダ・イギリスで通常用いられる。

日本における使用

日本において、ガロンは使われない。輸出入や航空機関係に例外的に使用できるのみである(使用範囲はヤード・ポンド法#日本における使用を参照のこと)。計量法の体系では、米国液量ガロンだけが定義されており、計量単位令 別表第7 項番5において、1ガロン = 正確に 3.785 412 リットルとなっている[6]。この定義値は、米国の(リットルによる)定義値の小数7桁目を四捨五入したものである。

会員制販売店のコストコでは、ガロン容量で販売している飲料やエンジンオイルが発売されているが、日本では「ガロン」が一般的な容量単位ではなく、ガロン表記の商取引は計量法違反のため、詳細を記したラベルにはリットル換算で記載されているが、日本における正しいリットル換算値である「3.785 412」ではなく「3.78」と小数点第3位以下を省略して表記している。

なお、計量法では、オンスについては、米系と英系の両方を認めており、米液用オンス、英液用オンス(「液量」でないことに注意[7])としているが、ガロンについては、米系のみを認めていることから、単位名は単に「ガロン」としている。

輸入のエンジンオイルカストロール〈英: Castrol〉やバルボリン〈英: Valvoline〉など)など一部の商品で、米ガロンやクォート単位で売られているものもある。また、飲食店で使われるドリンクディスペンサーの原液容器はガロン単位となっている。

沖縄県では、1リットル級の牛乳パックが946ミリリットルの内容量で販売されている[8]。これは米国液量ガロン(3.785 411 784リットル)の 1⁄4 である「クォート = 正確に 946. 352 946 mL」を基にしているからである[9]

大学や企業の研究室において、試薬を入れる持ち手が付いた容量が3リットルのガラス製の瓶をガロン瓶と呼ぶことがあるが、米英で用いられる1ガロン入りの容器と形が似ているだけで容量は異なる。

計量法制定前(1952年2月29日以前)は漢字では「?」と書かれていた。中国語では音訳した「簡体字: 加?; 繁体字: 加侖; ?音: ji?lun」を使用する。かつて合字「?」があったが、現在は廃止されている[10]
脚注[脚注の使い方]^Guide for the Use of the International System of Units (SI) (PDF) Appendix B. Conversion Factors, B.9 Factors for units listed by kind of quantity or field of science, p.68
^ U.S. GOVERNMENT PRINTING OFFICE STYLE MANUAL (PDF) Chapter 9 - Abbreviations and Letter Symbols, 9.58., p.237
^ “計量単位規則 別表第六「体積」ガロンの欄”. e-Gov. 2019年12月29日閲覧。
^ “計量単位規則 別表第4、「重力加速度又は地震に係る振動加速度の計量」の欄、ガル、Gal”. e-Gov. 2019年12月29日閲覧。
^国際文書 国際単位系 (SI)第8版日本語版2006 (PDF) 表 9 CGS 単位系および CGS ガウス単位系に属する非 SI 単位、p.41、「加速度」の欄 


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