ガルム・ウォーズ
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押井は2009年に公開されたジェームズ・キャメロン監督の『アバター』を観て、「『ガルム』でやりたかったことを先にやられてしまった」と悔しがったという[26]。本作に関しては「自分の映画である以前に、アニメとCGと実写を取り入れた新しい映画を体験する、創り上げることがテーマ」「『ガルム戦記』で登ろうとした山にはとりあえず、よじ登った」と述べている[14]。達成できたのは当初のイメージの半分程度で、制作費の都合で絵コンテから3割削り、撮影ではさらに3割が撮り切れなかった[21]

日本人の体では甲冑を身に着けた場合、所作が様にならない、という押井の持論から、登場するキャラクターのほとんどが甲冑を身に着けている本作では、舞踊家が甲冑など衣装を着けて演技した、もしくはそこから動きを抽出した映像素材に俳優の顔の部分だけをはめ込み合成する画造りの方法が検討されていた(NHK-BSでの竹中直人との対談、その他の資料より)。

主演女優のメラニー・サンピエールは押井映画のファンで、オーディション会場に『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のヒロイン草薙素子のような黒髪のおかっぱ頭で現れた[27]。候補の中で評価は低かったが、オーディションでは存在感が際立っており、無名の新人ながらカラ役を射止めた。日本での初日舞台挨拶では、メラニーから押井へ送られた感謝の手紙が読み上げられ、押井が涙ぐむ場面もあった[28]

2010年7月16日より同年9月5日まで八王子市夢美術館にて開催された「特別展 押井守と映像の魔術師たち」において、本作の模型資料が初めて一般公開された。なお、権利保有の状況が複雑なため、同展図録には写真、データなど著作権が関わる本作の資料は一切載録されていない(スタッフインタビューでの言及のみ)。

2016年3月10日に、押井と鈴木と虚淵が出演する『ガルム・ウォーズ』公開特番がLINE LIVEで放送された[29]

完成から約30年前の1986年、スタジオジブリ鈴木敏夫宮崎駿は共にその才能を高く評価していた押井を連れ、ケルト文化の遺跡が多く残るアイルランドへ旅行をした。アイルランドで目にした荒涼とした光景に、押井は自身の原風景を感じ「とにかくその風景に目を奪われた。この世の果てみたいに寂寞としていてさ。いつかここで映画を撮ってみたいと思ったんだ」と、述懐している。

脚注^ a b c Andrew Mack(アンドリュー・マック) (2015年8月21日). “Mamoru Oshii's GARM WARS: THE LAST DRUID Acquired By ARC Entertainment For North America”. スクリーン・アナーキー. 2020年6月1日閲覧。
^ a b ROB CAPRILOZZI(ロブ・カプリロッツィ) (2015年8月19日). “ ⇒ARC ENTERTAINMENT ACQUIRES ‘GARM WARS: THE LAST DRUID’”. ⇒ホラー・ニュース・ネットワーク. 2020年6月1日閲覧。
^ a b Rafael Antonio Pineda(ラファエル・アントニオ・ピネダ) (2015年8月20日). “Deadline: Arc Entertainment Acquires Oshii's Live-Action Garm Wars Film”. アニメ・ニュース・ネットワーク. 2020年6月1日閲覧。
^ “Garm Wars: The Last Druid (2014)”. IMDb(Release Info). Amazon.com. 2020年6月1日閲覧。
^ a b “押井守「ガルム・ウォーズ」公開決定、鈴木敏夫や虚淵玄らが日本語版に参加”. 映画ナタリー (2016年1月28日). 2016年1月28日閲覧。
^ a b “押井守の実写作品「GARM WARS」、10月に北米で劇場公開決定”. 映画ナタリー (2015年8月26日). 2016年1月28日閲覧。
^ デジタルエンジン公式サイト - ウェイバックマシン(2000年4月16日アーカイブ分)
^ 押井守監督『ガルム・ウォーズ』の原点、幻の映像が公開! シネマトゥデイ(2016年3月24日)
^ a b 徳間書店刊「アニメージュ」1998年1月号「BANDAI VISUAL'S 2001:an animation odyssey -バンダイビジュアルの野望-」16P,25Pより。
^ 日経BP社刊「日経CG」1998年1月号「特報 押井守監督 大作プロジェクト始動」123Pより。
^ “ ⇒G.R.M. ? 映画作品紹介? CINEMA TOPICS ONLINE”. CINEMA TOPICS ONLINE. 2016年3月7日閲覧。
^ 押井守&鈴木敏夫「いま“邦画”にこだわる必要はない」 - Moviewalker(2016年4月16日)
^ a b 押井守『これが僕の回答である 1995-2004』、インフォバーン、2004年、ISBN 4901873113、124頁。
^ a b 押井守監督は、この15年で何を見て感じてきたのか?――『ガルム・ウォーズ』監督インタビュー アニメイトタイムズ(2016年12月13日)
^ ■「.hack//Filmscript」 - ウェイバックマシン(2003年7月4日アーカイブ分)
^ ■「.hack//Filmscript」 - ウェイバックマシン(2003年7月30日アーカイブ分)
^.hack//SIGN』第23話「The Eve」2002年9月4日放映。
^ “押井守「ガルム・ウォーズ」の原点 幻の「G.R.M.」パイロット版映像が公開”. 映画.com. (2016年3月24日). https://eiga.com/news/20160324/6/ 2019年5月1日閲覧。 
^ 押井守監督最新作「ガルム・ウォーズ」BD&DVD12月14日発売 パイロットフィルムを多数収録 - アニメ!アニメ!(2016年9月1日)
^ a b “押井守監督、ジブリ鈴木敏夫氏と12年ぶりタッグ 最新作『ガルム・ウォーズ』日本版”. ORICON STYLE (2016年1月28日). 2016年1月28日閲覧。
^ a b c 押井守監督&鈴木敏夫プロデューサー、両雄並び立っての大放談 - 映画.com(2016年5月19日)
^ 押井守監督『ガルム・ウォーズ』メイキング映像解禁 過酷な自然環境でのアクション撮影 - ORICON NEWS(2016年4月28日)
^ 『ガルム・ウォーズ』は、押井守の集大成である! コ・プロデューサー牧野治康氏インタビュー! - アニメイトタイムズ(2016年5月19日)
^ カナダ国内で現地スタッフを雇用して撮影すると、費用の一部をカナダ政府が援助するという制度。
^ a b 新作『ガルム・ウォーズ』でタッグを組んだ押井守とジブリ・鈴木敏夫が明かす製作秘話「ここまで危ない橋を渡ったのは初めてです」 - 週プレNews(2016年5月25日)
^ a b 「日本映画に憂いはない」アニメ制作の現場から聞こえてきた声 - Moviewalker(2016年5月20日)
^ 「ガルム・ウォーズ」主人公カラの劇中写真公開 同役を演じる新人女優の素顔は? - 映画.com(2016年5月2日)
^ 押井守、『ガルム・ウォーズ』主演女優からの手紙にウルウル - シネマトゥデイ(2016年5月21日)
^ “押井守×鈴木敏夫×虚淵玄、LINE LIVEで「ガルム・ウォーズ」を語り尽くす”. 映画ナタリー (2016年3月8日). 2016年3月9日閲覧。
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