ガルム・ウォーズ
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しかし、1990年代はデジタル映画制作の導入期であり、機材のスペックが低く、制作管理のシステムも整備できていなかった[14]。企画内容に予算対効果で疑義が生まれ、またセガバンダイの合併騒動もあり、1999年に企画は凍結された。

この没企画から派生して、より現実的に内容をダウンサイジングした映画『アヴァロン』が制作され、2001年に公開された。製作費は『G.R.M.』の開発費よりも少ない6億円だった[13]

伊藤が脚本を担当して2002年に放映されたテレビアニメ『.hack//SIGN』において、「劇中人物が執筆した小説『ANNWN アンヌーン』の台詞」という設定で[15][16]、内容の一部が語られた[17]

この企画にはアニメーション版と実写、3DCG版の2本のパイロットフィルムが存在する。それらは2001年頃に東京国際ファンタスティック映画祭などで上映されてからお蔵入りしていたが、1996年に制作されたアニメーション版(12分22秒)は『ガルム・ウォーズ』劇場前売り券の特典DVDに収録され、BDソフト映像特典には2本とも収録された[18][19]
再始動から完成版の公開まで

企画の凍結後も、プロジェクトの再始動を望む声は多く聞かれた[20]

2012年、押井と関係の深いプロダクションI.Gの協力により、プロジェクトは再始動した。押井は「日本人キャストや日本語はファンタジー映画に向かない」という考え方で[21]、本作は『アヴァロン』と同じく「全編海外ロケ・外国人キャスト・外国語台詞」で撮影された。撮影はカナダで行われ、モントリオールでのスタジオ撮影のあと、5,000km離れたブリティッシュコロンビア州で戦闘シーンが撮影された[22]。仕上げ段階では日本側でカラーグレーディング(色調節)や二次元的な特殊効果を加えている[23]

企画が復活した理由としては、映像技術の進化で製作の目途が立ったことと、資金面でカナダの税制優遇措置「タックスクレジット[24]を利用できたことが大きい[21]。ただし、制作中は自己資金を用意せねばならず、現地スタッフへの支払いが滞って撮影がストップし[25]、プロダクションI.Gの石川光久社長が億単位の資金を投入する決断をして完成までこぎつけた[26]。押井は「ここまで危ない橋を渡ったのは初めてです」と述べている[25]

2014年に第27回東京国際映画祭、2015年にさぬき映画祭において、"GARM WARS The Last Druid" のタイトルでプレミア上映されたのち[20]、10月2日に "GARM WARS: The Last Druid" のタイトルで北米にて公開された[6]

2016年1月、日本での公開日と邦題の発表とともに、鈴木敏夫虚淵玄がスタッフとして参加することも発表された[5]。鈴木は日本語版プロデュースを担当し、虚淵は「この国が棄てた幻想を、再び。」というキャッチコピーを提供した。
ストーリー
1997年時点のプロット

天空から飛来する謎の存在「セル」のために、滅亡の淵に立たされた惑星アンヌーンの住民「ガルム」たち。数世代にわたる戦いの中で、マスクを被り、身体を機械化し、個体の感情を否定し、記憶はデータによって受け継ぎ、戦闘に特化した種へと変貌していた。情報呪術部族の士官ウィドは、「ドルイド」の末裔ナシャンとともに、「セル」の謎を探る旅に派遣されるが、その時既にガルムの存亡を賭けた最後の戦いが始まろうとしていた…[9]
劇場公開版

創造主「ダナン」により生み出された、惑星アンヌンのクローン戦士「ガルム」たち。彼らは、記憶はデータとして受け継いで生きており、「ダナン」がこの地を去った後はこの地の覇権を巡って争い、数世代にわたる戦いを続けていた。制空部族のパイロット・カラは、情報呪術部族の士官ウィドと「ダナン」の言葉を伝える使者「ドルイド」の生き残りナシャンと出会い、彼らを追ってきた地上制覇部族の戦車兵スケリグとともに、所属する部族からはぐれた。彼らは、ナシャンの導きで禁断の地である聖地を目指す。
キャスト

※括弧内は日本語版の吹替。

メラニー・サンピエール
朴?美) - カラ

ランス・ヘンリクセン壌晴彦) - ウィド

ケヴィン・デュランド星野貴紀) - スケリグ

     (鶴岡聡) - ナシャン(マラーク)※男の声

サマー・H・ハウエル (川澄綾子) - ナシャン(マラーク)※女の声

ドーン・フォート (佐藤しのぶ) - キアクラ艦長

アンドリュー・ギリーズ (田原アルノ) - 審問官A


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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