ガリシア語
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この地域は現在のスペインのガリシア州とそれに隣接するアストゥリアス州の一部、カスティーリャ・イ・レオン州レオン県並びにサモーラ県のガリシア隣接地域、そしてドウロ川以北の北ポルトガルにまで広がり、現在のガリシア州よりも広い地域であった。西ローマ帝国崩壊後、この地域にはヴァンダル族が侵入、その後スエビ族ガリシア王国をうちたてた。その後、この地域は、一定の自治権を保ちつつレオン王国の支配下に入った。

したがってこの時代のこの地域の言語は一体的であったが、現在のポルトガルの母体となった、ポルトゥカーレ伯領がカスティーリャ王権から独立することによって、ガリシア語とポルトガル語はそれぞれ別の道を歩むことになる。

現在のリスボンを中心とする標準ポルトガル語はレコンキスタの過程で、ドウロ川以北で話されていたロマンス語に、その地域で話されていたアラビア語およびモサラベ語音韻的影響を受けたため音韻的にはかなり異なっているという印象を受けるが、ドウロ川以北のポルトガル語とは音韻的にもガリシア語と非常に共通点が多い。
使用地域

現在のガリシア語使用地域はガリシア州を構成するア・コルーニャ県ポンテベドラ県ルーゴ県オウレンセ県の他にアストゥリアス州の西部テラ・エオ=ナビア、カスティーリャ・イ・レオン州のレオン県西部オ・ビエルソ、サモーラ県西部のポルテラス地域、そしてエストレマドゥーラ州カセレス県北西部のサン・マルティン・デ・トレベージョ、アス・エージャス、バルベルデ・ド・フレスノの3地域である。その他、ガリシアからの移民の多いブエノスアイレスアルゼンチン)、カラカスベネズエラ)、モンテビデオウルグアイ)、ハバナキューバ)、メキシコ・シティーメキシコ)などのラテンアメリカ地域やヨーロッパ各国にも、ガリシア語のコミュニティーがあるといわれている。
特徴

音素としての鼻母音は存在せず(ポルトガル語の-caoはガリシア語では-cionとなる)、このことがポルトガル語と比べ最も音韻的に異なる特徴となっている。

ガリシア語がそのほかのロマンス語と大きく異なっている点は、助動詞を用いた完了時制が存在しないことである。
正書法

以前の正書法ではスペイン語と同様に、疑問文と感嘆文の始めにはそれぞれ倒置疑問符倒置感嘆符を用いるとされていたが、現在では基本的には倒置符は用いられない。しかし分かりやすさのために使うことは認められている。

ポルトガル語との繋がりを重視し、ポルトガル語とほとんど同じ正書法を使用する少数派も存在する。例えば「ガリシア語協会」(Associacom Galega da Lingua)という団体が主張している正書法は鼻音の処理の方法以外はほぼポルトガル語と同じである。例えば、レアル・アカデミアの正書法では-cion、-zonとなる名詞の語尾は、協会のものは-com、不定冠詞unはum、unhaはumhaなど。また、xで表される文字(この書記素は/?/を表す)がjに、語中の-s-が-ss-に、未完了過去を表す形態素-baが、-vaなどとなっている。この正書法の背景は、ガリシア語は、言語というよりポルトガル語の方言であるとの立場によるもので、一般には受け入れられているとは言い難い。
2003年の正書法改定

2003年に正書法が改定された。これによって、いわゆる定冠詞の第二形式(lo、los、la、las)の使用が一部の場合を除き、基本的には義務的ではなくなった(一応使用が好ましいとはされている)。この改定によって、実際の見た目の印象がずいぶん異なる。また、いくつかの単語の語形が改められた。
音声

母音音素(IPA)書記素例
/a/anada
/e/etres
/?/eferro
/i/imin
/o/obonito
/?/ohome
/u/urua

子音音素(IPA)書記素例
/b/b/vbanco, venta
/θ/z/ccero, zume
/t?/chchama
/d/ddixo


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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