ガメラ
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『3』では、玄武の伝承とガメラが関連づけられたが、古代中国の文化を参考にする案は『1』から存在し、昭和ガメラと関連づけられたエスキモーの文化と古代中国文化のデザイン上の類似性を見いだした制作陣は、ガメラの甲羅に亀甲墓アンキロサウルスを、ギャオスのデザインには西洋のドラゴン春秋戦国時代中国の竜のイメージを投影した[9]

平成三部作の世界に玄武の伝承は存在するものの、亀の先祖に相当する生物が恐竜と同時期に絶滅した設定となっているため、ガメラは「怪獣」と呼ばれることはあっても、「巨大な亀」といった表現で呼ばれるシーンはなく、「亀」という単語も一切使われない[注釈 61]。現生動物の亀という概念そのものがないため、劇中この設定に触れるシーンはないが、『3』の劇中では、登場人物の一人である斉藤雅昭のデスクの上に陸亀の置物が置いてあるという矛盾が生じている。また、序盤の会議シーンで一瞬映る資料には、海底で発見されたガメラの墓場について「亀の甲羅状」という言葉を用いて地形の説明が行われている。

コンビナートに墜落して大爆発に巻き込まれたり、レギオンプラント(草体)爆発時に炭化してしまったり、敵怪獣に瀕死状態に追い込まれたりしても復活しているが、これらはいずれも「人間の祈り」、特に子供の祈りが鍵になっている。

登場人物の一人、草薙浅黄とは精神的な交信が可能になっていた。一時は、ガメラが受けたダメージがそのまま浅黄に伝わったり、負傷した箇所と同じ箇所を負傷したり、ガメラが傷の回復のために眠りに就くのと同時に眠りに就き、ほぼ同時に目覚めたりするまでに強かったが作品が進むにつれ、その傾向は徐々に弱まって行き、『2』の中盤で途絶えたような描写がある。この精神交信には、岩礁状態で海を漂っていたガメラの甲羅から発見された勾玉が重要な鍵となっていたが、『2』でのガメラ復活時に、浅黄の持っていた勾玉は砕けている。『3』では、これと同時に他のすべての勾玉も砕けていることが判明した。浅黄は「ガメラは自ら人間との関わりを断ち切った」と考えたが、『3』の登場人物である倉田真也は「仙台でのガメラの復活は人間の祈りによって成されたものであり、ガメラはまだ人間との関わりを断ち切れずにいる。それこそがガメラ最大の弱みだ」と見解した。
作中における行動
1995年

永い眠りから目覚めたギャオス3体と、人の手によって偶発的に復活したガメラが日本各地で激戦を繰り広げていく。

当初、ガメラは長らく太平洋で奇妙な環礁のような状態で眠り続けていたが、ギャオスの誕生を察知するかのように漂流して日本に接近。一度プルトニウム運搬船とぶつかったが、特に問題は起きず、調査団のメンバーが甲羅に上陸し、中心部にあった金属板に米森良成らが触れたことで金属板が崩壊し、完全復活する。

3体のギャオスを追って福岡から日本列島を北上して行く。福岡湾で1体、木曽山中でさらに1体を倒し、残り1体を追うが自衛隊の攻撃を受けて墜落し、さらに超音波メスの攻撃を受けて負傷して退却、海底で傷の回復を図る。復活後、東京で地下から出現して巨大に成長した成体ギャオスと空中戦を展開し、さらに地上に降り立ち市街戦を展開。地上から再び空中へと戦いの舞台を変え、大気圏外宇宙まで飛び出したが、そこでギャオスの足に食らいつきジェット噴射を抑えそのまま急降下する。苦しむギャオスが超音波メスで自らの脚を切断して脱出したため、コンビナートに墜落して大爆発に巻き込まれてしまう。しかし、浅黄の勾玉を通した「人間の祈り」を受けて周りの炎やコンビナートのエネルギーを吸収し、復活する。

最後は自身のハイ・プラズマとギャオスの超音波メスで撃ち合いを演じ、ギャオスの超音波メスは外れ、ハイ・プラズマはギャオスの頭部を吹き飛ばして勝利を収め、戦いの後は浅黄の傷を癒し、海に去った。
1996年

ギャオスとの戦いから1年後。宇宙怪獣レギオンの飛来を察知。レギオンの地球上での繁殖と、共生生物「草体」の種子発射によるレギオン拡散を阻止するために戦う。

札幌に出現した草体を撃破するものの、直後にソルジャーレギオンの奇襲を受け負傷する。変電所前に倒れ込み、ソルジャーレギオンが何体か移動した隙に回転飛行形態でソルジャーレギオンを振り落とし、傷を癒すために石狩湾に退却する。数日後、同じく草体の出現した仙台の戦いではマザーレギオンに巨大な脚で胴体を突かれ、強力な光線、マイクロ波シェルの前に苦戦し、さらに草体種子の発射は防ぎながらも大爆発に巻き込まれて炭化して仮死状態に陥るが、上記の「人間の祈り」により復活。直後に空へ飛び立ち、足利市から群馬、埼玉県境にかけて東京を目指して進行するマザーレギオンと自衛隊との交戦の最中に降り立つ。

プラズマ火球を連発し、エルボークローでエッグチャンバーを破壊し、ソルジャーレギオンを生み出すのを封じるなど奮戦するも、プラズマ火球を無効化するバリアを張り、体格差で圧倒してくるレギオンに再び追い込まれる。それでもレギオンの進行を阻止しようと戦うガメラを目の当たりにした自衛隊の援護を受け、次第に戦いを優勢に進めていき、隙を突いてレギオンの角をへし折るが、マイクロ波ビュートで反撃されて満身創痍(そうい)の状態となる。最後の手段として地球のエネルギー「マナ」を体内に取り込み、最強技ウルティメイト・プラズマを発動させてレギオンを粉砕して勝利を収め、飛行形態となって空に飛び去った。
1999年ガメラとイリスの戦闘シーンを模した展示

レギオンとの戦いから3年後。先のレギオン戦において大量のマナを消費した影響で、地球各地に大量発生したギャオス・ハイパーを倒すために奔走。その過程で覚醒したギャオス変異体であるイリスと戦うこととなる。

とある週末の金曜の夜、東京上空でギャオス・ハイパー2匹と空中戦を展開、そのうちの1匹がガメラの攻撃を受けて渋谷に墜落したところに降下。深手を追った1匹をプラズマ火球で葬り、さらにもう1匹も撃破するものの、プラズマ火球の連射は人口密集地を壊滅させ、1万人以上の死者を出す結果となってしまう。この惨劇を機に、日本ではガメラを危険視する声が高まる(直接の描写はないが、劇中では海上自衛隊がガメラを攻撃したとのニュースが放送されている)。その後、イリス覚醒に伴い再び日本へ飛来し、イリスと空自との交戦の間に割って入るように紀伊半島上空で激しい空中戦を繰り広げ、終始戦いを優勢に進める。体当たりの途中、回転飛行形態に変形して側面のとがった甲羅を利用してさらなる追撃を行うが、イリスが放った超音波メスを食らい、距離を離されてしまう。そのまま追尾していたところにガメラ掃討を優先した自衛隊のペトリオット攻撃を食らい、大きくバランスを崩してイリスを取り逃してしまう。イリスを追ってプラズマ火球を発射しながら京都に降下して行くが、イリスの長い触手によって弾かれた火球により京都は火の海と化す。

京都に降下後は、ガメラを両親の仇と恨む少女、比良坂綾奈の憎しみを取り込んだイリスと激戦を繰り広げ、鋭利な手甲で胴体を貫かれるなど、苦戦しながらイリスともつれ合ってJR京都駅になだれ込む。瀕死の状態に陥りながらも、イリスが綾奈との融合を計った隙に綾奈の祈りによって復活し、イリスの腹部をえぐって綾奈を救出した。イリスは手甲でガメラの右腕を貫いて拘束し、ガメラからコピーした偽プラズマ火球を突き付けるも、ガメラは自らプラズマ火球で右腕を爆砕し、失った腕にイリスの放った偽プラズマ火球を受け止めて“炎の拳”(バニシング・フィスト)を造り出し、綾奈を救出した際にえぐったイリスの腹部に炎の拳をねじ込んで体内から爆発させ、その息の根を止め勝利を収める。綾奈を浅黄と長峰たちに返して蘇生を見届けた後、半壊した京都駅を後にすると、右腕を喪失した深手状態のまま、世界中から日本上空に迫りつつあるギャオスの大群との戦いを前に咆哮(ほうこう)を上げ、自衛隊が総力戦を決意し陸・海・空全部隊が攻撃対象をガメラからギャオスに変更したところで物語は終わる。

全シリーズ中、最も人々に恐怖を与える存在であると同時に、最も悲劇的かつ、過酷な運命をたどっていく怪獣として描かれている。その後については、非公式ながら『ガメラ4 真実』や『ガメラ 大怪獣絶唱[89][90]で描かれることとなる。

なお、金子修介はガメラがギャオスハイパーの大群に勝利すると述べているが、伊藤和典はラストに登場したギャオスハイパーの大群はあくまでも「第一波」であると考えており、ガメラが勝利したかどうかについては(金子よりは)疑問を抱いている[9]。なお、予算やストーリー上の都合で却下されたが、金子は本来は『3』はガメラがギャオスの大群に勝利することを描き切りたかったとしている[91]
身体機構(平成三部作)
細胞
再生能力に優れているため、たとえ負傷しても短時間のうちに回復する。『2』では、草体の大爆発に巻き込まれた際も表面の細胞が炭化して固まっただけで、内側に新たな細胞が再構築されており、祈りの力を得て復活できた。『3』では、ギャオス・ハイパーの超音波メスの直撃を受けても大部分を跳ね返すほどの耐久性を身に着けている。
甲羅
頑丈で、ギャオスの超音波メス程度なら昭和版と同じく防ぐことができるが、ギャオス以降の敵怪獣の攻撃も強力になっており、レギオンのマイクロ波シェルとレギオン・ビュート、イリスの槍腕(スピア・アブソーバ)の一撃で破壊、貫通されている。また、イリスの放つ強化された超音波メスが甲羅に直撃した際も防御しきれずにダメージを負い、出血している描写がある。自衛隊のミサイル攻撃を受けた際にも衝撃までは防ぎきれず、『1』では転倒や飛行中に墜落してしまっており、『3』でも飛行の際に爆撃され、墜落とまでは至らなかったが、大きくバランスを崩し、失速するなどのダメージを受けている。昭和版とは異なり甲羅に身体を引っこめての防御は行わず、『3』で、回転飛行中に鋭利な甲羅の縁を利用した「シェル・カッター」が甲羅を使った唯一の戦法となる。
力(パワー)
腕力に任せてレギオンの大角を強引に引きちぎり、自分よりも遥かに大柄なレギオンを足止めするなど、怪力の持ち主である。その一方、イリスに取り込まれた綾奈を救出し、長峰や浅黄たちにそっと返すなど、繊細な扱いもできる。
ガメラブレイン(大脳
三半規管が発達しているため、円盤飛行などによる高速回転でも目が回らない。知能も高い。
テレパ・ブレイン(小脳
超古代文明の勾玉を持った草薙浅黄との精神波を送受信する。
熱エネルギー変換炉(プラズマ変換炉)
ガメラが全身で吸収した炎、高圧電流、核燃料などから発せられる熱エネルギーを、血液中の電子陽子原子核と融合させることで、プラズマエネルギーに変換・貯蔵しておく器官。地球の生命エネルギー「マナ」も、ここでプラズマエネルギーに変換される。全プラズマエネルギーを解放した際のパワーは、予測不可能である。
エルボークロー(邪斬突)
両肘にある鋭い爪のような突起。『1』ではギャオスとの格闘中に肘の皮膚を突き破るように生え、肘打ちのような動作でダメージを与えた。『2』以降は常に飛び出した状態になっている。『1』では組み付いてきたギャオスを遠方まで吹き飛ばし、『2』では自身の数倍の体格はあるレギオンを大きく後退させるなど、非常に強力な武器である。
カーフクロー(邪撃脚)
ふくらはぎにある蹴爪(けづめ)状の突起。相撲の内掛けの要領で敵を転倒させるが、イリスには通用せず、自分が転倒した。
ヴァリアブル・シェル(可変甲殻)
『3』で回転ジェットから着地する際、甲羅の表面を逆立てる。
攻撃技
ハード・スラップ(玄武掌)
登場作品:『1』主に格闘戦で多用される拳打。福岡港では飛翔する幼体ギャオスを叩き落とした。建物を破壊する際にも用いられることもある。
ラッシング・クロー(激突貫)


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